Account Engagement(旧Pardot)とは?基本機能と向いている企業の例を紹介

Account EngagementはBtoB向けのMA(マーケティングオートメーション)ツールとして、トップクラスのシェアを誇っています。Account Engagementは集客からリード(見込み顧客)の獲得・育成、営業活動の一部まで対応できる多機能、高性能なツールです。

しかし、色々な活用が可能なことから「どの機能を使えば良いのか分からない」「自社業務とマッチするのだろうか?」と迷うケースもあります。

当ページではAccount Engagementの概要や基本機能、導入メリット・デメリット、導入に向いている企業、スムーズに導入するポイント、他ツールとの違いなどを解説します。

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目次

Account Engagement(旧Pardot)とは

Account Engagementとは、Salesforceが提供しているBtoBに特化したMA(マーケティングオートメーション)ツールです。

2022年4月7日に名称変更されるまでは「Pardot」と呼ばれていましたが、2022年4月7日に「Marketing Cloud Account Engagement」と名称変更されました。(以下「Account Engagement」と表記)

Account Engagementによって実現できる業務は、大きく分けて次の3つです。

  • 見込み顧客の創出:各種フォーム・ランディングページの作成やステップメールの自動配信
  • タイムリーな営業活動:見込み度の高いリードの抽出やSFA(営業支援)ツール・CRM(顧客管理)ツールとの連携
  • マーケティング効果の可視化:施策単位や全体のレポートを出力できる

Account Engagementを導入することで、マーケティング部門と営業・セールス部門の連携を強化でき、ビジネスの成果を高めることができます。

MA(マーケティングオートメーション)ツールとは

MA(マーケティングオートメーション)ツールとは、マーケティング活動を自動化するためのツールです。例えば、Webサイトでの資料請求の受け付けや販促メールの配信、リードのウェブ行動のトラッキングなど、リード創出からホットリードの発掘までを自動化できるのが一般的です。

したがって、MAツールは主に自社商品に興味があるものの具体的な行動に移っていない潜在層、リードを中心に用いられます。関連ツールのSFAツールとの違いをまとめたのが次の表です。

MAツールSFAツール
目的マーケティング活動の自動化営業活動の支援
主な適用フェーズ・リード獲得
・リード育成
・見込み度の高いリードの発掘
・リード架電、商談 ・成約
具体例・各種フォーム
・ランディングページ作成
・ステップメールの自動配信 など
・見込み度の高い顧客への営業活動
・個別化された顧客対応
など

このように用途に合わせてツールを使い分けることが重要です。Account Engagementは、同じSaleseforceのSFA・CRMの領域を担当するツール「Sales Cloud」と高い連携性を持っています。連携によってMA領域における顧客の興味・関心や行動履歴などの情報を共有すれば、相乗効果でマーケティングの成果を高めることが可能です。

Saleseforceの製品については、以下の記事もご覧下さい。

Account Engagement(旧Pardot)の主な用途

Account Engagementの活用シーンを具体的にイメージできないという人もいるのではないでしょうか。Account Engagementの主な用途は、顧客獲得の早期段階である「マーケティング施策の実施」「インサイドセールス」の2つです。2つの場面でAccount Engagemenがどのように役立つのか、以下に詳しく解説します。

マーケティング施策の管理ツールとしての利用

Account Engagementの主な用途の一つは「マーケティング施策の管理」です。

Account Engagementでは、広告・メルマガ・ブログなどさまざまなマーケティング施策で使用する「ランディングページ」や「Webフォーム」を簡単に作成できます。さらにリード情報や行動追跡(トラッキング)情報を収集して、自動的にAccount Engagementに蓄積することが可能です。

Account Engagementを利用することで、さまざまなチャネルで展開するマーケティング施策を一元管理でき、施策の実行・分析・改善を効率化できます。

インサイドセールスの支援ツールとしての利用

もう一つの活用分野は「インサイドセールス」です。

メールマガジンの運営や、休眠顧客の掘り起こしのための販促メールなどでインサイドセールスを実施しているものの、成果が上がらない企業は多くあります。開封率やコンバージョン(資料請求や申し込みなど)率が低い原因の多くは、リードのニーズに合わない情報を配信していることが原因です。

Account Engagementを導入すれば、精度の高いインサイドセールスを実施しやすくなります。Account Engagementに蓄積されたリードの属性情報や自社サイト内の行動履歴、メールの開封状況などに基づいて、ニーズに合わせてパーソナライズされたメールを自動配信することが可能です。

