BtoB事業の広告運用にあたって知っておきたい基礎知識
本記事は、BtoB企業で広告運用に携わっている方を対象として、「リード獲得を目的とした広告運用で、70点~80点レベルのベースラインを突破する」ために必要な考え方を体系的にまとめたものです。
対象としては、サービスの市場規模によりますが、月間の広告予算が概ね300~500万円以下の広告アカウントを運用しているBtoB事業者の方を想定しています。
あくまで目安ではありますが、予算規模が500万円を超える場合、この記事の内容だけでは70点~80点のレベルを目指すには不十分であることが多いです。そのため、まずはこちらの記事の内容で自社の広告アカウントに反映できていない点がないかご確認いただいたうえで、別途関連記事を読み進めていくことをおすすめします。
本記事の具体的な題材としては、①広告媒体の選定の仕方②媒体共通のベストプラクティス③検索広告やMeta広告のアカウント設計について触れており、これまで数多くのBtoB企業の広告運用支援を行ってきたオーリーズの知見を反映させています。
なお、広告運用はBtoB、BtoC全てに共通するベストプラクティスがあります。
そのため、まだ広告運用全般に対してベストプラクティスを習得しきれている自信の無い方は、まず先に基本を体系的に纏めた以下の記事を理解した後に、本記事でBtoB事業固有のノウハウを身につけることをおすすめします。
また、前提としてご認識いただきたいのは、「BtoB業界×リード獲得を目的とした広告運用」という大枠は共通であるとしても、「広告運用の最適解」は、プロダクト・サービスが属する市場、投資できる広告予算、商材の特性など、事業・外部環境における様々な変数を考慮した上でカスタマイズしながら導き出していく必要があるということです。
そのため、本記事に掲載しているノウハウは、安定的な広告運用を行う上で最初に習得しておくべき「一般解」についてまとめたものである点はご注意ください。
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目次
媒体の選び方
まず、この章では広告媒体の選び方について解説します。広告の費用対効果を高めるうえでは、戦っている市場の特性に応じて広告媒体を選定することが重要です。
1.検索広告
原則として、自社のプロダクト・サービスが検索広告で戦える市場の場合は、まず検索広告から優先的に予算を振り分けていくのが基本です。
検索広告から優先的に予算を振り分けるのは、たとえば「広告代理店 選び方」等のキーワードで検索するユーザーは広告代理店を探しているユーザーである可能性が高いように、検索キーワードから自社のプロダクト・サービスに興味を持ってくれそうな顕在層のユーザーに対して広告配信することが出来るので、リード獲得に対して影響が大きい広告手法であるためです。
検索広告で戦える市場かどうかを判断するポイントのひとつは、自社のプロダクト・サービスが属するカテゴリの検索量が多いかどうかです。
キーワードの検索量は、Googleが提供している無料ツール「キーワードプランナー」を活用して調査します。(利用には事前にGoogle広告のアカウントを作成しておく必要があります)
キーワードプランナーが利用できない場合は、以下の一般的な傾向を参考にカテゴリの検索量が多いか少ないかを推定します。
<カテゴリの検索量の一般的傾向>
⑴検索量が少ない傾向にあるもの
そもそもサービス・プロダクトのターゲットが限定的なケースはターゲットボリュームに比例して検索量が小さい傾向があります。
またターゲットボリュームが大きくてもAIなど最先端の技術を使っているなどで市場が出来上がっていないプロダクト・サービスや、経営コンサルティングのような自前で解決するのが前提でサービスやプロダクト導入で解決を前提としていない課題に関する商材は、検索量が少なくなる傾向があります。
商材に関連したキーワードで検索される機会が少ない(見込みキーワードの検索量が少ない)場合は、検索広告を配信しても広告の表示機会が得づらいため、基本はディスプレイ・SNS広告等で戦っていくことになります。
⑵検索量が大きい傾向にあるもの
逆に、上述した検索量が小さいケースに当てはまらない限りは、サービスやプロダクトのターゲットが大きければそれに比例して検索量は大きくなる傾向があります。
