サイト訪問者の意図をベースにCTA改善することで有効リードは増えるのか?

リードやMQLの獲得を担うBtoBマーケターにとって、WebサイトのCVR(コンバージョン率)を向上させることは重要な課題です。その中でも見落とされがちなのが「CTA(コール・トゥ・アクション)の最適化」です。

一見すると、CTAの最適化はリード獲得にそれほど大きな影響を与えないように思われるかもしれませんが、実際にはリード獲得数を伸ばす鍵になり得ます。

本記事では、CTAのマイクロコピーにサイト訪問者の意図を反映することで、Webサイトからの有効リード獲得数を最大化する方法について詳しく解説します。

マイクロコピーの重要性、具体的な設計ポイント、効果検証の手順など、実践的なステップを紹介し、最後には成功事例を基にした改善方法もご紹介します。

CTA改善のみならず、Webサイト改善全般に活かせる内容だと思いますので、マーケティング施策の参考として、お役立ていただければ幸いです。

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CTAマイクロコピーの役割と効果

1.マイクロコピーとは

マイクロコピー」とは、ウェブサイトやアプリケーション内の短いテキストのことを指します。

具体的には、ボタンのラベル、フォームフィールドの説明、エラーメッセージなどに使用されるテキストが該当します。

これらのテキストは短いながらも、ユーザーに対して次に取るべき行動を明確に示したり、操作のサポートをしたりする重要な役割を果たします。

特にCTAにおけるマイクロコピーは、サイト訪問者がそのボタンをクリックするかどうかを左右するため、資料請求やデモの申し込みによるリード獲得に大きな影響を与えます。

2.CTAにおけるマイクロコピー最適化の効果

一般的に、CTA(コール・トゥ・アクション)とは「Webサイト訪問者を、意図したコンバージョンアクションに誘導すること」という意味で説明されることが多いと思いますが、これは半分正解で半分間違いだと思います。

なぜならば、CTAの効果を最大限発揮するには、サイト訪問者の意図を正確にくみ取り、その意図にあった訴求をしなけらばならないためです。つまり、こちらの都合だけでなく、そもそもサイト訪問者が望むものを提供する必要があるということです。

例えば、「料金プランが知りたい」という意図を持った訪問者にとって、以下どちらのCTAがクリックされやすいでしょうか?

  1. 「今すぐ資料ダウンロード」
  2. 「料金プランが良く分かる資料はこちら」

どちらも「資料請求をしてほしい」というこちらの意図を表した資料請求のアクションに誘導していますが、経験上、②の方が訪問者の意図と整合しているため、よりCTAのクリック率が高くなる傾向があります。また、フォーム通過率が同じならば、②の方がCVRが高くなる可能性が高くなります。

このテキストの差分によって生まれるサイト訪問者の行動の違い(クリックやコンバージョン)が「CTAにおけるマイクロコピー最適化の効果」と言えます。

CTAマイクロコピーの最適化手順

1.施策の目的を明確にする

まず、施策の目的を明確にすることが必要です。優先的に改善すべきCTAを絞り込んでいきます。

以下はその例です。

目的改善すべきCTAの例
有効リードの獲得を増やすトライアル、デモ申し込み、見積もり依頼、資料請求、問い合わせ
中長期的なナーチャリングを前提にコールドリードの獲得を増やすメルマガ登録、お役立ち資料ダウンロード、ウェビナー申し込み
会社やブランドのイメージ向上やサービス理解を促すブログ記事を読む、事例集ダウンロード、SNSフォロー

目的を明確にし改善すべきCTAが絞り込めたら、次に仮説立案のためにリサーチを行い、サイト訪問者の意図や興味関心を把握します。

2.リサーチによってサイト訪問者の意図を特定する

CTAのCVRを向上させるためには、Webサイト訪問者の意図を正確に把握することが必要です。

リサーチによってWebサイト訪問者がどんな情報を求めているかを理解することは、CTA設計やマイクロコピーのみならず、Webサイトの情報設計やコンテンツ開発にも必須のプロセスです。