また、Account Engagementは「スコアリング」や「グレーディング」という見込み度をランク付けする機能も搭載されています。これらの機能を使うことで、見込み度の高い顧客に対して優先的に対応でき、インサイドセールスの効果性を高めることができます。

Account Engagement(旧Pardot)の基本機能一覧

ここからはAccount Engagementの基本機能を解説します。全体のポイントをまとめたのが次の表です。

機能説明
WebトラッキングWeb上におけるリードの行動を追跡し、記録できる機能
スコアリングリードがとったアクションに応じて見込み度を数値化して評価する機能
グレーディング顧客の業種・役職・企業規模・立地条件などの属性情報に基づいて等級を決める機能
シナリオ・ステップメールの配信事前に決めたシナリオに基づいて、メールを自動的に送信する機能
フォーム・ランディングページの作成フォームとランディングページを作成できる機能
レポートマーケティングの投資対効果を視覚化できる機能
Salesforceとの連携Salesforceと接続してシステム間でデータ共有できる機能

各機能について解説します。

Webトラッキング

Webトラッキングとは、Web上におけるリードの行動を追跡し、記録できる機能です。Webトラッキングによって蓄積された情報は、Account Engagementによるリード獲得、育成施策に役立てられます。

例えば、自社サイトのどのページを閲覧したか分析すれば、リードが興味を持っている商品を把握でき、インサイドセールスに応用できるでしょう。滞在時間や離脱ページなどを分析すれば、サイト改善に役立てられます。

また、Webトラッキングの情報は商談に至るまでのプロセス把握にも効果的です。営業スタッフは事前にWebトラッキングの情報を参考にすることで、リードの心理・状況を把握しやすくなり、最適なアプローチ方法を選びやすくなります。

スコアリング

スコアリングとは、リードがとったアクションに応じて見込み度を評価する機能です。例えば、Webトラッキングによって自社サイトへの遷移があったリードは+1点、入力フォームから資料請求したリードは+5点のように数値を合計して、リードの見込み度をランク付けします。アクションの数が多いリードほど、またコンバージョンに近いアクションをとったリードほどスコアが高くなり、見込み度の高い「ホットリード」と評価するのが一般的です。

このスコアリング機能によって、マーケティング部門は最適なタイミングで営業部門にリードを引き渡せます。またスコアリングの変動は、マーケティング部門の施策の効果検証にも活用することが可能です。

グレーディング

グレーディングとは、顧客の業種・役職・企業規模などの属性情報に基づいて評価し、顧客にグレード(等級)を付ける機能です。顧客のFからA+までの13段階で評価し、A+に近いリードほど自社の商品・サービスにマッチしていることを表します。

グレーディングとスコアリングは混同しやすい機能です。スコアリング機能はリードの行動一つ一つを数値化する「動的な評価」であるのに対して、グレーディングは顧客のプロフィールに基づいた「静的な評価」といえるでしょう。また、スコアリングは商品・サービスへの関心度で評価するのに対して、グレーディングはターゲットとしての適合度を評価するものです。

企業によってはグレーディングを手作業で実施しているケースもあるでしょう。それには多くの手間がかかり、評価を担当する人によってばらつきが生じることもあります。Account Engagementを使えば、一律の基準で顧客を評価し、優先的に営業活動すべき顧客を自動的に整理できます。

シナリオ・ステップメールの配信

Account Engagementの「Engagement Studio」と呼ばれる機能を使うと、シナリオメールを配信できます。

シナリオメールとは、あらかじめ決められたタイミング・順番に沿ってメールを自動的に配信することです。ステップメールとも呼ばれます。シナリオメールを導入することで、適切なターゲットに対して効果的なタイミングを逃さずメールを送信できます。

Engagement Studioでは、ツリー状のシナリオ分岐を直感的に作成することが可能です。例えば、「定期お知らせメール→開封あり→お客様の最新事例メール→入力フォームにアクセス→営業スタッフにSlackで通知→SalesforceのToDoタスクに登録」のようなシナリオを簡単に作成できます。

シナリオメールの配信は、メール送信の自動化に特化した「メール配信システム」でも可能ですが、Account Engagementのメリットは、「入力フォームにアクセス」のようなウェブ行動を捕捉したり、「営業スタッフにSlackで通知」のようにメール以外のアクションも自動化できる点です。