これらの傾向を踏まえ、自社の予算に対してある程度意味のある規模で広告配信ができると判断できれば、検索連動型広告に挑戦してみましょう。理由は後の見出し「2.ディスプレイ・SNS広告」で説明しますが、予算に対して検索広告で配信できる量が足りていない場合は、ターゲットの広さ次第でMeta広告を追加配信するのも有効な手だと思います。
さらに、予算や工数的な余裕がある場合はGoogle、Yahoo!、Microsoft広告をすべて配信したほうが良いですが、それが難しい場合は、ユーザー数の多いGoogle広告から優先的に配信しましょう。
また、Microsoft広告はWindowsのデフォルトブラウザであるEdgeのデフォルト検索エンジンに設定されているBingに広告配信できるため、Googleとあわせて配信を検討しましょう。
2.ディスプレイ・SNS広告
ディスプレイ・SNS広告で戦っていく場合にまず検討すべきは「ターゲットの大きさ」です。
ターゲットが小さい場合、ディスプレイ広告を配信してもターゲットユーザー以外に広告が配信されてしまい、結果として無駄なコストがかさみCPAが高騰する要因となり得ます。(なお、ターゲットが小さい場合でも媒体の機能でターゲティングを絞って広告配信が行える場合はこの限りではありません。代表例としてはリターゲティング広告があります。)
よくある疑問として、Google・Yahoo!・Metaなど、数あるディスプレイ広告の中でまずどの媒体から広告配信をしていくべきか?というご相談を受けるケースは多いですが、結論としては、以下の理由でMeta広告から優先的に広告配信を行っていくのがおすすめです。
⑴Meta広告を推奨する理由
- 月間利用ユーザー数(MAU)が多い
Meta広告を推奨する理由のひとつは、月間利用ユーザー数(MAU)が多い点です。FacebookとInstagramを含むMetaのプラットフォームは、世界中で何十億ものアクティブユーザーを抱えており、これは広告主にとって大規模な潜在顧客にリーチする機会を創出することにつながります。 - 機械学習によるターゲティング精度が高い
広告配信の自動化が進んでいる現代においては、広告媒体の機械学習の精度は、媒体選定において重要な判断ポイントです。Meta広告の場合、たとえばFacebook広告ではFacebookユーザーのプロフィール情報や過去の投稿、検索行動など、ターゲティングに使える1st Partyデータが充実しているため、Cookie技術を利用する3rd Partyデータを主としたGoogle広告よりもターゲティング精度が高いと言われています。 - BtoB企業向けの機能が充実している
X(Twitter)広告やTikTok広告と比較して、Meta広告はBtoB企業でも利用しやすい広告媒体です。たとえば、Meta広告では、特定の業界や役職、企業名などでターゲティングを絞り込んで広告配信をすることが出来たり、インスタントフォームを利用した「リード獲得広告」の配信を行えたりするなど、BtoB企業向けで活用しやすい機能がたくさんあります。
また、ターゲットの大きさの判断の仕方については、キーワードプランナーのようなシミュレーションツールが無いため、以下のような目安を参考に判断します。
⑵ターゲットの大きさを判断する目安
- ホリゾンタルな商材→ターゲットが大きい
一部例外はありますが、ホリゾンタル(水平)な商材は基本的にターゲットが大きい傾向にあります。ホリゾンタル(水平)な商材とは、たとえば会計業務に使えるクラウドサービスなど、業界や規模によらず、普遍的に需要が発生する商材のことです。 - バーティカルな商材、エンタープライズ向け商材、ニーズ発生のタイミングが限定的な商材→ターゲットが小さい
上述のホリゾンタル(水平)な商材とは異なり、特定の業界や規模でのみ需要が発生するバーティカル(垂直)な商材や、エンタープライズ向けの商材はターゲットが小さい傾向にあります。また、たとえばオフィス移転サービスや貸し会議室サービスなど、需要が発生する機会が限られる商材の場合もターゲットが小さい傾向にあることが多いです。
ここまでお伝えした情報を整理すると、BtoB企業で広告媒体を選定する上では、以下の4象限が参考になります。
参考:BtoBマーケティング“打ち手”大全 広告運用で受注を勝ち取る 最強の戦略 88
- 検索量が多い×ターゲットが大きい
