GA4計測の注意点とは?計測精度を高める方法も紹介
現在、Webサイトへのアクセス経路は広告を含むさまざまなチャネルから発生しており、ユーザーがコンバージョンに至るまでに複数の広告やチャネルに接触するケースが増えています。
広告成果の計測・評価のために、GA4(Google Analytics 4)を用いているケースも多いと思います。しかしながら近年のCookie規制などにより、ユーザーが様々な媒体を横断した際、すべての流入経路をGA4だけで正確に計測するのは困難になっています。
本記事では、現在の計測方法の精度を確認するためのポイントや、計測不備が疑われる場合の対策についてまとめました。
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目次
GA4の計測で計測不備が発生するケース
GA4における計測不備の主な原因として、以下の2つが考えられます。
1. ITP(プライバシー保護機能)の影響
国際的なプライバシー保護の情勢を受けて、AppleはiOSやiPadなどの自社デバイスでITP(Intelligent Tracking Prevention)を強化しています。2024年8月時点では、全てのApple端末において、IPアドレスの異なるサーバーから発行されたCookieの保存期間が最大7日間に制限されています。(*即離脱の場合:数時間~最大1日、インタラクションがある場合:7日)
つまり、Appleデバイスを使用するユーザーは、Webサイトを訪問してから7日以内にコンバージョン(購入や申し込み)をしないと、その訪問データが計測されない可能性があります。
JavaScriptで設定された1st party Cookieはもちろん、NSレコード計測の設定をしていても、Cookieの保存期間が最長7日間に制限されています。技術のいたちごっこが続いていますが、現在は広告主のWebサーバーから発行したCookie以外は全て規制対象です。GA4のタグで設定されるCookieは、広告主のWebサーバーから発行されたものではないため、ITPの影響を受けやすい状況です。Appleデバイスからの流入は、7日間しか計測できません。
Appleデバイスからの流入は、7日間しか計測できません。
⇒ Appleデバイスからのサイト訪問後、7日以上経過してコンバージョンが発生した場合、その訪問は評価されません。
2. クロスデバイスやクロスブラウザによる欠損
SNS広告では、アプリ内のブラウザから標準のブラウザに切り替わるケースがあり、異なるデバイスやブラウザをまたいでユーザーがサイトを遷移すると、GA4では正確に計測できず、「Direct」や他の流入経路として分類されることがあります。
計測不備によって発生する問題
計測データが不正確だと、そのデータを元に行う施策にも影響が出ます。具体的には、新規・ミドルファネル向け広告が過小評価となり、既存・顕在層に対する広告が過大評価されるという問題が発生します。
例えば、ユーザーが初めて広告をクリックしてWebサイトを訪問しても、その後Cookieが削除されてしまうと、次回の訪問が初回と認識されない場合があります。その結果、本来初回の広告が過小評価され、2回目以降の広告が過大評価されることがあります。
下記図はあるユーザーが、広告①②との接触を通じて購入に至ったケースを表したものです。
ITPによってCookieが削除され、計測の分断が発生した場合、次のような評価になります。
- 広告①は実際にはユーザーのその後の行動に影響を与えているが、後に購入に繋がっていない広告と認識され、過小評価される
- 広告②は実際にはユーザーにとっての2回目のサイト訪問だが、初回の訪問と認識され、さらに購入にも繋がった広告と過大評価される
このように計測の分断がおこると、新規ユーザー向けの広告が過小評価、既存ユーザーや顕在層向けの広告が過大評価されることにつながります。
GA4による計測の正確性を確認するためのチェック項目
1. Direct計測の割合
GA4の「参照元/メディア」の「(direct) / (none)」とは、ダイレクトトラフィックあるいはノーリファラーと呼ばれ、参照元が不明なトラフィックを指します。
Direct計測が存在すること自体に問題があるわけではありませんが、参照元が不明なDirect計測が多い状態では正しくトラフィックを分析・評価できているとは言えません。
URLを直接入力したり、ブックマークからアクセスした場合なども含まれますが、Directの割合が高すぎる場合は、他の流入経路で計測漏れが起きている可能性があるため注意が必要です。
QRコードやメールなどにもパラメータを付けて計測することができるため、可能な限り全経路計測できるように設計しましょう。
2. Apple端末からの流入割合
