媒体選定はもう迷わない!BtoB×リード獲得におけるディスプレイ・SNS広告選定の基礎知識
近年、Cookie規制などにより3rd Party Dataを活用した広告配信が難しくなるなど、運用型広告を取り巻く環境が変化しています。
このようなトレンドの中、BtoB企業向けのDSPやDMPなどの新たな広告手法も出てきているために、どの広告が本当にリード獲得に効果的かを見極めることが重要になってきています。
もちろん、新しい広告媒体に挑戦するのは良いことですし、主要媒体で成果改善の兆しが見えない場合、新たな広告手法を模索したくなる気持ちも分かります。
この記事では、そのような読者のために、大量の情報に振り回されることなく、より精度の高い意思決定ができるよう、ディスプレイ・SNS広告配信の仕組みも交えて解説することで、市場に出回っている広告手法が本当に効果が期待できるものなのかどうか、ご自身で判断できるような参考材料を提供しています。
また、この記事の結論としては「ディスプレイ・SNS広告の配信は、Google・Yahoo!・Meta等の大手プラットフォームが提供する広告サービスに注力するべき」というスタンスを取っています。
広告運用に携わっている方からすれば目新しい情報には映らないかもしれませんが、この記事は、読者の方がこうした運用型広告の現実を再認識し、世に溢れる「それらしい情報」に踊らされない判断力を養うための参考にしていただく目的で作成しました。
リード獲得を目的としたディスプレイ・SNS広告の配信において、限られたリソースをどこに投下すべきか迷っているBtoB事業者の方はぜひご一読ください。
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目次
3rd Party Dataを活用した広告配信は要注意
近年、個人情報保護の高まりを受けて、たとえばITPに代表されるようなデバイスやブラウザによるトラッキング規制により3rd Party Dataを活用した広告配信が難しくなってきています。そのため、広告配信の精度を高めるうえでは「Googleなど、広告メニューを提供する事業主が提供するサービスのアクティブユーザーの規模」がより重要な判断材料になってきています。
これまでであれば、DMP事業者は大量に集約した3rd party Dataを元にオーディエンスを作成し、Cookieを通して広告配信することが理論上可能でした。
しかし、現在では3rd Party Cookieをブラウザに保持させることが難しくなり、DMPが大量の3rd Party Dataを保持していても、実際に広告配信に活用できる範囲は限定的になってしまいました。
では、3rd Party Dataを活用した広告メニューは成果が期待できないのか?という疑問を持つ方は多いと思いますが、筆者の経験を踏まえると、3rd Party Dataを活用した広告メニュー配信の優先順位は極めて低いと考えています。
また、3rd Party Dataを活用した広告メニューの配信ボリュームの課題について、さらに補足すると以下のような点が挙げられます。
以上のように、3rd Party Dataを活用した広告配信は運用型広告のトレンドとして難しい状況となっている中で、3rd Party Dataに頼らずとも精度高く幅広くリーチできる広告媒体が存在するため、3rd Party Dataに頼った広告配信の優先度は下がらざるを得ません。
一部では名刺管理サービスを活用した広告手法など、3rd Party Dataでも効果が期待できる手法が出てきていますが、根本的な構造上の問題は解決されていないため、今後も大きな期待はすべきではないと考えています。
大手プラットフォームが主戦場であることは揺るぎない事実
このようなトレンドの一方で、Google・Yahoo!・Metaなどの大手プラットフォーム企業はアクティブユーザーが多いサービスを数多く提供しているため、自社サービス内での検索行動を含む大量のWEBデータを持っており、これらを活用して広告主の希望に沿ったオーディエンスを作成することが可能です。
また、これらの企業は自社サービス内で広告配信面を大量に抱えているため、「自社で集めた情報を使って自社のサービス内に広告を出す」という、1st Partyで完結した形で広告主の希望に合わせた広告配信を実現できるようになっているので、上述のようなトレンドに左右されづらいという特徴があります。
さらに、こうしたプラットフォームではCookieに依存せずに従来通りの広告効果が保てるように、ユーザーにアカウントのログインを積極的に促しています。
こうすることで、仮にユーザーが1st Party Cookieをオプトアウトしていたとしても、自社サービス内の利用履歴をログイン情報と紐づけて蓄積し、Cookieに頼ることなくユーザーに合わせた広告を提供することが可能となります。
このように、優れたサービスを提供するプラットフォーム企業は、その対価として、ユーザーからアカウントログインとそれに伴う情報提供を受けることでユーザーに合わせた広告を表示することができるようなエコシステムを構築しており、他の広告手法と比べて広告効果が高い理由はこのような背景を基にしています。
プラットフォームごとのおすすめ度
最後に、BtoB企業がリード獲得を目的としてディスプレイ・SNS広告を配信する場合の、主要な広告媒体のおすすめ度を理由とともに解説します。
前提として、広告配信するサービスによっておすすめ度合いは変わりますので、あくまで星の数は目安としてご理解いただき、おすすめする理由について読み進めていただけると幸いです。
Google★5
Googleは国内でも最大のシェアを誇る検索プラットフォームであり、Google ChromeやYouTube、Gmailなど利用者の多い無料サービスを数多く提供しています。
その結果として、Googleが提供するサービスのアカウント登録数も多いため、広告配信に使える多様なデータを取得でき、かつアクティブユーザー率も高いため広告配信の機会も多いです。