リサーチ手法には以下のようなものがあります。プロジェクトの期間や予算、目標を考慮しながら選択しましょう。

  1. アクセス分析
    Google AnalyticsやAdobe Analyticsなどのツールを使って、サイト訪問者がどのページに多くアクセスしているか、どのページで離脱しているか、滞在時間が長いページなどを分析します。これにより、訪問者がどの情報に興味を持っているかを把握できます。
    例えば、「機能」や「料金」ページへの遷移が多く、かつ資料請求や問い合わせに繋がっていれば、「ソリューション検討をしている顕在層は機能と料金を特に詳しく知りたいのではないか?」という推測ができ、ホットリード獲得のためのCTA改善に役立てることができます。
  2. ヒートマップ分析
    ヒートマップ分析ではサイト内の各ページで「どのセクションが熟読されているか」「どの要素がクリックされているか」などを分析します。この分析結果から、サイト訪問者の行動や興味をデータに基づいて収集し、仮説立案プロセスで活用していきます。
  3. 競合調査
    競合サイトを調査し、どのCTAが使用されているか、どのようなマイクロコピーが付随しているかを確認します。
    例えば、競合サイトのCTAに「機能・料金が5分でわかる」のようなマイクロコピーが付随していた場合に、以下のような仮説が立てられるかもしれません。
    • 「機能」「料金」がCVRを向上させる上で有効なキーコンテンツなのではないか?
    • 「5分で分かる」という訴求で資料DLの心理的なハードルを下げてCVR向上を図っているのではないか?
      これらを参考情報としてCTAのマイクロコピー作成に役立てます。
  4. 定量調査
    Fastaskなどのアンケートツールを使用して、顧客やターゲット属性である人々に対してアンケートを実施します。
    例えば、「システム導入検討の際、プロダクトサイトではどのような情報を収集するか」といった具体的な質問を通じて、ターゲットが何を求めているかを把握し、目的に対する仮説立てます。
  5. デプスインタビュー
    アスマークなどのリサーチ会社を利用して、ペルソナやターゲットに近いモニターをリクルーティングし、インタビューを実施します。
    定量調査と同様に、「サイト訪問時にどんな情報を収集するか」「システムの導入検討時に何を重視するか」などの質問を行います。また、それらの質問に対して「それはなぜか」という質問を行うことで、定量調査では分からない背景や意図・感情などを明確にできます。
  6. ユーザビリティテスト
    アスマークなどのサービスを利用し、ペルソナやターゲットに近いモニターをリクルーティングします。
    そして、仮想シナリオのもとでタスク(資料請求を行うなど)の完了に向け、モニターにサイト内で情報収集を行ってもらいます。
    テスト終了後にはテスト中のサイト内行動について質問を行い、その行動と背景をセットで理解することが大切です。
    例えば、テストモニターがサイト内での情報収集を終え、資料請求CVに至ったとします。テスト終了後の質問の中で「なぜ資料請求をしようと思ったか?」「具体的にどの情報が資料請求のきっかけになったか?」などを深掘りして、訴求などの改善点を見つけます。
  7. 社内ヒアリング
    社内で営業担当などにヒアリングしてみるのも有効でしょう。
    架電やアポ時にシステム導入を検討している見込み顧客がどのような情報を知りたがっているのかヒアリングします。
    料金や機能だけでなく、「操作性」「デモ」「使いやすさ」が見込み顧客にとってのキーコンテンツであることが判明するかもしれません。その場合、「デモ申し込み」や「トライアル」等のCTAマイクロコピーにおいて、最適化の余地を見出すことができるかもしれません。

これらのリサーチ手法についてまとめると以下のようになります。調査で得たい情報や、調査にかけられるリソース等を考慮して、自社に合ったものを選ぶようにしましょう。

リサーチ手法調査の質調査のスピード調査のコスト
アクセス分析速い
ヒートマップ分析速い
競合調査
定量調査
インタビュー遅い
ユーザビリティテスト遅い
社内ヒアリング

3.リサーチ結果から仮説を立ててCTAとマイクロコピーを検討する

リサーチによって収集したデータを基に仮説を立て、それに対応するCTAとマイクロコピーを設計してきます。

事実の整理と初期仮説の立案

まずは収集したデータから事実を整理していきましょう。

<収集データから整理した事例の例>

  • アクセス分析では、「機能」と「料金プラン」ページの遷移が多く、資料請求や問い合わせのCVにも繋がっていた
  • 定量調査ではシステム導入する際に重視するポイントとして「機能」「料金プラン」という回答が多かった
  • 競合調査では資料請求CTAにおいて「料金表ダウンロード」「機能・プランガイド」というマイクロコピーを採用している企業が複数存在した

次に整理した事実から仮説を立てます。上記の事実から以下のような仮説が立てられます。

この仮説を検証方針として、次に具体的なテスト内容を考えていきます。

4.A/Bテストの設計と実施

⑴A/Bテストの目的を設定する

先ほど立てた仮説をもとに、以下のようなA/Bテストの目的を設定します。

例:
「CTAのマイクロコピーにおいて「機能」「料金プラン」を訴求することで資料請求CVRが向上し、有効リード獲得が増えるか明らかにすること」

⑵仮説に対応したCTAのマイクロコピーを検討する

『サイトの資料請求CTAにおいて「機能」「料金プラン」を訴求することでCVRが上がり、ホットリード獲得が増えるのではないか?』という仮説に対して、以下のようにA/Bテストで活用するマイクロコピー案を作成します。

