【6ヵ国経験】海外の広告出稿をはじめる際に注意すべきこと ~媒体設定とオペレーション~
6ヶ国で広告出稿をおこなった経験を踏まえて、つまずきやすいポイントをまとめました。広告代理店目線の内容にはなりますが、広告主にも役に立つ情報かと思いますので、ぜひ参考にしてみてください!
注意すべきポイントは、「媒体設定」と「オペレーション」の2つに分けられます。それぞれ整理しながらご説明します。
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目次
注意点①:媒体設定(Google広告)
通貨・タイムゾーン設定は後から変更できない
通貨とタイムゾーンは、初期設定の後は変更ができない仕様となっています。そのため、変更したい場合はアカウントの新規作成が必要になるので注意が必要です。
広告主の経理フローによって「円」または「現地通貨」にするのかが異なりますので、事前に把握・合意しておくとよいでしょう。(例:現地法人と直接のやり取りが発生する場合、など)
- 参考:通貨とタイムゾーンの設定
契約書の変更が必要
広告主と代理店間の契約について、海外への広告出稿を考慮した内容に更新(ないしは新規契約)する必要があります。具体的な内容は広告主や状況によって異なりますが、議論の主なポイントは以下の4つです。
- 海外法律遵守の責任の範囲
- 手数料
- 支払い方法
- 為替リスク
※契約書面は弁護士に相談のうえ作成ください。
海外法律遵守の責任の範囲
国内での活動を中心とした広告代理店が、海外の法律をカバーすることは簡単なことではありません。複数の国に出稿する場合はそれぞれの法律に対応する必要がありますし、化粧品や医薬等などの規制の厳しい商材については、国ごとの細かな規制を把握する必要があります。
また、海外のオンライン広告事情に精通した弁護士が、国内には決して多くはないという事情からも、代理店が広告配信に関する最終的な責任を負うハードルは非常に高いと言えます。
そのため、代理店側も海外の法律遵守に努めるものの、基本的には、最終的な責任は広告主に負っていただくことが落としどころになろうかと思います。もちろんその程度は状況によりますが、これらの合意形成と契約書面化を、事前にしっかりと済ませておく必要があります。
手数料
海外への広告出稿は、上述した理由からも工数負担が大きくなりがちです。そのため、これらの業務負担を考慮した報酬設計と合意形成が重要となります。(例:国内とは別の料金テーブルを適応する、など)
支払い方法
請求先の国が日本の場合は、海外用に新規で別アカウントを立てても、支払いプロファイルを国内で出稿しているMCCアカウントに紐付ければ、これまで通りの支払い方法(請求書払い等)が可能です。
一方で、請求先の国を日本以外にする場合は、請求先の国によって利用可能な支払い方法が異なるので確認が必要です。
特に「請求書支払い」を希望する場合は注意が必要です。請求書払いを利用するには、アカウントに紐づくMCCアカウント(実際に請求書支払いお支払いプロファイルを紐づけるMCCアカウント)において、日本と同様に下記3つの条件を満たす必要があります。
- 会社を登録してから 1 年以上が経過していること
- 有効な Google 広告アカウントを 1 年以上良好な状態で保有していること
- 過去 12 か月のうち、お支払い額が 50 万円以上(国によって異なる)の月が 3 回以上あること
この理由から、新規アカウント作成後、すぐには請求書支払いはできませんので、運用開始からしばらくは別の支払い方法を選択する必要があります。
※ちなみに、口座振替が可能な国の場合では、Google指定の銀行から振り込む必要があるのですが、それがどの銀行なのかは「実際に口座振替を行う段階にならないと開示できない」とのことでした。(Google広告のヘルプ回答より。現在は仕様が変わっている可能性もあるので、最新の情報はヘルプに確認ください)
為替リスク
広告主の拠点が日本のみであれば、基本的にどの国であっても円支払いが可能なので、特に問題はないと思いますが、
- 現地法人が予算管理をしている
- もしくは現地法人が支払いを行い手数料のみを請求する
というケースにおいては、為替リスクが伴います。
リアルタイムで為替レートを適応するとなると膨大な工数がかってしまうため、週次や月次等の頻度で為替レート適応するのが現実的です。
※弊社クライアントでは、月次の請求書作成タイミングの為替レートで、先月分の広告費用を換算し手数料を計算を行っています。
代理店移管の場合はGoogleへの申請が必要
これについては、国内の場合でも同じことですが、下記リンクより「支払い移管」を行う必要があります。おおまかな流れとしては下記の通りです。
- 必要情報(アカウントID等)を整理
- 引き継ぎ元代理店に1の情報を共有
- 引き継ぎ元代理店にてGoogleに移管申請を実施
- 双方に確認メールが届くので承諾
- 双方の承諾が確認でき次第引き継ぎ完了(Google管理画面よりステータス確認)
国ごとに税率や支払い方法が異なる
円で支払いをする場合(正確には請求国を日本に設定した場合)は日本の税率が適応されますが、請求先の国が日本以外の場合は、各国によって税率が異なります。
具体的な税率は下記Googleヘルプをご確認ください。
- 参考:各国における税金
注意点②:オペーレーション
ここからは、媒体設定が完了した後のオペレーションについて、事前に取り決めておいた方がよい点をご説明します。特に「海外現法の担当者がいる場合」には、以下の点を事前にすり合わせておくとスムーズにスタートできると思います。
広告文の翻訳
対象言語が英語であれば、関係者の中で対応することできるかもしれませんが、それ以外の言語の場合は翻訳を依頼する必要性が出てきます。(特に自然な言い回しを必要とする場合)
広告主側に現地語ネイティブがいる場合は、その方に依頼することが望ましいものの(秘密保持の観点でもベター)、適任がいないケースも多いと思います。その場合は、翻訳会社に依頼することになります。
実際に翻訳会社を利用したときに気になった点は、下記の通りです。
- 日本語⇒現地語の場合、文字数がオーバーすることが多い
- キーワード翻訳をする際に、類義語をどこまでカバーするか
- ニッチな業界の場合、専門用語に詳しい翻訳者がいるか
- 企業名を広告文に入れることが多いため、NDAを結ぶことができるか
より柔軟な翻訳を期待する場合は、どうしても翻訳費用が上がってしまいますので、どの程度の質を求めるかによって方針を決めましょう。(場合によってはDeepL等の自動翻訳でも対応できると思います)
コミュニケーションパスの整理
広告主側に現法メンバーがいたり、海外の担当者が異なったりする場合、あらかじめコミュニケーションパスを決めておくといいでしょう。
「窓口は一つだけなので、その方に確認すればよい」ということであればシンプルでよいのですが、経験上、そのようなケースは珍しいように思います。
ですので、例えば、
- 広告文の追加/修正などの媒体設定変更の確認は担当者クラス
- 予算や運用方針は責任者クラス
- 複数現法がある場合、予算は現法⇒本国⇒代理店とし一本化
- 大きな方針は本国と合意してから各現法にアナウンス
といったように、コミュニケーションパスを整理するとよいでしょう。
以上です。海外の広告運用は、運用面だけでなく契約等でもたくさんのハードルがあるため、大変だと思います。海外への広告運用に携わる方に、この記事が参考になれば幸いです!
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