前章でお伝えした通り、GA4ではAppleデバイスのITPの影響を受けるため、特にiOSユーザーが多い場合は計測不備が発生している可能性があります。
特に、商材の検討期間が長い(7日以上かかる)場合は、注意が必要です。
日本においてはスマートフォンのiOS比率が高いため、スマートフォンからのアクセスが多いサイトは再確認しましょう。
3. アトリビューションパスの確認
GA4の「広告」≻「アトリビューション」≻「アトリビューションパス」から、データドリブンモデルにおける初回/中間タッチポイントの確認ができます。
データドリブンモデルとは、ユーザーとの接点となった複数チャネルのコンバージョンへの貢献度をデータに基づいて正当に評価する仕組みのことで、GA4のデフォルトのアトリビューションモデルです。
例えば、ある検討期間が長い商材を扱うサイトでは、アトリビューションパスを確認することで、GA4における計測不備を疑う示唆が得られました。
- 約75%が後期タッチポイントに貢献度が割り当てられており、ほぼラストクリック評価と変わらないような状態となっている。(図①)
- コンバージョンに至った経路が、1チャネル100%となっている割合が高い。(図②)
- キーイベントまでのタッチポイント数は1であることが多いが、初めての流入でのCV(購入)がこれほど多いとは思えない。
データドリブンモデルは、機械学習アルゴリズムを使用してコンバージョン貢献度を算出するモデルのため、評価方法の詳細は不明ですが、多くのCVは初回/中間接触を繋げられていない印象を受けました。
このように、ラストクリック評価が多く初回や中間接触が少ない場合は、計測漏れが発生している可能性があります。
・図①:データドリブンモデルにおける初回/中間タッチポイントの評価
・図②:コンバージョンに至った経路
4. Meta広告とGA4のCV数の差異
SNS広告では、アプリ内ブラウザからデフォルトブラウザへの切り替えが起きると、GA4上での評価が「Direct」などに分類されてしまい、Meta広告の成果が正確に計測されないことがあります。
例えば、下記のケースでは、GA4上ではMeta広告に成果として計測されません。
- Meta広告クリック ⇒ LP ⇒ デフォルトブラウザへ切り替え ⇒ CV
- Meta広告クリック ⇒ LP ⇒ 離脱 ⇒ organic等 ⇒ LP ⇒ CV
広告媒体側で設定しているアトリビューション条件を踏まえた上で、同じ地点のCV数が広告の管理画面とGA4で大きく差がある場合は、計測不備が発生している可能性を考えましょう。
GA4ではGoogleシグナルによってクロスデバイス計測が強化されました。
しかし、クロスデバイスで同一ユーザーとして認識できるのは、Googleアカウントにログインしていて、かつ広告最適化を許可しているユーザーに限定されます。
計測不備が考えられる場合の対応方法
1. 計測不備を考慮に入れた評価を行う
新規・ミドルファネル向けの施策を実施する場合、どうしてもGA4上で成果が紐づきにくい環境であることが考えられますので、そのことを考慮して評価すると良いでしょう。
実際には以下のような対応をします。
- セッション単価、セッションの質を相対評価して新規向け広告の精査を行う
- 直帰率、セッションの滞在時間、1セッションあたりのPV数などをモニタリングして、決められた新規向け広告予算の中で最適化する
- (ECサイトの例)会員データなどに基づくシステム側での顧客情報をイベントで計測する
- 各チャネルにおいて、システム側での新規購入者数を媒体に紐づけてモニタリングして評価を行う
2. 計測ツールを利用する
1st Party Cookieを利用できる計測ツール(例:アドエビス)を使うと、ITPの影響を受けずに計測を行うことができます。また、クロスデバイスやクロスブラウザによる遷移も機械類推による計測の補完がされるため、より正確なデータを得られます。
GA4では計測不可な部分をカバーしており、初回/中間接触を計測の漏れが少ない状態で可視化できるため、新規向け施策の評価をより正確に行うことができます。
参考:アドエビス
まとめ
GA4を使用した計測は、Cookie規制やITPなどの影響で不正確になることがあります。
特にAppleデバイスやクロスデバイスの動きが多い場合、正確なデータが得られにくくなるため、広告の評価や施策にズレが生じることがあります。
これを防ぐためには、GA4のデータを注意深く見直し、必要に応じて他の計測ツールを活用することで、より正確な成果の把握が可能になります。最終的には、計測不備を考慮に入れた上で広告施策を評価し、最適化していくことが重要です。
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