BtoBマーケティングにおける生成AI活用の実態と提言2025|調査レポート

生成AIの進化が目覚ましい昨今、「全社的な生成AIの活用推進」を宣言する企業や生成AII活用事例を発信する企業も増えています。

関心の高まりはマーケティング業界においても同様です。

  • 他社ではどの程度生成AI活用が進んでいるのか
  • 生成AIの活用で、どのような成果が出ているのか
  • どうすれば組織で生成AIの活用が進むのか

当社でも、このようなご相談が増えていると実感しています。

そこで、マーケティング組織における生成AI活用の実態を明らかにするため、BtoB商材のマーケティング業務に関わる600名にアンケートを実施しました。実務で生成AIを活用するBtoBマーケターとエキスパートへの定性インタビューも加え、54ページの調査レポートにまとめました。

本調査レポートは才流の顧客向けの限定公開のため、記事では一部を抜粋してご紹介します。

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調査概要

調査目的 BtoBマーケティング業務における⽣成AIの活⽤実態を把握するため
調査対象 以下の条件をすべて満たす22〜60歳のビジネスパーソン
‧マーケティング組織に所属している
‧BtoB商材のマーケティング業務に関わっている
有効回答数 600件
調査期間 2025年8⽉19⽇
調査方法 Webアンケート調査
※データは⼩数点第2で四捨五⼊しているため、合計が100%にならない場合があります。
調査企画・実施 株式会社才流

生成AIを日常的に活用しているBtoBマーケターは限定的

まずは、個人の活用状況を確認してみましょう。

BtoBマーケティング業務における個人の「生成AIの活用状況」を聞いたところ、「ときどき活用している」と回答した人は41.7%で最多。次いで「日常的に活用している」が28.8%という結果になりました。

さらに、「まったく活用していない」「ほとんど活用していない」を合わせると29.5%(約3割)になることから、まだまだ業務における活用は限定的であるといえます。

BtoBマーケターへのインタビューからは、生成AIの活用が個人に委ねられている状況も伺えます。

BtoBマーケターへのインタビュー(抜粋)

  • ツールの導入は会社によるトップダウンだが、活用は個人の自主性に任されている
  • イントラサイトに解説動画やマニュアルが用意されている程度で、強制的な指導や研修はない
  • 生成AIの活用はトップダウンではなく、関心のある社員が個々に進めるボトムアップ型で始まった

組織全体で生成AIを日常的に活用しているケースはごく一部

次に、所属するマーケティング組織において「生成AIを日常的に活用しているメンバーの割合」について聞きました。

「メンバーの80%以上が日常的に生成AIを活用している組織」は全体の12.2%にとどまり、ボリュームゾーンは「20~49%」「50~79%」となっています。多くの組織で、生成AIの活用が浸透しきっていない状況が伺えます。

BtoBマーケターへのインタビューからは、組織によって取り組みの差が生まれていることも見てとれます。

BtoBマーケターへのインタビュー(抜粋)

  • 所属組織で毎日生成AIを使っているのは3割程度
  • 社員のうち生成AIを使ったことがある人は半数程度。業務にいかそうと前向きに使っている人は2割程度しかいないと感じている
  • マーケティング部門内の生成AI活用率は100%。営業はまだ活用していない人もいる
  • チーム内では「生成AIを毎日利用するのが当たり前で、使っていないと恥ずかしい」という文化が醸成されている

リーダーが前向きな姿勢を示す組織ほど生成AI活用率が高い

組織的な活用を進めるために、リーダーはどう立ち振る舞えば良いのでしょうか。

調査からは、リーダー(経営層、組織長)が「前向きに推進」する組織ほど、生成AIの活用率が高く、リーダーのコミットメントと組織の生成AI活用率に強い相関がみられました。

BtoBマーケターへのインタビューからも、リーダーのコミットメントやリテラシーが組織の生成AI活用率に影響していることが見てとれます。

BtoBマーケターへのインタビュー(抜粋)

