Salesforceのフローとは?できることや使い方の基本を解説
Salesforceを有効活用する上で「自動化」は重要なキーワードです。
ノーコードで直感的に業務を自動化できるSalesforceの「フロービルダー」を活用すれば、プログラミングの知識がない人でもビジネスプロセスを効率化できます。
当ページでは、Salesforceのフローの基本から作成手順まで詳しく解説します。
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目次
Salesforceのフローとは
Salesforceのフローは、Salesforceプラットフォーム上のプロセスの処理を自動化できる機能です。フローチャート構造の直感的な操作で、ノーコードで処理プロセスを作成できます。
フローを作成するツールを「フロービルダー」と呼びます。フロービルダーの機能について詳しくは以下に解説します。
Salesforceのフロービルダーでできること
Salesforceの自動化する機能として「プロセスビルダー」や「ワークフロールール」も知られていましたが、Winter ’23 リリースより廃止され、フロービルダーに統合されました。
フロービルダーの主な機能は以下の3つです。
- レコードの自動作成・一括更新・削除
- チャット・メール送信
- 外部システムとの連携
それぞれ詳しく見ていきましょう。
レコードの自動作成・一括更新・削除
フロービルダーを使用すると、特定の起動条件(トリガ)を満たした際に自動的に新しいレコードを作成するように設定できます。
また、複数のレコードを一度に更新するプロセスも設定できます。特定の条件を満たす顧客レコードのステータスを一括で更新する際などに便利です。
そして、特定の条件に基づいてレコードを自動的に削除するフローも作成できます。これにより、古いデータや不要なデータをシステムから定期的にクリアすることが可能となり、データの整理と管理の効率化が図れます。
チャット・メール送信
フロービルダーではメールやチャットの自動送信も可能です。
例えばレコードが更新されたタイミングでメールやチャットで自動的に通知するなどの処理を自動化できます。通知ごとにメールのテキストに入れる担当者名や取引先名を変えるなど、テキストを差し替える処理も自動的に実行することが可能です。
業務で発生しがちな対応漏れ、失念などのトラブルを防止するために、活用できます。
外部システムとの連携
Salesforceのフロービルダーでは外部システムとの連携も自動化できます。例えば、外部のCRMシステムからリード情報を取得し、Salesforceで自動的にフォローアップするシステムなどを構築できます。
外部システムの側からSalesforceのフローを呼び出して実行することも可能です。業務で使用するさまざまなサービス・システム同士を連携させて、社内の業務全体を効率化するためにフロービルダーを活用できます。
Salesforceのフローで知っておきたい3つの基本用語
フローの詳細な内容や条件を設定する上で、知っておくべき基本用語があります。特に重要なのは以下の3つです。
- トリガ
- リソース
- 要素
以下より、それぞれの意味を確認していきましょう。
トリガ
トリガは、フローを開始するための特定のイベントや条件のことです。フローを作成する際、その起動条件となるトリガを設定します。トリガとして指定した条件に合致すると自動的にフローが起動する仕組みです。
レコードトリガ、スケジュールトリガ、プラットフォームイベントトリガなど、さまざまなトリガをビジネスのプロセスに応じて設定できます。
具体的なトリガの種類について詳しくは、当ページの「Salesforceのフローの種類(トリガの種類)」で解説しています。
リソース
リソースは、フロー内で使用されるデータや値を指します。フローが実行される際にデータを格納、参照、または操作するための重要な要素です。
例えば「変数」は最も一般的なタイプのリソースで、データ値を格納するために使用され、テキスト、数値、日付などのさまざまなデータタイプを持つことができます。
その他、複数のリソースが用意されており、ツールボックスやフロー要素の設定にてリソースを作成できます。
具体的なリソースの種類について詳しくは、当ページの「Salesforceのフローで使用するリソースの種類」で解説しています。
要素
要素は、フローの各ステップを構成するアクションです。例えば「レコードからデータを取得する」「操作をループする」など、プロセス実行における具体的なアクションを指します。