フォーム・ランディングページの作成

フォームとランディングページをAccount Engagement上で作成できます。

フォームとは問い合わせや資料請求などの入力フォームのことです。テンプレートをカスタマイズして、氏名・会社名・部署名・役職・メールアドレス・電話番号などの入力欄を配置するだけで、誰でも簡単にノーコードでフォームを作成できます。また「フォームハンドラー」を用いると、既存フォームまたは独自に新規作成したフォームを登録できます。

ランディングページとは、問い合わせや資料請求などを促す訴求情報をまとめたWebページです。Account Engagementではフォームと共に掲載するランディングページも、テンプレートに沿ってノーコードで作成できます。

レポート

レポート機能とは、マーケティングの投資対効果を視覚化できる機能です。Account Engagementの多彩なレポートの中から代表的な種類を挙げると次の通りです。

  • キャンペーンレポート:各施策のリード獲得単価や受注金額などが自動計算されている。どの施策が成果に貢献しているか成果測定できる
  • ライフサイクルレポート:マーケティングデータと売り上げデータをまとめたもので、セールスサイクルの健全性の把握に役立つ。また、マーケティング部門と営業部門の連携性をチェックする際も参考になる

この他、顧客が使用した検索語句をまとめた「自然検索レポート」、SNS投稿のパフォーマンスを数値化した「ソーシャル投稿レポート」など、さまざまなレポートを活用できます。

Salesforceとの連携

Account EngagementはSalesforceと接続でき、システム間でデータを共有できます。この連携により、マーケティング部門のデータを営業部門の顧客データとリアルタイムで連携させることが可能です。例えば、Account EngagementからSalesforceにキャンペーンの追加・更新をしたり、逆にSalesforceのキャンペーン状況をAccount Engagementで確認したりできます。

マーケティング部門と営業部門で別々のシステムを使っている場合、システム同士の相性が悪いと適切にデータ連携ができず、作業負担が増えたりタイムラグが生じたりする場合が少なくありません。

Salesforce導入済みの場合はもちろん、未導入の場合にはAccount Engagementと合わせてSalesforceを導入することで、マーケティング部門と営業部門の連携を強化できます。

Account Engagement(旧Pardot)と連携できる外部ツール

Account Engagementは各種の「コネクター」と呼ばれるインターフェースを提供しており、これらを用いると他のシステムと連携できます。ここでは、よく連携される3つのシステムを紹介します。

Google Analytics

Google Analytics(グーグル・アナリティクス)は、自社サイトやアプリを訪れたユーザーのデータを分析するためのツールです。具体的には、自社サイトのどのページの閲覧数が多いか、購入や申し込みに貢献したページはどれか、閲覧者の地域・年齢・デバイスの傾向などを解析できます。

Google Analyticsは単体で利用できるツールですが、Account Engagementと連携するとさらに便利です。「Google Analyticsコネクター」を利用すると、Google AnalyticsのデータをAccount EngagementおよびSalesforceと接続でき、データの一部を共有できます。

共有したデータはレポートやダッシュボードなどで利用可能です。例えば、どのような属性のリードが自社サイトを訪れる傾向があるかデータ共有すれば、ターゲット像について部署を横断して情報共有できます。

Zoom

マーケターの多くは自社のリード獲得のために多くのウェビナーを開催しており、ウェビナー配信ツールとしてZoomが採用されることが多いです。一般的に、このZoomウェビナー開催のためには

  1. ウェブフォームの作成
  2. フォームを通過したウェビナー申込者の管理
  3. ウェビナーを実視聴した人の管理
  4. ウェビナー申込者に関して下記ステータスの管理
    • 申し込みのみ
    • 実視聴のみ
    • 実視聴後アンケート回答

という手順を踏む必要があります。このとき、Account EngagementとZoomが連携されていると、下図のようにAccount Engagementで作成したフォーム経由で申し込みされたリストが自動でZoomに連携され、Zoomで取得された出欠が自動でAccount Engagementに連携されます。

このZoom連携とEngagement Studioなどのデフォルト機能を組み合わせるとウェビナー開催の工数を大幅に削減することが可能です。

Slack

Slack(スラック)は、テキストでコメントをやり取りできるビジネスチャットツールです。電子メールよりもリアルタイム性があり、細かなメッセージのやり取りをしやすい特徴があります。また、1対多のメッセージ配信やグループチャットなど、チームコミュニケーションを支援する機能が充実しているのも特徴です。

