【glu×GCP×DOMO】実はカンタンに作れる!?LTV分析のダッシュボード基盤
今回は、弊社で使っているダッシュボード基盤について、実際にどんなツールを使っているかも含めて、具体的にお話しようと思います。
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目次
広告予算が増えると必ず出てくるモニタリングの課題
広告運用では、リアルタイムに観察/分析をしながら、アジリティの高いアクションにつなげるモニタリングの環境づくりが大切です。
アジャイルマーケティング・エージェンシーという存在を目指す我々もまた、モニタリングをとても重要なものだと認識しています。
まずは「コントロールできること」と「観測できること」の整理を始めることが、アジャイルマーケティングの第一歩と言えます。
引用元:https://allis-co.com/allisblog/2289/
広告運用では、予算が増えてくると、必ずと言っていいほど以下の2つの課題が発生します。
1.媒体やキャンペーンが多くなり、モニタリングの数字把握だけで手一杯。改善アクションまで手が回らない。
具体的なシーンで言うと、こんなところでしょうか。
1-1.何種類もの媒体の管理画面をみており、全体感が分からない
1-2.モニタリングのExcelシートが何十枚にも及んでしまい、重くて動きが遅かったり、最悪破損したりする
2.WEB上のコンバージョンは増えているが、その後(購入, 商談など)まで繋がっているか分からない。
2-1.広告主から、「予算を増やしてから、リードの質が悪化した気がする」と言われる
2-2.検索とディスプレイなら、検索の方がCVの価値が高い気がするが、それを証明できない
弊社では、このような課題に対し、効率的なモニタリング環境をつくることで対応しています。
具体的には、アタラ合同会社の提供する運用型広告レポート作成支援システムgluで抽出した広告データ、AD EBiS等の3rd party計測データ、広告主のCRMデータを、Google社の提供するパブリッククラウドGCP(Google Cloud Platform)に集約してモニタリングテーブルを作り、BIツールDOMOを使ってそれをビジュアライズする、といった基盤を構築しています。
ビジュアライズが得意なDOMOをインターフェースとすることで、数字の把握工数が格段に削減され、課題1を解決し、CRMデータを含めたすべてのデータをGCPに集約しデータウェアハウスとすることで、一気通貫で広告の評価をすることができ、課題2を解決しました。
これにより、日々のPDCAサイクルは格段にスピードアップしました。本記事では、その具体的な方法をお伝えします。
すべてのデータはGCPに
上図が、基盤の簡単な設計図ですが、【すべてのデータはGCPに】を思想に設計しています。
(※なぜGCPなのか?は後述します)
各媒体の広告データは、gluで一括抽出し、GCPのオンラインストレージサービスGCS(Google Cloud Strage)に格納しています。AD EBiSなどの3rd party計測データもGCSに格納しています。
広告主のCRMで保持しているCV以降(例:商談、購入)のデータも、GCSに格納、またはGCPのデータウェアハウスBigQueryで参照可能な状態にしておきます。
元となるデータがすべてGCP上に揃ったところで、BigQueryでSQLを書いて回し、モニタリング用に加工されたテーブルを作成します。
そのモニタリング用のテーブルを、DOMOが参照してビジュアライズする、といった仕立てになっています。
DOMOのビジュアライズイメージ
あるBtoBの企業様A社を例に、DOMOのイメージをご紹介します。
A社では、オンラインでの問い合わせ・資料ダウンロードをコンバージョンとしており、それがリードとなります。そのリードに対してセールスが架電・メールなどで商談に進めるといったプロセスになっています。
上図では、総計のコストとCPN(商談単価)で全体感をウォッチしています。CPNは目標5万円に対してやや上振れ気味、コストはデイリー目標33万に対して上振れ気味なので配信を抑えるというジャッジになります。
ではどの媒体で抑えるか?は、以下のカードを見にいきます。
サーチ、リターゲティング、オーディエンスターゲティングの3つに分けてコストを表示しています。
DOMOでは元のカラムからカスタムパラメータを作れることができるので、ここではこの3つに分けています。
上記カードで見ると、オーディエンスターゲティングの割合が多いので、右側のフィルタでオーディエンスターゲティングに絞って確認します。
すると、CPNで明らかに足を引っ張っていることが分かりますので、「オーディエンスターゲティングの配信を抑える」という運用判断になります。