さまざまな要素を組み合わせることで、複雑なビジネスプロセスやワークフローでも効果的に自動化することが可能です。
要素は「データ要素」「ロジック要素」などいくつかの種類があります。具体的な要素の例については、当ページの「Salesforceのフローで使用する要素の種類」をご参照下さい。
Salesforceのフローの種類(トリガの種類)
フローを作成する最初のステップとして、構築したいフローの種類を選択する必要があります。Salesforceのフローは、トリガの違いによって以下の5種類に分類されています。
- 画面フロー
- レコードトリガフロー
- スケジュールトリガフロー
- プラットフォームイベントトリガフロー
- 自動起動フロー(トリガなし)
以下より、それぞれの特徴・違いを見ていきましょう。
画面フロー
画面フローを使うと、画面上で直感的な操作ができるフローを作成できます。
例えばレコードを簡単に保存するための入力フォームと、入力内容の保存を実行するボタンなどをSalesforceの画面に設置することが可能です。選択リスト、チェックボックスなどを組み合わせることもできます。
例えば、取引先との商談をまとめる際に、必要な情報を簡単に入力・保存できる画面を作成するなど、自社のニーズに合わせてSalesforceの画面をカスタマイズするために使えます。
レコードトリガフロー
レコードトリガフローは、レコードが作成、更新、または削除されると自動的に実行されるフローです。
特定の条件下でフィールドの値を自動更新する、関連レコードを自動作成するなどの処理ができます。
例えば、商談フェーズに進捗があった場合に自動的にToDoリストを作成するフローや、リードを獲得して一定期間が経過した後にリマインドメールを送信するフローなどを作成できます。
例えば日々の業務で発生するルーチンワークを自動化する際などに便利です。
スケジュールトリガフロー
スケジュールトリガフローは、予定された特定の日時や定期的なスケジュールに基づいて自動的に実行されるフローです。
特定の日時や繰り返しスケジュール(毎日、毎週、毎月)に基づいて自動的に起動するフローを作成できます。
スケジュールトリガフローは複数のレコードに対するバッチ処理(一括集計・更新・データクレンジングなど)を一定の時間に実行するのに適しています。
例えば、進捗のないリードに対するToDoを週次更新したり、条件に合致する商談のToDoを週次で更新したりすることが可能です。
定期的なデータ管理、レポート生成、システムメンテナンスなど、時間に依存するビジネスプロセスで役立ちます。
プラットフォームイベントトリガフロー
プラットフォームイベントトリガフローは、あらかじめ「プラットフォームイベント」として設定したユーザの操作やプラットフォーム機能の実行などのイベントに基づいて実行するフローです。主にシステム間の連携で利用されます。
例えば、商談が成約に至った際に、契約書作成、商品発送の手配など複数のタスクを同時進行して処理できます。
自動起動フロー(トリガなし)
自動起動フロー(トリガなし)は、フローで設定した操作やイベントによってトリガされるのではなく、他のプロセスやプログラムから呼び出して起動するフローです。
主に、APIリクエストやSalesforce用のプログラミング言語「Apex」で作成したプログラムなどから起動します。
外部システムとの連携や、複雑なタスク・プログラムの実行など、他のフローでは実現が難しいビジネスプロセスの自動化・効率化に用いられます。
Salesforceのフローで使用するリソースの種類
フローを柔軟に構築するためには、リソースの種類を把握しておくことも重要です。フロービルダーで使用するリソースの中で、特に知っておきたいのは以下の4種類です。
- 変数
- テキストテンプレート
- 数式
- フェーズ
それぞれ以下に詳しく解説します。
変数
変数は、数値や文字列の保管を目的に作成するリソースです。数値や文字列を保存し、その値をフローの異なる部分で再利用するために使用されます。
変数を活用することで、ループ処理、数式の作成などさまざまなアクションを実現できます。フロー設計の基本としてぜひ覚えておきたいリソースです。
テキストテンプレート
テキストテンプレートは、フロー内で使用されるメッセージや通知のテキストを定義するために使用されるリソースです。エラーメッセージ、通知、メールの本文など、さまざまな種類のメッセージを定義できます。
メールの本文に送信相手の名前を組み込むなど、自動的にメッセージをカスタマイズして送信することも可能です。
数式