なお、Googleは独自で構築した広告配信ネットワークと技術により、前述のDMPが抱える問題を回避しながら3rd Partyのプレースメントにも広告配信ができるため、幅広いユーザーにリーチできるのが大きな特長です。
また、ターゲティング精度としてもリターゲティング広告に限らず様々なターゲティングを設定することができるため、リターゲティングを除いて3rd Party Dataを使ったディスプレイ広告でここまでの効果を期待できる媒体は他にありません。
このように、広告の配信ボリューム、ターゲティング精度いずれの観点でも優秀なため、BtoBのリード獲得を目的としたディスプレイ広告の配信では最優先で配信したい媒体と言えます。
Meta★4.5
Metaは「facebook」「instagram」「threads」などのサービスを提供しており、Googleに次いで多くのアクティブユーザーを集めているプラットフォームです。
セルフブランディングを目的に仕事に関連した情報を発信する人も多く、プロフィールの登録内容や投稿から「ユーザーがどのような会社に勤めているか」「どのような業務に関わっているか」「ユーザーが勤めている会社の規模感」なども把握したり推測することが可能です。
以下の通り、facebookとInstagramはユーザー数でそれぞれ第1位と第5位のSNSであり、1st Party面での広告配信在庫はGoogleを上回るため、リターゲティング以外のディスプレイ広告ではGoogleよりもターゲティング精度、広告配信ボリュームの観点で上を行くことも多いです。
一方で、Metaは広告でリーチできるユーザーがMetaが提供するサービスの利用者に限定されるため、Googleと比較すると3rd Party面での広告配信に強くないという弱点があります。
Yahoo!★3
Yahoo!もGoogle同様に検索プラットフォームを提供しており、Yahoo!ニュースなどディスプレイ広告の配信に使える1st Party面を数多く抱えています。
ただし、以下のようにGoogleと比較すると検索エンジンの国内シェアは大きく差があり、MetaのようにSNS機能やプロフィール登録があまり無いことから、ターゲティングに活用できる情報は限定的で、GoogleやMetaと比較するとおすすめ度は下がります。
なお、LINEとの統合によって今後は1st Party Dataが充実し、ターゲティングに使える情報が増えていく可能性はありますが、後述のようにLINEとBtoBビジネスの相性自体があまり良くないことを考えると、その進化も限定的になる可能性が考えられます。
Microsoft★3
近年、運用型広告におけるMicrosoft広告の注目度が上がってきています。Microsoft広告では、Windowsのデフォルト検索エンジンである「Bing」や、標準ブラウザEdgeのホーム画面に設定されている「MSN」などに広告配信できる点が特徴です。
特に大手企業ではセキュリティ上の観点から社用PCに自由にアプリケーションをダウンロードできないことも多く、そのままEdgeを使い続けるケースも少なくないことから、当社の実績上Microsoft広告はエンタープライズ企業の比率が高いなど、リードの質が良いという事例もあります。
ただし、Microsoft広告は歴史が浅く、開発も途上であることから、GoogleやYahoo!と違って検索履歴データを活用したターゲティングが出来ないなど、リターゲティング以外のメニュー開発がこれからというところでもあり、”ディスプレイ広告”という観点で評価をするにはあと一歩という印象を持っています。一方で、LinkedInはMicrosoftが提供するサービスであることから、両者のシナジーが今後大きくなってくるとおすすめ度が引きあがっていく可能性はありそうです。
X(旧Twitter)★2
X(旧Twitter)は、facebookと同様にビジネス目的の利用者が多いSNSプラットフォームではあるものの、個人・法人ともに一定のブランド力が無いとリードに繋げるのが難しい印象です。
Xは匿名で情報発信できるプラットフォームであり、フェイク情報含め質の低い情報も流通しやすい傾向にあるため、ユーザーは自身で受け取る情報と受け取らない情報を取捨選択しています。
これは筆者の仮説にすぎませんが、Xのユーザーが情報の取捨選択を行う際に、発信者のブランドが重要な判断基準となっており、広告で知らない発信者の情報が流れてきてもスルーされてしまう傾向があるのではないかと考えています。
また、ブランド力があるケースにおいても、このような”慎重な心理状態”で情報の取捨選択をしている背景から、個人情報を入力してもらいリード化するのは比較的難しい媒体であると考えられます。
LinkedIn★2
LinkedInはビジネス特化のSNSプラットフォームです。ビジネスプロフィールに登録されている法人や部署、役職などを基にしたターゲティングが出来るため、ターゲティング精度は高い一方で日本国内での普及率が低いことが最大の課題です。
Meta広告の配信が上手くいっている場合にLinkedInもトライすると成功しやすいですが、配信ボリュームが小さくなるケースが多いため、改善に工数をかけても事業全体に与えられるインパクトが小さくなりやすいという観点からおすすめ度は下がります。
LINE★1
日本国内の利用者は多いもののビジネス目的で利用しているユーザーが少ないため、BtoB企業のターゲティング精度はどうしても低くなってしまい、改善策を実行してもなかなか成果を出しづらい傾向にあります。
BtoB企業においてリード獲得を目的としたディスプレイ広告を配信する場合は、他の媒体にリソースを割く方が良いでしょう。
まとめ
上述の通り、BtoB企業がリード獲得を目的にディスプレイ・SNS広告を配信する場合は、Google・Yahoo!・Metaなどの大手プラットフォームが提供する広告サービスから優先的に広告配信を行っていくのがおすすめです。
ぜひ本記事の内容を参考に、BtoB×広告運用の最適化を進めてみてください。また、もし本記事を読んでもお悩みが解決しない場合には、お気軽にオーリーズにご相談ください。
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