上記ではわかりやすく3つに分けて説明していますが、
実際の運用では、
- Google×サーチ×指名
- Google×サーチ×汎用
- Yahoo×サーチ×指名
- Yahoo×サーチ×汎用
- Google×オーディエンスターゲティング×カスタムインテント
- Facebook×オーディエンスターゲティング×類似 etc…
のように施策ごとに数十のカテゴリで確認しています。
ダッシュボードを導入してからの変化感
このようなモニタリング環境を用意したことで、冒頭で挙げた課題も解決されました。
1.媒体やキャンペーンが多くなり、モニタリングの数字把握だけで手一杯。改善アクションまで手が回らない。
1-1.何種類もの媒体の管理画面をみており、全体感が分からない
1-2.モニタリングのExcelシートが何十枚にも及んでしまい、重くて動きが遅かったり、最悪破損したりする
これについては、数字把握の時間がかなり削減されました。全体感が分からないモヤモヤ感もなく、Excelが遅いイライラからも開放されました。
また、カテゴリ別に細かく確認したいと思っても、その運用工数が (精神的にも) ハードルになっていましたが、それが解決されました。
2.WEB上のコンバージョンは増えているが、その後(購入, 商談など)まで繋がっているか分からない。
2-1.広告主から、「予算を増やしてから、リードの質が悪化した気がする」と言われる
2-2.検索とディスプレイなら、検索の方がCVの価値が高い気がするが、それを証明できない
商談につながらない無駄なコンバージョンが削減されたという、定量的な変化ももちろんあったのですが、一番の変化感は、「商談に繋がっているかについて迷わなくなった」ということです。
これまでは、ブラックボックスになっているがゆえに判断に迷いが生まれてしまい、ジャッジやアクションの速度や精度を落としていました。それが、議論にすら上がらなくなったというのが大きな収穫でした。
なぜGCPなのか?
最後に、なぜデータウェアハウスにGCPを採用したかの理由をお伝えします。理由はいくつかありますが、主な理由は以下の3つです。
- 導入ハードルが低い
- 費用が安い
- 汎用性が高い
1.導入ハードルが低い
GCPは誰でも簡単にアカウントを開設することができます。Googleマーケティングプラットフォーム(360シリーズ)のように正規の販売パートナーを経由する必要もなく、WEB上で申し込みと開設が完結します。
https://cloud.google.com/
2.費用が安い
とにかく安いです。投入するデータにもよりますが、上記のモニタリング用なら、広告アカウント1つあたりで、月に数十円といったレベルです。GCPにはALWAYS FREEと呼ばれる無料枠があるのですが、ほぼこの無料枠の範囲でおさまってしまいます。
▼BigQueryの無料枠
・1か月あたり1TBのクエリ ・1か月あたり10GBのストレージ
▼Cloud Storageの無料枠
・ 5GBのRegional Storage(特定リージョンのみ)
引用元:https://cloud.google.com/free/docs/always-free-usage-limits
また、アカウント開設時に300$のクレジットを貰えるので、万が一ALWAYS FREEから足が出ても、ほぼこの範囲で収まるでしょう。(※記事執筆時点)
3.汎用性が高い
BigQueryでモニタリング用のテーブルを作ってしまえば、BIツールと連携するうえでとてもラクです。
今回ご紹介したDOMO以外にも、Tableau、PowerBI、Googleデータポータルなど、有名どころのBIツールはBigQueryと連携可能です。
また、広告主のCRMとの連携という観点でもGCPは優秀です。
広告主もBigQueryアカウントを持っていれば、アカウントをまたいで参照権限をつけることが可能ですし、TresureDataからBigQueryへのエクスポートというのも可能です。
またスプレッドシートからも参照可能なので、お試しでスプレッドシートから連携するというのも良いと思います。
このように、とりあえずBigQuery上で全データを触れるようにしておけば、あとはSQLを書いて、自分が好きなようにデータを加工できるというわけです。
さいごに
日々の運用で、モニタリングまわりでこういった負を抱えてるマーケターの方はたくさんいらっしゃるかと思います。
本記事が、そういった方々のヒントや力添えになれば幸いです。導入ハードルは低いので、ぜひ試してみてください。
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