Account EngagementをSlackに連携させると、Account Engagementで注目すべきアクションがあった際に、自社の担当者にSlack経由で自動通知できるようになります。例えばリードが資料請求のアクションをした際に、営業担当者にSlackで通知メッセージを送るなどの処理が可能です。リアルタイムでリードの行動を検知することで、タイミングを逃さずにフォローの電話をかけるといった効果的なアプローチが可能になります。

Account Engagement(旧Pardot)を導入するメリット

ここではAccount Engagementを導入するメリットを4つ紹介します。いずれも業種や規模を問わない内容です。自社の課題と照らし合わせながらご確認下さい。

マーケティング業務の工数削減になる

多数のリードを対象とするマーケティングでは、作業負担が多くなりがちです。Account Engagementを活用すると、次のような人の作業を自動化でき、工数削減につながります。

  • リードへのメール配信
  • 優良リードの絞り込み、営業リストの作成
  • 営業部門への通知(Slack通知)

保有するリード・顧客のデータ数が多くなるほどAccount Engagement導入のメリットが大きくなり、工数削減、人件費削減の効果が高くなります。

メールの送信忘れや誤送信、対応漏れといったヒューマンエラーの防止にもなり、ミスや漏れによる無駄な工数発生を回避することにもなります。

マーケティング施策の効果測定・分析ができる

自社が実施するマーケティング施策を「客観的な数値」によって効果測定でき、分析や軌道修正がしやすくなる点も、Account Engagementを導入するメリットです。

自社サイトへの「アクセス数」や、メールの「閲覧数・開封率」などの定量的なデータを収集してレポートとして出力でき、分析や情報共有を促進できます。

例えばキャンペーンレポート機能を使えば、「メールマーケティングでどのくらいの商談数・商談金額が生まれたのか」など、施策単体ではなく次の施策への貢献度を含めて分析することが可能です。

広告・Webサイト・メールなど複数チャネルで施策を展開する場合でも、それらの解析データをAccount Engagementに集約して、多角的に分析できます。

効果性の高いマーケティング施策を実行しやすくなる

Account Engagementを導入することで、マーケティング施策の成果アップも期待できます。

Account Engagementでは、リードの属性(業種や役職など)に合わせて、メールの内容を細かく変えたメルマガを配信できます。また、自社サイトを頻繁に訪れているといった特定のアクションがあったリードに対して、シナリオ分岐機能によって、特別なメールを送信することも可能です。

こうした施策によって、リードが関心を持ちそうな内容に絞って情報発信できるようになります。結果として、商談化率や受注率の向上などが期待できます。

マーケティング部門と営業部門の連携を強化できる

マーケティング部門から営業部門へのリード情報の受け渡しなどの連携を強化できる点も、Account EngagementなどのMAツールを導入するメリットです。

スコアリングやグレーディングの機能を使うと、適切なリードを自動的に絞り込んで、見込み度の高いリードだけを営業部門に引き渡すことができます。

さらにAdvanced以上のプランではEinsteinという独自のAIを活用し、スコアリング、メール配信時間などを自動で最適化を行うため、より精度の高いホットリード発掘や開封率の高い時間でのメール配信ができます。

営業部門に引き渡すリード情報には、「リードが何に関心を持っているか」「どのようなプロセスで営業部に引き渡されたか」などの参考情報も含まれています。営業スタッフは参考情報を元にリードがどのような相手かを推測して、効果の出やすい戦略を立てることが可能です。

Account Engagementを導入することで、マーケティング部門と営業部門で協力して成果を高めていく体制を構築しやすくなります。

Account Engagement(旧Pardot)を導入するデメリット

Account Engagementは便利なツールですが、導入の際に注意しておきたい事柄もあります。ここでは運用コストや運用体制の構築、専門知識の必要性について解説します。

利用料金の負担が発生する

Account Engagementに限らず、ほとんどのツール利用に言えることではありますが、利用料金が発生するため、その費用以上の効果を出せるかを導入前に試算することが重要です。Account Engagementの料金プランは以下のようになっています。

プラン料金(税抜)/月
Growth15万円
Plus33万円
Advanced52万8,000円
Premium180万円
出典:Salesforce「Marketing Cloud Account Engagement (旧Pardot)の料金体系」

なお、他のツールとの詳しい比較は、当ページの「Account Engagement(旧Pardot)と他のツールの比較」で解説しています。

初期構築に手間がかかる

Account Engagementの機能やメリットを活かすことで、さまざまなマーケティング業務を効率化することが可能です。一方で、効率化のためには下記のような手順を踏んで初期構築をする必要があるため、利用開始当初にそのための工数が発生することは避けられません。