  • 全社横断での推進チームはなく、各部門リーダーのリテラシーによって部署ごとの活用率に差が生じている
  • 生成AIの活用は、代表のトップダウンで強力に推進されている。背景には、シリコンバレーやインドの開発拠点と比較して、日本のAI活用が遅れているという強い危機感がある
  • 生成AIの活用推進を担う役員が任命されており、全社的に生成AIの利用率をモニタリングしている

また、生成AIの活用を支援するエキスパートのインタビューでは、「まずチームリーダー層に使い方を教え、約半年かけて組織全体に浸透させていくアプローチを取っている」との声もありました。

すでに生成AIによって外注費の削減効果が出ている

最後に、生成AIを活用することによる「外注費用」の変化を確認しました。

BtoBマーケティング業務で生成AIを活用したことにより、外注費の削減にどの程度寄与したかを聞いたところ、「やや削減された」が47.5%と最も多くなりました。「大幅に削減された」と合わせると、外注費の削減効果を感じている人は65.7%にのぼります。

BtoBマーケターへのインタビューでも、効果を実感する声がありました。

BtoBマーケターへのインタビュー(抜粋)

  • SEO記事の外注費(月20〜30万円)がゼロになった
  • SEO記事のテーマの壁打ちから構成案作成、ライティングまでの一連のプロセスで生成AIを活用。制作の外注費を月400万円ほど削減することができた
  • ホワイトペーパーのデザインに、GensparkやCanvaを使い、業務委託のデザイナー費用を50%削減することができた

特にコンテンツ制作領域(記事制作、お役立ち資料作成など)において、大幅なコスト削減事例が確認できています。

才流の事例
当社でもコンテンツ制作領域で生成AIを積極的に活用しており、2024年度はコンテンツチーム全体で年間約300万円のコスト削減に成功しています。また、2025年度はコンテンツ特化型のカスタムAIを開発し、1本あたりの記事制作時間を半減できました。

しかし、生成AI単独で作ったコンテンツを公開することはありません。生成AIを使用することで削減できたリソースやコストは、「生成AIにインプットする知見の収集、経験や思考の整理」「正しくわかりやすく伝えるための編集」などにあてることで、品質向上を目指しています。

リサーチャーの視点

土山

本調査では、生成AIの活用率や活用業務、活用した成果まで、定性インタビューと定量アンケートを用いて広く確認しました。調査結果から、BtoBマーケティング業務における生成AIの活用は、まだ「当たり前」の水準には達していないことが明らかになりました。
当社を含め、一部の企業では生成AIの活用が「当たり前」になりつつあります。しかし、業界全体では普及は途上にあり、活用は個人に委ねられているのが現状です。
組織として生成AI活用を推進していくカギは、経営層やマーケティング組織長のコミットメントとリテラシーにあります。 成功事例やベストプラクティスがまだ確立されていない普及初期だからこそ、リーダーの取り組み姿勢が組織全体に与える影響は極めて大きいといえます。
すでに半数程度の企業において、生成AI活用による業務効率化やコスト削減の効果が表れています。生成AIの活用を個人に委ねるのではなく、リーダーを中心に組織的に生成AIの活用を推進すべき段階に入っています。

本調査レポートの詳細

調査レポートの本編は、才流の顧客向け限定公開となっております。BtoBマーケティングに関わり、マーケター600名の方を対象に行った定量調査とユーザーインタビューもあわせた総合版です。ご興味をお持ちいただけましたら、お気軽にお問合せください

目次(全54ページ)

1. エグゼクティブサマリー ・調査の総括
・キーインサイト
2. 定量アンケート調査 生成AIの活用状況
・個人の生成AI活用状況
・組織で生成AIを日常的に活用しているメンバーの割合
・リーダーのコミットメントと活用率の相関
・活用している生成AI

生成AIを活用している業務
・生成AIを活用している業務
・生成AIを新たに活用したい業務
・生成AIによる成果
・外注費の削減効果

ガバナンス・今後の活用促進
・生成AI利用に関するガバナンスルール
・所属企業に期待するサポートや要望
・興味・関心が高いトピックス

3. 定性インタビュー調査 ・業務で生成AIを活用しているマーケター
・生成AI活用支援のエキスパート

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