【Google/Yahoo!広告】日予算と入札単価調整の仕様と設定方法

Google広告・Yahoo!広告の運用において、予算調整で失敗をした経験はないでしょうか?

運用設定には欠かせない「日予算」設定や「入札価格」の調整ですが、媒体によって独自のルールが設けられており、仕組みを理解せずに運用すると余剰予算が出てしまったり、予算を大幅に超えてしまうことがあります。

今回は、Google広告・Yahoo!広告の「日予算」「入札価格」の仕様について解説します。

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「日予算」の仕様と注意点

広告予算とは

Google広告・Yahoo!広告における予算とは、管理画面上でキャンペーンごとに設定できる配信金額の目安を指します

予算を適切に管理し広告費用をコントロールすることで、広告の投資収益率を最大化できます。

「日予算」の変更時の影響範囲

1日の予算(日予算)を変更すると、1日の費用の上限のほか、1ヶ月の費用の上限にも影響します。

Google広告・Yahoo!広告の「検索広告」の場合

1日の費用は、その日に設定された中で最も高い予算に基づいて決まります。

実際の費用が設定した「日予算」を超過することはありますが、その日に設定された中で最も高い1日の予算の2倍を超える料金が発生することはありません

    • キャンペーンの予算が1日を通して10,000円だった場合
      • 10,000円×2=20,000円が上限
    • キャンペーンの予算が午前中は20,000円だったが、正午に10,000円に変更した場合
      • 「その日に設定された最も高い1日の予算」は20,000円のため20,000円×2=40,000円が上限

参考:Google広告 費用の上限について(公式ヘルプページ)
参考:Yahoo!広告 検索広告の1日の予算を超過した場合の請求について(公式ヘルプページ)

Yahoo!広告の「ディスプレイ広告」の場合

広告の表示頻度が高い日は、1日の予算を大幅に超えたコストが発生する場合もありますが、1日の予算の120%までです。

また、1日の予算を途中で変更した場合は、1日の請求対象=(変更前)予算額の120%まで+(変更後)掲載可能な金額の120%までが請求対象となるので注意が必要です。

    • キャンペーンの予算が1日を通して10,000円だった場合
      • 10,000円×1.2=12,000円が上限
    • キャンペーンの予算が午前中は20,000円だったが、正午に10,000円に変更した場合
      • 20,000×1.2+10,000×1.2=36,000円が上限

参考:ディスプレイ広告(運用型)の1日の予算と請求について(公式ヘルプページ)

1ヶ月の費用の上限への影響

1ヶ月の費用は、予算にその月の残りの日数をかけた金額を上限として広告が掲載されます。1ヶ月費用が、1日の予算×1ヶ月の日数(30.4日*)を超えることはありません。

*30.4 は、1ヶ月の平均日数です(365 日 ÷ 12 か月 = 30.4)。Google 広告では、1 日の平均予算にこの数を掛けることで、1ヶ月分の予算を計算しています。

  • 例 9月1日~30日の1ヶ月間の場合
    • キャンペーンの「日予算」が1ヶ月を通して10,000円だった場合
      • 10,000円×30.4=304,000円が上限
    • キャンペーンの「日予算」10,000円を、9月21日に20,000円に変更した場合
      • 9月20日までの配信金額が190,000円だった場合
      • 20日までに消費した190,000円 +(1日あたり20,000円 × 9月の残り日数10日)= 1 か月の費用の上限:390,000円
    • キャンペーンの「日予算」10,000円で9月25日まで配信。この時点で300,000円を配信しており、9月26日に「日予算」を15,000円に変更した場合
      • 25日までに消費した300,000円 +(1日あたり15,000円 × 9月の残り日数5日)= 1 か月の費用の上限:375,000円

参考:Google広告 費用の上限について(公式ヘルプページ)
参考:Yahoo!広告 1カ月の請求限度額(公式ヘルプページ)

「日予算」の注意点

  • 検索トラフィックが多い場合や、広告の投資収益率が高くなると予測される場合など、クリックやコンバージョンを獲得しやすい日にチャンスを逃さないよう予算の消費が最適化されます。
  • 1日の予算を変更した時間までに変更後の予算額を使い切っていた場合、その日の残りの時間帯は広告が配信されなくなる可能性があります。

参考:Google広告 1日の費用が1日の平均予算を超える場合がある理由(公式ヘルプページ)
参考:Yahoo!広告 検索広告の1日の予算を超過した場合の請求について(公式ヘルプページ)

「日予算」の設定方法

Google広告

  1. キャンペーン管理画面の「予算」列にマウスオーバーすると表示される鉛筆マークの「編集」をクリックします。
  2. 設定したい金額を入力し「保存」

なお、金額の右隣に表示されている四角いアイコンをクリックするとキャンペーンの予算シミュレーション画面が開き、こちらで推奨の予算金額を確認することができます。 キャンペーン内に充分な学習データが溜まっていない場合は、このアイコンがグレーアウトされて使用することができません。

参考:入札単価、予算、目標値のシミュレーションで掲載結果を推測する(公式ヘルプページ)
参考:キャンペーンの 1 日の平均予算を設定、変更する(公式ヘルプページ)

Yahoo!広告

キャンペーン管理画面の「1日の予算」列の金額をクリックし、設定したい金額を入力のうえ保存をクリックします。

参考:検索広告のキャンペーンの1日の予算について(公式ヘルプページ)
参考:ディスプレイ広告(運用型)の1日の予算と請求について(公式ヘルプページ)

