MQLをSQLに移行させるには?Salesforceを駆使したインサイドセールスで商談につながる顧客を増やす方法

マーケティングチームが獲得したリード(MQL)を、営業が商談すべきリード(SQL)へと育成(ナーチャリング)していくことは単純ではありません。

「リードの質の判断基準が不明確で、マーケターと営業の認識にズレが生じていないか。」「リードの情報が不足していて、スコアリングモデルの精度が上がらない」というお悩みを抱えている方もいらっしゃると思います。これらの課題は、マーケティングと営業の連携に起因することも多いため、Salesforceの機能を有効活用できれば、MQLからSQLへスムーズに移行ができるかもしれません。

本コラムでは、Salesforceとインサイドセールスの働きかけによって、どのようにリードの見極めを行い、MQLからSQLへ移行させるべきかを紹介します。

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SQL移行の判断基準となるデータ

SQLへの移行を判断する上で、注目すべき情報は大きく分けて2つあります。ひとつは業種や役職などの属性を表す「デモグラフィック情報」と2つ目にどのような行動をとったかを表す「行動情報」です。

それぞれについて詳しく説明していきます。

デモグラフィック情報

デモグラフィック情報は、マーケティング用語で顧客や顧客の属性を表す情報のことを言います。例えば以下のような項目です。

  • 企業デモグラフィック
    • 業種
    • 企業規模(従業員数、売上高など)
    • 所在地
    • 業種業態
  • 個人デモグラフィック
    • 部署
    • 役職
    • 権限(意思決定権の有無)

これらのデモグラフィック情報は、自社の商品・サービスに対する潜在ニーズの有無を推し量る上で重要な指標となります。

例えば、自社の主力商品が「人事評価システム」だとします。

この場合、「業種:IT」「企業規模:300名以上」「部署:人事部」といったデモグラフィックを持つリードは、高い確度でSQLになり得ると判断できます。

Salesforceを活用すれば、リードオブジェクトに、業種・企業規模・部署などのカスタム項目を設定することで、リードのデモグラフィック情報を一元管理できるようになります。

一方で、「業種:飲食」「企業規模:10名未満」「部署:総務部」といったリードは、たとえMQLの段階にあっても、SQLに移行させる価値は低いと判断されるでしょう。

このようにデモグラフィック情報に基づいてリードを選別することで、SQLへの移行を効率化できます。

Salesforceのレポート機能を使えば、特定のデモグラフィックを持つリードを簡単に抽出することも可能です。

ただし、デモグラフィック情報だけではニーズの強さまでは判断できません。そこで、もう1つの観点として「行動情報」を見ていく必要があります。

行動情報

行動情報とは、リードがWebサイトやメール、セミナーなどでどのような行動をとったかを表すデータです。具体的には以下のような項目です。

  • Webサイト上の行動
    • 閲覧したページ
    • 滞在時間
    • 直帰率
    • CTR(クリック率)
  • メールの反応
    • 開封率
    • CTR
  • セミナーへの参加状況
    • 申込み/参加の有無
    • 参加回数
  • 資料請求の有無
    • 資料の種類(事例集、料金表等)
    • 請求回数

これらの行動情報は、リードの自社に対する興味関心度を測る重要な指標となります。

Salesforceなら、Webサイトと連携することで、これら行動情報を自動で記録することが可能です。リードの行動履歴が可視化されることで、より精度の高いSQL判定が行えるようになるのです。

このように、行動情報を分析することで、リードのニーズの強さを推し量ることができます。デモグラフィック情報と組み合わせることで、SQLへの移行を総合的に判断しましょう。

スコアリングモデルの活用

デモグラフィック情報と行動情報を組み合わせてリードを評価する際、スコアリングモデルを活用すると客観性が高まります。スコアリングモデルとは、各評価項目に点数を割り当て、合計点によってリードの優先度を決定する仕組みです。

例えば、以下のようなスコアリングルールを設定します。

  • デモグラフィック情報
    • 業種:IT(+5点)、その他(+0点)
    • 企業規模:300名以上(+5点)、300名未満(+0点)
    • 部署:人事部(+5点)、その他(+0点)
  • 行動情報
    • 料金表閲覧:あり(+10点)、なし(+0点)
    • 資料DL回数:2回以上(+10点)、1回(+5点)、なし(+0点)
    • セミナー参加回数:2回以上(+10点)、1回(+5点)、なし(+0点)

このルールに沿ってリードを採点し、基準点以上のリードをSQLとして扱います。定量的な評価基準を設けることで、担当者の主観に頼らずに済み、一定のクオリティを担保できるようになります。

Salesforceには、スコアリングモデルを自動化する仕組みが用意されています。

Einstein Lead Scoringという機能を使うと、Salesforce上のデータを元に、リードのスコアを自動で算出してくれます。

営業が商談を行った過去のデータを学習することで、「どのようなデモグラフィック・行動のリードが商談化しやすいか」を自動で判定し、スコアリングに反映されます。機械学習の力を借りることで、人手でルールを設定する手間を大幅に削減できます。

ただし、スコアリングモデルはあくまで「モデル」であり、絶対的なものではありません。運用を重ねる中で、各項目の配点や基準点をチューニングしていく必要があります。

Einstein Lead Scoringにも、スコアリング結果にフィードバックを与える機能が備わっています。営業が商談を行った結果を学習データとして取り込むことで、モデルの精度を継続的に高めていくことが可能です。