クラウド会計ソフト、CRMツールなど、見込みキーワードの検索量が多く、かつターゲットが大きい商材の場合は、セオリー通り検索広告から優先的に予算を割り振っていき、当社が公開しているベストプラクティスをやり切った上でも許容CPA内で目標CVの獲得が出来なくなってきたら、Meta広告にチャレンジするのがおすすめです。 - 検索量が多い×ターゲットが小さい
例えば、オフィス移転サービスなどの場合は、需要が発生するタイミングが限定的なためターゲットは小さくなる傾向がありますが、移転の手順や必要な手続きなど、関連するキーワードが網羅的に検索される可能性が考えられるため、キーワードの検索量は多くなる傾向があります。
この場合はMeta広告では上手くターゲティングすることが難しいケースが多いため、基本は検索広告でのリード獲得が中心となります。また、例えばFC募集などのように、需要が発生する機会が限られるためターゲットは小さいものの、独立開業にあたって関連するキーワードが様々検索されるカテゴリなどの場合は、検索量が多くなる傾向があります。 - 検索量が少ない×ターゲットが大きい
新規性が高く市場認知が取れていない商材の場合などが当てはまります。この場合、見込みとなるキーワードで検索される回数が限られるため、まずはMeta広告などで広告訴求を行っていき、潜在ニーズを顕在化させるPUSH型の施策が有効です。 - 検索量が少ない×ターゲットが小さい
検索量もターゲットも小さい場合は、広告で戦うことが難しいケースが多いため、当社が公開しているベストプラクティスをやり切った中でも許容CPA内で目標CVの獲得ができなくなってきた場合は、業界特化の展示会やBDR等のセールス寄りの施策でリード・商談獲得を行うのがおすすめです。
なお、リターゲティング広告は効果が出ることが多いため、上記のいずれのケースであっても試してみる価値はあると思います。
媒体共通のベストプラクティス
ここからは、Google・Yahoo!・Metaなど各種媒体に共通のベストプラクティスについてお伝えしていきます。
1.営業範囲外の地域に広告を出さない
BtoB企業の広告運用において「営業範囲外の地域に広告を出さない」ことが重要な理由は、広告費の無駄遣いを防ぎ、効果的なリードジェネレーションを実現するためです。
例えば、東京に本社を持つITサービス企業が自社の営業エリアを関東地方に限定している場合、北海道や九州に広告を出しても実際の商談や契約に繋がる可能性は低く、広告費用が無駄になります。
限られた広告費を有効活用するためには、広告の配信地域は自社の営業エリアに合わせることをおすすめします。
2.可能な限り機械学習に判断を委ねる
詳しくは以下の記事に記載していますが、ある程度コンバージョンが蓄積している広告アカウントという前提において、広告の配信時間やデバイス、プレースメントなどを運用者のほうで細かく調整するのはおすすめしません。
運用者が把握できるのは主に管理画面で得られる広告の配信実績ですが、機械学習はユーザーの検索履歴やページの閲覧履歴、SNSでの投稿履歴など、各媒体が保有しているより細かいデータを学習素材とすることが出来ます。
これらの詳細なデータを基に、機械は各ユーザーの興味関心などを予測し、広告配信しているプロダクト・サービスに興味を持ってくれるユーザーかを判断してオークションに臨むため、学習が進んでくると、配信時間やデバイスなどは自動で調整されます。
3.可能であればオフラインCVの成果も把握する
「オフラインCV」とは、例えば広告経由で獲得したリードがアポイントや商談につながったかどうかなど、広告媒体が取得できない1st Partyデータのことを指します。
Google広告などの広告媒体では、基本的にWeb上で発生したコンバージョン(リード)が最終成果となっており、発生したリードがその後アポイントや商談につながったかどうかは媒体画面で確認することはできません。
しかし、広告配信の目的は「自社の売上を上げること」に置いている場合がほとんどだと思うので、広告で獲得したリードの歩留まりについてもレポートを構築するなどして追える状態にしておくと良いでしょう。
検索広告のアカウント設計
こちらの記事では検索広告のアカウント設計について、業種に関わらず、一般的に押さえておくべき基本知識についてまとめています。
まずはこちらの記事の内容をベースとしたアカウント設計を行い、その上で以下に記載するBtoB事業の個別事情を踏まえたカスタマイズをしていくようにしましょう。