  1. 現行のマーケティング業務で効率化できる工程を洗い出し
  2. 1で洗い出した工程をAccount Engagementで自動化するように設定

その他、スコアリング機能などを使う場合はどのような条件で営業にリードを引き渡すかの条件を定義する場合はマーケティング部門と営業部門の連携が欠かせません。スコアリングは一度決めたらすぐに成果が出るとは限らないため、引き渡したリードの質を営業に確認しながら最適なスコアリングを見つけていく作業が必要です。スコアリング設計にあたっては専任の運用担当者を決めるなども必要になってきます。

ただし、このスコアリングもAdvanced以上のプランで使えるEinsteinというAccount Engagement独自のAIを活用すれば自動化できるので、ここに工数をかけたくない場合は上位プランを検討すると良いかもしれません。

使いこなすには専門知識が必要

どのようなツールもそうですが、どんな機能があるのか?その設定はどうやるのか?といった情報を持っていないと、使いこなすことができません。Account Engagementについても、必要に応じて実装方法を調べたり、効果的な施策アイデアを出すための応用的な使い方を学ぶ必要があります。

Account Engagementについてはユーザー分科会が頻繁に開催されており、マーケティング成果につながるAccount Engagement活用方法を学ぶことができます。Account Engagement担当者を配置できるのであれば、ユーザー分科会などでノウハウを蓄積し、自社のマーケティングに活かすことが可能です。

Account Engagement(旧Pardot)が向いている企業

Account Engagementは特に「BtoB」の分野に向いており、購入までに複雑なプロセスを経る事業や、顧客との関係構築が重要な事業に適したツールです。ここではAccount Engagementの導入が向いている企業の特徴を解説します。

メールマーケティングを強化したい企業

Account Engagementはメール配信の機能が豊富にあるため、メルマガなどのメールマーケティングを始めたい、もしくは強化したい企業におすすめです。

Account Engagementは「誰に」「何を」「いつ」送るのか設定することで、色々な配信を実現できる仕組みです。例えば、セミナー集客のためのメールであれば、次のように設定できます。

  • 誰に:新規リード
  • 何を:セミナー告知メール
  • いつ:イベント開催の1ヶ月前、参加者に対しては3日前にリマインドメール

このように設定次第で、「定期メルマガ」や、失注顧客や休眠顧客の「掘り起こしメール」、セミナー・イベント後の「フォローメール」など、多彩なメールマーケティングを実現できます。これにシナリオ分岐機能を組み合わせれば、メールマーケティングの大半を自動化することも可能です。

資料ダウンロードによるリード獲得を効率化したい企業

Account Engagementはホワイトペーパー(無料のダウンロード資料)経由でのリード獲得数を増やしたいBtoB企業におすすめです。ホワイトペーパー請求につなげる入力フォームやランディングページの作成機能が充実していて、プログラミング不要でそれらを簡単に作成できます。

さらに、ホワイトペーパー請求があった際の自動応答メールも設定可能です。例えば、自動応答メールを使用してダウンロード先URLをメール通知する処理を自動化できます。

また、ホワイトペーパー請求のフォームを入力完了後、リードを直接ホワイトペーパーのページに遷移させることも可能です。手作業や営業時間外によるタイムラグがないため、リードの意欲が高まっているうちにホワイトペーパーを届けたり、お礼の気持ちを伝えたりしてリード獲得の確率を高められます。

Salesforce導入済みの企業

Account Engagementは、当然ですが他のSaleseforce製品との相性が良好です。例えば、SFA/CRMの領域をカバーする「Sales Cloud」やカスタマーサービス用プラットフォーム「Service Cloud」、データ解析ツール「Tableau CRM」などとの連携ができます。

既にSalesforce導入済みの企業なら、スムーズにAccount Engagementを導入できるでしょう。Account EngagementによってBtoB向けのマーケティングを強化すれば、連携した営業活動の成果向上も期待できます。

例えば、Salesforce上で顧客の部署や役職などの情報を更新すればAccount Engagementの情報も更新されるため、顧客を一元的に管理することが可能です。Account Engagementでメールマーケティングを行う際も、最新の顧客情報を使って配信できます。

Account Engagement(旧Pardot)をスムーズに導入するためのポイント

Account Engagementは専門知識のない人でも利用できるように考えられていますが、十分に使いこなすには計画的な導入が重要です。ここではAccount Engagement導入で課題になりやすいポイントを取り上げながら、解決策を紹介します。