ただしスコアリングモデルはリードの優先順位付けには有効ですが、最終的な商談化の可否を決定づけるものではありません

高スコアのリードでも、実際に営業と話をしてみると「予算が取れない」「導入時期が合わない」といったケースは十分に起こり得ます。実際の例に自治体向けのSI会社の事例では、スコアリングモデルで上位10%に入ったリードのうち、実際に商談化に至ったのは25%程度だったそうです。

スコアはあくまで「SQL移行の判断材料の1つ」であると認識しましょう。最終的には、インサイドセールスによるアプローチを通じて、「真に有望なSQL」を見極める必要があります。

インサイドセールスの役割

MQLからSQLへの移行プロセスにおいて、インサイドセールスの果たす役割は非常に大きいです。スコアリングモデルによる機械的な評価だけでは測れない「リードの温度感」をインサイドセールスが補完することで、SQLの精度を高めることができます。

具体的には、インサイドセールスがリードに電話やメールで直接コンタクトを取ることで、以下のような情報を収集します。

  • 現在の課題や要望
  • 予算の有無や規模感
  • 導入タイミング
  • 決裁プロセス
  • 他社製品の導入状況 など

これらの情報は、デモグラフィック情報や行動情報からは読み取れない、リードのより深い部分に触れることができます。インサイドセールスとの対話を通じて、「真に有望なSQL」を見極める必要があります。

人材開発コンサルティング会社の事例では、スコアリングモデルで上位に入ったリードに対し、インサイドセールスが1件ずつ丁寧にアプローチしたところ、スコアリングのみの時に比べ、SQLへの移行率が2倍以上に高まったそうです。こうしたインサイドセールスの活動をサポートするのが、SalesforceのSales Engagement機能です。メールテンプレートやコールスクリプトをSalesforce上で管理し、インサイドセールスのアプローチを標準化・効率化することができます。

また、インサイドセールスがリードに行ったアクションは自動的にSalesforce上のリードレコードに記録されます。メールの送信履歴や、電話の応答結果なども時系列で可視化されるため、リードとのコミュニケーション状況を追跡しやすくなります。

ただし、大量のMQLに対して無差別にインサイドセールスがアプローチしても、効率は上がりません。スコアリングモデルであらかじめ優先度の高いリードを絞り込んだ上で、インサイドセールスが「最後の仕上げ」を行うことが理想的です。

そのための施策として、先述したEinstein リードスコアリングの結果を元に、高スコアのリードのみをインサイドセールスに割り当てるといったオペレーションが考えられます。リードレコードの所有者をインサイドセールスに自動アサインすることで、優先的にフォローを行える仕組みを作るのです。

出典:https://help.salesforce.com/s/articleView?id=sf.einstein_sales_lead_insights.htm&type=5

このように、「スコアリングモデル」と「インサイドセールス」は両輪として機能することで、MQLからSQLへのスムーズな移行を実現できます。両者の強みを活かし、連携することが重要です。

SQL移行後のフォロー

最後に、MQLからSQLへの移行後のフォローについて触れておきます。

折角SQLとなったリードを、そのまま放置してはもったいないです。成約につなげるためには、SQLをしっかりとフォローし、商談化を促進する必要があります

SQLに対しては、営業担当者が直接コンタクトを取り、より具体的な商談を進めていきます。その際、MQL段階で収集した情報を営業担当者と共有することが重要です。リードの課題や要望、これまでの経緯を把握した上で商談に臨むことで、成約率を高めることができるでしょう。

バーティカルSaasのベンチャー企業では、インサイドセールスから営業へのリード引き継ぎの際、Chatter(Salesforceの社内コラボレーションツール)を活用しているそうです。リードレコードにChatterのスレッドを設け、インサイドセールスが収集した情報を記録・共有しています。

これにより、営業担当者は初回の商談前に、リードの背景を十分に理解した上でアプローチできるようになります。顧客との商談でも、スムーズな会話の導入が可能になるなど、引き継ぎ後のフォローがしやすくなるメリットがあるのです。

また、SQLへの移行後も、リードの行動情報を継続的にトラッキングすることをおすすめします。Webサイトでのアクセス状況や、メールの反応などから、リードの興味関心の変化や、商談の進捗状況を推し量ることができます。この情報を営業担当者にフィードバックすることで、よりタイムリーかつ的確なフォローアップが可能となります。

まとめ

MQLからSQLへの移行プロセスにおいて、優先的にアプローチすべきリードを見極めるためには、「デモグラフィック情報」と「行動情報」の 2つの観点からデータを活用する必要があります。これらのデータを組み合わせることで、スコアリングモデルで定量的に評価することで SQL の精度が向上することが分かりました。

ただし、スコアリングモデルだけでは「リード温度感」を補完するために、インサイドセールスが欠かせません。マーケティングオートメーションツールとインサイドセールスの強みを活かし、連携することが理想です。

また、SQL 移行後のフォローも重要なポイントです。顧客との接点を継続的にトラッキングすることで、受注確率向上に役立ちます。

MQL から SQL への移行は営業効率を大きく左右する重要なプロセスであり、自社に合った SQL の定義づけと、データ活用・組織連携の仕組み作りが求められます。

特にBtoBマーケティングでは効率的なリードナーチャリングの仕組みを構築し、マーケティングと営業が一丸となって成果を最大化していくことが重要です。

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