1.基本的なアカウント構成
まず、BtoB企業の検索広告アカウントにおいては、一般的には以下のようなキャンペーン構成を取る場合が多いです。
当然、より良いアカウントにするためにはこの構成をベースに更なるアレンジを加えていく必要は出てきますが、運用初級者の場合はまずこのキャンペーン構成でスタートするのがおすすめです。
⑴指名キャンペーン
「指名キャンペーン」とは、特定の企業名やブランド・サービス名など、直接的にその企業やサービスなどの固有名詞であるキーワードに対して広告配信を行うキャンペーンです。
一般的に、指名キーワードは顕在層に近いユーザーが検索していることが多くCVに繋がりやすいため、検索広告を配信する際にまず最初に検討されるキャンペーンです。
⑵サービスカテゴリ名×顕在キーワード
「サービスカテゴリ名×顕在キーワード」のキャンペーンは、例えば「会計ソフト 比較」「会計ソフト 中小企業向け」など、サービスカテゴリ(会計ソフト)を軸として、積極的に情報収集を行っているユーザー層に対して広告配信を行うキャンペーンです。
さきほどの指名キーワードに次いで、顕在層に近い層が検索しているキーワードであるため、自社のプロダクトやサービスの関心層が検索していそうなキーワードには積極的に広告配信をしたほうが良いです。
なお、「会計ソフト 中小企業向け」のような「どんな会計ソフトを探しているか」のニーズが明確化しているようなキーワードをさらに別広告グループに分けて広告の出し分けを行うという方法もありますが、同じ広告グループにすべきか、分けるべきかは検索ボリュームなど様々な観点での判断が必要になります。
そのため、まずは確実に80点程度の広告運用を目指す本記事ではシンプルに広告グループをまとめることを推奨しています。より成果を高めるために自社にカスタマイズしたアカウント改善の考え方については追って別の記事でご説明したいと思います。
⑶サービスカテゴリ名
「サービスカテゴリ名」のキャンペーンでは、例えば「会計ソフト」のようなビッグワードに対して広告配信を行います。
こうした単一のキーワードは単に「会計ソフトってどんな商品なのだろう」という興味本位のユーザーなど様々な顕在度が混在するため、顕在キーワードよりも費用対効果を合わせるのが難しくなります。
そのため、サービスカテゴリ名のキャンペーンは、アカウントにCVが蓄積し、機械学習が進んできた後に広告配信を行うのがおすすめです。
また、キーワードのメンテナンスや必要に応じた広告グループ分割など、運用の工数や難易度も上がる傾向にありますので、費用対効果の改善が見られない場合はプロに相談することをおすすめします。
2.toC向けの意味合いを含むキーワードの取り扱い
例えば、「セキュリティソフト」という検索語句は、法人向けのセキュリティソフトを探しているユーザーが検索するワードである一方で、一般家庭での個人利用を想定して検索するユーザーも含まれる可能性が考えられます。
同様に、指名キーワードであっても企業名やサービス名によってはtoC向けの意味合いを含む語句もあるため、注意が必要です。これらのキーワードで広告配信を行う必要がある場合は、
- 明らかにtoC向けに広告が当たっている場合はキーワードの配信停止や除外を検討する
- 広告文に「【法人向け】」などの語句を入れてtoCユーザーの誤クリックを防ぐ
などの対策を行いましょう。
3.サービスの検討に関連性が低い指名キーワードの除外
例えば、「株式会社オーリーズ 採用」「株式会社オーリーズ 株価」など、指名キーワードであっても自社のプロダクトやサービスの導入と関連性が低い検索語句は除外するようにしましょう。
また、企業やサービス名によっては、全く同じ語句の別企業やサービスが存在する可能性もあるため、その場合は該当の企業やサービスを検索していると考えられるクエリは除外するなどして対処します。
Meta広告のアカウント設計
最後に、BtoB企業の広告運用において、Meta広告のアカウント設計時の基本事項をお伝えします。
こちらも検索広告のアカウント設計と同様に、まずは以下の記事で解説しているMeta広告の一般的な基本知識を抑えた上で、これをベースにBtoB事業の個別事情を踏まえてカスタマイズしていくのがおすすめです。
1.オーディエンスについて
上述の通り、リターゲティング広告は関心度の高いユーザーに広告を表示することができるため、他のターゲティングと比較してCV獲得につながる可能性は高いです。