入札単価調整」の仕様と注意点

入札単価調整」とは

「入札単価調整」とは、入札単価を増減する割合のことです。「入札単価調整」を使用すると、費用対効果の高いセグメントへの入札金額を引き上げたり、逆に費用対効果の低いセグメントへの入札金額の抑制ができます。

例えば、あるキャンペーンで女性よりも男性へ配信した際の費用対効果が高く、より入札単価を引き上げたいケースで考えてみます。

キャンペーンの上限クリック単価が100 円に設定されている場合、男性への入札単価を20%引き上げると、男性へ広告を掲載する際の最終的な入札単価は120円となります。計算式は次のとおりです。

基準の入札単価: 100 円

単価調整: 100 円+(100 円 × 20%)=120 円

最終的な入札単価: 120 円

参考:Google広告 入札単価調整について(公式ヘルプページ)

「入札価格調整」で設定できる調整幅

媒体ごとに設定可能な入札価格調整と、その調整幅は以下の通りです。

Google広告

対象 種類 範囲 調整幅
ユーザー属性 性別、年齢、所得 キャンペーン
広告グループ
-90%~+900%
デバイス PC/スマフォ/タブレット キャンペーン
広告グループ
-100%~+900%
地域 国、都道府県、市区町村 キャンペーン -90%~+900%
広告のスケジュール設定 曜日、時間帯 キャンペーン -90%~+900%
ターゲティング方法 トピック、プレースメント キャンペーン
広告グループ
-90%~+900%
検索広告向けリマーケティングリスト   キャンペーン
広告グループ
-90%~+900%
インタラクション(通話に基づく入札単価調整)   Google 広告リニューアル版のキャンペーン -90%~+900%

キャンペーンの種類ごとに利用可能な入札価格調整は以下の通り。

引用元:Google広告 入札単価調整について(公式ヘルプページ)

Yahoo!広告

対象 種類 範囲 調整幅
デバイス PC/スマフォ/タブレット キャンペーン
広告グループ
・引き上げ率:0%~900%
・引き下げ率:1%~90%、または100%「引き下げ率」を選択すると、該当のデバイスには広告を配信しない設定となる。
地域 国、都道府県、市区町村 キャンペーン ・引き上げ率:0%~900%
・引き下げ率:1%~90%
曜日・時間帯 曜日、時間帯 キャンペーン ・引き上げ率:0%~900%
・引き下げ率:1%~90%
ターゲットリスト   キャンペーン
広告グループ
・引き上げ率:0%~900%
・引き下げ率:1%~90%

複数の「入札単価調整」の掛け合わせ

複数の入札単価調整が設定されている場合

複数の「入札単価調整」が設定されている場合、基本的にはそれらの値の全てが掛け合わされた値になります。

  • 例(入札単価:100円)
    • ターゲティング設定
      • 地域:中央区 +30%
      • 性別:男性 -50%
      • デバイス:SP +40%
    • 最終的な入札単価
      • 100円 ×( 1.3 × 0.5 × 1.4 ) = 91円

「キャンペーン」と「広告グループ」でそれぞれ「入札単価調整」をしている場合

広告グループの入札単価調整に基づいて、その端末の最終的な入札単価が決定されます。

    • キャンペーン:PC +20% 広告グループ:PC +30%
    • 上記の場合広告グループの設定が優先されるため、+30%のみが適用されます。

ただし、Google広告では「キャンペーン」でデバイスの入札単価を 100% 引き下げた場合、そのデバイスに対して「広告グループ」で設定した入札単価調整は使用されません。

また、Yahoo!広告でもデバイスの入札価格調整率で-100%(引き下げ率100%)を指定した場合は-100%が適用されます。

参考:Google広告 入札単価調整について(公式ヘルプページ)
参考:Yahoo!広告 入札価格調整機能とは【検索広告】(公式ヘルプページ)

同じ地域に対して複数の入札単価調整が設定されている場合

同じ地域に適用される入札単価調整が複数ある場合、その調整値は合算されません。最も細かい(小さい)地域の調整比が適用されます。

    • キャンペーン:東京 +20% 広告グループ:中央区 +30%
    • 最も細かい地域の設定が優先されるため、中央区 +30%のみが適用されます。

参考:Google広告 入札単価調整について(公式ヘルプページ)

自動入札における調整可能範囲

自動入札が適用されている場合、各種ターゲティングによる入札価格調整率が一部無効になります。各入札戦略の調整可否は以下のとおりで、Google広告・Yahoo!広告ともに同様です。

対象 クリック数最大化 コンバージョン数最大化 コンバージョン値最大化 目標コンバージョン単価 目標広告費用対効果 目標インプレッションシェア
デバイス 100%引き下げのみ 100%引き下げのみ 100%引き下げのみ 100%引き下げのみ
地域
スケジュール
ターゲティング
通話
ユーザー属性

なお目標コンバージョン単価にデバイスの調整を加えた場合は、入札価格ではなく目標のコンバージョン単価に適用されます。

参考:Google広告 入札単価調整について(公式ヘルプページ)
参考:Yahoo!広告 自動入札とは【検索広告】(公式ヘルプページ)

まとめ

「日予算」設定や「入札価格調整」は、運用業務の基本ではありますが、詳細な仕組みまで把握しておかないと、想定より配信が出ない、または想定予算を超過してしまう可能性もあります。

意図せぬ配信事故を防ぐためにも、運用している媒体の予算・入札調整の仕組みについて理解しておきましょう。

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