目的改善するCTAマイクロコピー案
ホットリードの獲得を増やす資料請求機能・料金プランガイドをダウンロード

⑶A/Bテストのモニタリング指標を設定する

以下はA/Bテストでの評価に活用する指標の例です。

KPIの種類KPI項目説明
プライマリ指標CV数(フォーム通過数)資料請求コンバージョン数
CVR資料請求コンバージョン率
ホットリード獲得数資料請求コンバージョンからホットリードに転換した数
ホットリード転換率資料請求コンバージョンからホットリードに転換した率
サブ指標フォーム遷移数資料請求フォームに遷移した数
フォーム遷移率資料請求フォームに遷移した率
フォーム通過率資料請求フォームを通過した率

また、指標を決める際は、「プライマリ指標」「サブ指標」に分けることが大切です。

<プライマリ指標>

テストの結果が仮説が正しかったかどうかを直接的に測る評価指標です。

『サイトの資料請求CTAにおいて「機能」「料金プラン」を訴求することでCVRが上がり、有効リード獲得が増えるのではないか?』という仮説であれば、「資料請求CV・CVR」と「有効リード数・転換率」が指標になります。

<サブ指標>

プライマリ指標をサポートする指標です。テストの結果をより細かく分析したり、さらなる検証のためのファインディングスを得るための指標です。

例えば、資料請求CVRを「資料請求フォーム遷移」「資料請求フォーム通過」で分けて計測すれば、テストによるCVR変動の要因が詳細に分かり、次の改善アクションの仮説立てにも役立てることができます。

⑷A/Bテストを実施する

まず、下記の表のように従来のマイクロコピーを体験してもらう「コントロールグループ」と変更後のマイクロコピーを体験してもらう「テストグループ」にテスト対象を分けます。

グループパターンマイクロコピー比重
コントロールグループAパターン(従来のマイクロコピー)まずは資料ダウンロード50%
テストグループBパターン(変更後のマイクロコピー)機能・料金プランガイドをダウンロード50%

この時、テストの変更点は1箇所だけにすることが重要です。他の要素も変更してしまうと結果の要因分析が困難になる可能性があるためです。

また、テストの実施にはVWOなどのA/Bテストツールを活用することをおすすめします。

ノーコードでテストを実装できるうえ、各指標のモニタリングから統計的な有意性も判別することが可能です。

⑸テスト結果を確認する

実施期間が満了したり統計的有意性が判別できたら、各グループごとに指標を確認しましょう。

まずは「プライマリ指標」を確認して仮説が正しかったかどうかを確認します。

テストグループの「資料請求CV・CVR」と「ホットリード数・転換率」が、コントロールグループと比較して多ければ、仮説が正しかったことになります。

次に「サブ指標」を確認して、結果の要因を分析します。

例えば、テストグループの「資料請求CVR」がコントロールグループと比較して高かった場合、少なくとも「資料請求フォーム遷移率」または「資料請求フォーム通過率」のどちらか一方は必ず増加しているはずです。

「資料請求フォーム遷移率」の向上がCVR向上の主要因だとした場合に、「CTAのマイクロコピー最適化はフォーム遷移率の向上によりCVRを高める」という分析ができると思います。

一方で「資料請求フォーム通過率」はコントロールグループと比較して「変化が無い」または「減少した」ということもあるでしょう。

その場合、「CTAのマイクロコピーと連動して資料請求フォームページの訴求も整合させればさらにCVRが高まるのでは?」というような次のアクションに繋がる仮説立てに活かせる情報が手に入るかもしれません。

サイト訪問者の意図をベースにCTA改善をして有効リードが増加した事例

本記事ではCTAのマイクロコピーを最適化する手順について解説しましたが、こちらの記事では、法人向けSaaSのクライアントでCTAの改善によって有効リード数を増やした事例を紹介しています。

フォームページのCVRを改善し、リード獲得数やMQLを増やしたいと考えているマーケティング担当者の方は、あわせてご覧いただくとご参考になるかと思います。

まとめ

本記事では、見落とされがちな「CTAの最適化による有効リードの獲得」に焦点を当てました。

特に、CTAに付随する「マイクロコピー」にサイト訪問者の意図を反映することで、CVやMQL獲得につなげる具体的な改善手法をご紹介しました。

Hubspot社の元UXディレクターでユーザーエクスペリエンス分野の権威であるジョシュア・ポーター(Joshua Porter)は、自身のブログの中でマイクロコピーについて以下のような言葉を残しています。

「マイクロコピーは小さいながらもパワフルなコピーだ。」

CTAにおけるマイクロコピー最適化の重要性を再認識していただき、目標達成に向けた効果的なサイト改善にお役立ていただければ幸いです。

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