筆者の経験上、BtoB企業でMeta広告を配信する場合、⑴まずリターゲティング広告を配信する→⑵類似オーディエンスで配信する→⑶詳細ターゲティングにチャレンジする→⑷クリエイティブを工夫して機械学習でターゲティングするという順番で最適化をかけていくのがおすすめです。
⑴類似オーディエンス
類似オーディエンスは、既存顧客と共通する属性や行動特性を持つユーザー層に対してリーチを広げられる機能のことです。
既に取引している既存顧客の情報をもとにターゲティングをしていくため、自社のプロダクトやサービスに興味を持ってもらえる可能性が高く、Meta広告を配信する際にはまず最初に検討したほうが良いターゲティングです。
⑵詳細ターゲティング
⑵の詳細ターゲティングに関しては、具体的にCV獲得を狙いたいユーザー層が想定出来ている場合は積極的にチャレンジしたほうが良く、オフラインCVのトラッキングを行っている場合はリード獲得以降のデータを確認して狙い通りの広告配信が出来ているかを評価します。
一方、CV獲得を狙いたいターゲティングがあったとしてもオーディエンスサイズが小さくなる場合は、広告配信の成果に対するインパクトが小さくなり、さらにはCVも蓄積しづらいため機械学習が進みづらく成果が上がりづらいので、優先度を下げたほうが良いでしょう。
⑶クリエイティブを工夫して機械学習でターゲティングする
また、⑶のクリエイティブを工夫して機械学習でターゲティングするという話ですが、これはブロード(またはそれに近い状態)で広告配信を行い、「設定しているクリエイティブに反応するユーザー=ターゲット顧客になり得る」という仮説のもと、機械学習の最適化を進めていく方法のことを指しています。
機械はその性質上、CVやクリック数などキャンペーンで指定された条件の範囲内で成果を最大化するように働くことから、そのクリエイティブで広告配信の成果が最大となるようにターゲティングをしていくため、その性質を利用した方法と言えます。
一方、Meta広告の推奨では、広告セット単位で1週間に50件以上のCVを確保することを推奨されているため、1週間にCVが10件弱など、機械学習の最適化に必要な推奨CV数を確保できない場合はチャレンジしないほうが良いです。ただし、十分学習が働いている場合は時に類似オーディエンスなどよりも良い成果がでることもあるため、侮れない手法とも言えます。
<注意点>
以下の記事で解説した通り、機械学習は初動でCVにつながるターゲット属性を見つけられるかどうかでCV獲得の精度も変わってくるため、類似オーディエンスでCV獲得が上手くいかなくてもキャンペーンを作り直すことで成果改善するケースもあります。
そのため、盲目的に「類似オーディエンスは駄目なんだ」と見切りをつけずに、別ターゲティングにトライするのと同時に、キャンペーンを作り直す等の対応も検討してみましょう。それにより効果が出てくれることもあります。
参考:【必読】広告運用において必ず理解したい機械学習の基本
2.オーディエンスネットワークは除外が無難
BtoB企業がMeta広告を配信する際、基本的にはオーディエンスネットワークは配信面から除外する方が良いでしょう。
オーディエンスネットワークは広範なユーザーにリーチできる一方で、広告がアプリ面に配信されることもあり、特にゲームアプリ等の場合はBtoB商材との相性が良くないケースが多いため、広告の効果が希薄化する可能性があります。
一方で、BtoB商材とは相性が合わなそうなInstagram面ですが、商材によっては十分CVにつながるケースもあるため、バイアスに流されずにまずは配信してみるのがおすすめです。
3.まずはサービス資料DLを狙い、許容CPAを超える場合はホワイトペーパーやウェビナーを活用する
例えばWeb広告の配信目的が商談数の最大化である場合、CVポイントは「サービス資料のダウンロード」で設定するケースが多いですが、想定よりもCV数が少なく機械学習の最適化が進まない場合、許容CPAを超えてしまうケースもよく見られます。
BtoB企業のコンサルティング支援で著名な才流社は、見込み顧客にとっていきなりハードルの高いCVポイントを設定するのではなく、一歩手前のハードルの低いCVポイントを用意し、階段状で商談までの導線を設計することの重要性を示しています。