数式は、データの計算や条件判断、値の変換などを行うために用いられるリソースです。
「+ (加算)」「 (乗算)」「&& (AND)」「|| (OR)」「IF」などの一般的な演算子や関数をフロー内で活用できます。
ただし「空文字」は文字が設定されていないことを示し「null」はnullが設定されていることを示すなど、一般的な意味とは異なる部分もあるため注意が必要です。フローで使用できる数式とその意味の一覧は、以下の公式ヘルプをご参照下さい。
フェーズ
フェーズは、画面フローで進行状況を視覚的に示すために使用されるリソースです。
フェーズ要素を使うと、例えば一般的な申込みフォームで表示される「ステップ1:お客様情報の入力」→「ステップ2:プランの選択」→「「ステップ3:お支払い情報の入力」のようなステップ表示を視覚的に表示できます。
Salesforceのフローで使用する要素の種類
フローで追加できる要素にはさまざまな種類がありますが、ここでは代表的な「ロジック要素」「データ要素」の2つを詳しく見ていきましょう。それぞれ具体的な要素の例と内容を、以下の一覧にまとめています。
▼ロジック要素
種類 | 内容 |
---|---|
決定 | 条件分岐させる。 |
ループ | コレクション(=複数の変数)内の項目に対して同じ操作を繰り返す。 |
一時停止 | 特定の条件が満たされるまでフローの実行を一時停止する。 |
割り当て | 変数に値を割り当てる。 |
コレクション検索条件 | コレクションを検索し、その結果を別のコレクション変数に格納する。 |
コレクション並び替え | コレクションを並べ替える。必要に応じて、コレクション項目数を制限する。 |
▼データ要素
種類 | 内容 |
---|---|
レコード作成 | 新規レコードを作成する。 |
レコード削除 | レコードを削除する。 |
レコード更新 | レコードを更新する。 |
レコード取得 | 条件に合致するレコードを取得し、変数に格納する。 |
Salesforceのフローの作成手順
新しくフローを作成する場合に手順を紹介します。大まかな流れは以下の3ステップです。
- フローの種類の選択
- 要素とコネクタをつなぎ合わせる
- デバッグで動作テストをする
各ステップでの詳しい操作方法を以下に解説します。
フローの種類の選択
新たにフローを作成する際は、まず「設定」でクイック検索に「フロー」と入力し、フローの作成画面を呼び出します。フロー画面の右上にある「新規フロー」をクリックしましょう。
「新規フロー」画面が表示されるので、作成したいフローの種類を選択しましょう。
例えばユーザーの入力が必要な場合は画面フロー、定期的なデータ処理が必要な場合はスケジュールトリガフローが適しています。
要素とコネクタをつなぎ合わせる
フロービルダーが起動するので、実際に要素とコネクタをつないでフローを作成する作業に入ります。
まずは選んだトリガの詳細設定が必要です。入力項目はトリガの種類によって異なりますが、例えばスケジュールトリガフローなら「スケジュールを設定」をクリックして、トリガとなる日時や頻度を入力します。
次にコネクタにある「+」をクリックして、決定・割り当て・ループ・アクションなどフローに必要な要素を追加していきます。
コネクタでフロー内の要素をつなぐことで、フローの実行時にどのように進むかを定義できます。例えば、ある決定の結果に基づいて、次に接続されているアクションに移行するように設定することが可能です。
要素とコネクタの配置を工夫することで、さまざまなビジネスプロセスの自動化を実現できます。必要な要素の接続が終わったら、右上の「保存」をクリックします。
デバッグで動作テストをする
フローを保存したら、実際にフローをテストして動作を確認しておくことが重要です。
テスト段階で有効化しても問題がないフローなら、「有効化」をクリックして、実際に動作するか確認してみましょう。
有効化する前にフロービルダーの「デバッグ」機能でテストすることも可能です。作成したフローを保存すると、フロービルダーの右上にある「デバッグ」をクリックできるようになります。
テストやデバッグで問題が見つかった場合は、要素やコネクタを調整してフローを修正しましょう。
まとめ
Salesforceのフローは、企業のビジネスプロセスを効率化し、自動化するための一助となるツールです。
フローの作成手順について、フローの種類の選択、要素とコネクタの組み合わせなどの要点を押さえて、自社のビジネスプロセスに最適なフローを構築しましょう。
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