商材にもよりますが、一般的にはサービス資料に興味を持つユーザー層は限られるため、潜在層に属する大半のユーザーにとっては心理的ハードルが高く感じることが多いです。
その場合は、サービス資料のDLの一歩手前でホワイトペーパーのDLやウェビナー参加など、よりユーザーにとってハードルが低いCVポイントを設定してあげるのがおすすめです。
出典:階段設計とは?BtoBマーケティングで商談・受注数を最大化するポイントを解説【ワークシート付き】
<ホワイトペーパーDLやウェビナー参加をCVポイントにする場合の注意点>
ホワイトペーパーのダウンロードやウェビナー参加をCVポイントに設定する場合、必ずオフラインコンバージョンの成果を把握できるようにしましょう。
ユーザーにとって心理的ハードルの低いCVポイントを設定する場合、自社のプロダクトやサービスに興味のない顧客や、ターゲット外の顧客がCVする可能性が高くなります。
広告で獲得したリードに対して、その後の歩留まりも考慮しながら広告の成果を把握することで、無駄な広告投資を防ぐことができます。
また、可能であればインサイドセールスとも連携して、リード化した顧客の属性や反応についてフィードバックをもらい、インサイドセールスがより商談に繋げやすいホワイトペーパーやウェビナーを見つけ出していくのが極めて重要です。
4.リード獲得広告を活用する
「リード獲得広告」とは、広告をクリックするとLPに遷移することなく、直接フォーム入力画面が表示される形式の広告形態です。
Meta広告フォーマットの仕様上、プロダクトやサービスの魅力を十分に訴求することが難しいため、基本的には資料請求や問い合わせではなく、ホワイトペーパーDLや無料ウェビナー参加など、ハードルの低いCVポイントを設定することが多いです。
他の広告形態と比べて、「リードの獲得量」を重視する場合はリード獲得広告は優れていますが、法人向けサービスなのに個人アドレスでフォーム入力されていたり、勘違いCVだったりと、気軽にコンバージョンできるが故にターゲット外のユーザーが流入するケースも多いです。
そのため、オフラインコンバージョンを導入するなどして、必ず「リードの質」も考慮した上で広告配信を行うようにしましょう。
また、商談などのリード獲得以降のCVポイントで広告のROIを評価する場合、リード獲得広告と従来のLP遷移型の広告どちらが良いのか?という疑問を持つ方もいらっしゃるかと思いますが、筆者の経験上、リード獲得単価はリード獲得広告のほうが安くなり(※)、商談化率はLP遷移型のほうが高くなるため、実際はリード獲得単価と商談化率のバランスを考慮しながら広告配信の調整を行っていくのが良いでしょう。
※ただし、資料ダウンロードをCVポイントに設定したときはLP遷移型のほうがリード獲得単価が安くなるケースもあります。
多くの場合はサービス資料のダウンロードをCVポイントとして、商談に繋がる可能性の高いリードを増やしたいケースがほとんどだと思うので、まずはLP遷移型で広告配信をして、上手くいかない、あるいはリード件数が頭打ちになってきたときにリード獲得広告に挑戦するのがおすすめです。
まとめ
ぜひ本記事の内容を参考に、BtoB×広告運用の最適化を進めてみてください。また、もし本記事を読んでもお悩みが解決しない場合には、お気軽にオーリーズにご相談ください。
オーリーズでは、顧客の事業戦略や目標に応じて広告運用の手法を最適化し、より商談や売上につながりやすいリード獲得のサポートをすることが可能です。
広告運用だけでなく、クリエイティブ制作やインサイドセールス支援、MA/CRMツールの構築、展示会支援など、マーケティングの認知から商談獲得までを一気通貫で支援することができるため、
マーケティング領域で自社の知見・リソースだけでは解決が難しい課題が生じた場合には、以下のお問い合わせボタンからご連絡ください。
オーリーズでは、BtoB特化型のマーケティング支援サービスを提供しています
オーリーズは、BtoB業界に特化した広告運用代行サービスを提供している広告代理店です。
広告運用に縛られず、クリエイティブ制作、インサイドセールス代行、MAツールの導入・活用、展示会の企画など、施策横断で全体ROIの最大化を実現します。
商談数の伸び悩み、商談単価の改善で課題感をお持ちの場合はぜひオーリーズにご相談ください。
広告運用、インサイドセールス、Salesforce構築・活用推進の支援、WEBサイト制作など、BtoB事業者の課題解決に役立つ情報をお届けします。