運用を担当する人員を確保する

Account Engagementを導入しても成果が出ない理由の一つが、人的リソースの不足です。Account Engagementは自動化ツールですが、成果を最適化するために都度調整しなければなりません。また、施策や戦略の立案も兼ねるケースが多いため、専任の担当者を設けて運用していくことが必要です。

したがって、少なくとも、Account Engagementを直接扱う担当者を1人選任した方が良いでしょう。大企業で顧客数が多い場合は、より多くの人員が必要です。

Account Engagementでは、大きく分けて「集客」「リード獲得」「リード育成」「営業活動の一部」の4つの領域をカバーします。したがって各施策で役割分担して1人ずつ、統括責任者1人を加えて計5人の担当者を設置するといった方法もあります。

最初は実現したい施策を絞る

Account Engagementは多くの機能を備えているため、導入を決めるときに「あれもこれもやろう」と期待が膨らみがちです。専属の担当者を配置できたり、外部の支援会社に初期構築を発注したりする場合は期待通り、導入初期からさまざまな機能を駆使してマーケティングのレベルを大きく引き上げることができます。

一方で、専属担当を配置せずに他業務と兼業で初期構築する場合、あれもこれもと期待値を上げすぎると、なかなか成果を実感できる状態にたどり着かない場合があります。

このような状況を避けるためにも、Account Engagementを導入するときは注力施策を絞ることが大事です。例えばGrowthプランであれば月15万円で、15万円の利益を毎月出せる施策を打てれば少なくとも赤字ではありません。では15万円の利益が出る施策は何か?が次の論点になりますが、おすすめは下記のような「特定の行動」を取ったリードを営業に引き渡す施策です。

  1. メールの開封
  2. メール内リンクのクリック
  3. 問合せフォームを到達した後に送信完了せず離脱

どのような「特定の行動」を設定すべきかは商品などによって変わってきます。まずはAccount Engagementのトラッキング機能を活用して、商談につながりやすいと思われる特定の行動を定義しましょう。

ただし、ここでよくある失敗がスコアリング機能の活用です。スコアリング機能は有効な機能ではあるのですが、スコアリングルールの設計は極めて時間のかかる作業です。そのため最初のうちは、スコアが高いからといって期待するようなホットリードではないということがよく起こります。最初はスコアリングではなく上記のようなシンプルな行動を捕捉するところからスタートすることが重要です。

このように、まずは一つの施策にスコープを絞って成果を実感することが重要です。そうすることで徐々にAccount Engagementで成果を出すイメージがつきやすくなり、活用が推進されていきます。

必要に応じて専門業者のサポートを受ける

Account Engagementを導入する際には、必要に応じて専門業者の導入・運用支援サービスを受けると良いでしょう。メールの自動配信設定やSFA・CRMツールとの連携などの初期設定は、初めは難しいものです。またスコアリングのルール設定のように、知識や経験が求められるものも少なくありません。

導入・運用支援サービスを利用する際は、セールスフォース社が認定した「Salesforceコンサルティングパートナー」や、ツールの機能に精通したコンサルティング会社などを選ぶと良いでしょう。サポートを受けながら運用していくことで、プロのノウハウを学ぶことができます。初めはプロに学びながらノウハウを蓄積し、徐々に自社で対応できる範囲を増やしていくと効率的です。

Account Engagement(旧Pardot)と他のツールの比較

MAツールにはさまざまな種類があるため、どれを選べば良いか迷うこともあるでしょう。Account Engagementと他ツールの何が違うのか、3つの製品を取り上げて紹介します。

Marketing Cloud

Marketing Cloudは、セールスフォース社が提供するMAツールで、BtoCに適した機能が多いことが特徴です。Account Engagementと同じく顧客データの蓄積やSales Cloudとの連携ができますが、対象となるターゲットが違います。

Marketing Cloudの主な対象はBtoC企業で、特にオンライン・オフラインを問わずショップに誘導したい企業の集客機能が充実しているのが特徴です。例えば、スマートフォンにSMSをプッシュ通知する機能や、ターゲット層に合った広告キャンペーンを作成する機能、SNSの投稿を抽出・分析する機能など、一般消費者を想定した機能が多くあります。

BowNow

BowNowはシンプルな操作、機能が評価されているMAツールです。リード管理や顧客のセグメント分け、サイト訪問者の追跡、メール送信、フォーム作成などの必要最低限のMA機能に絞っているため、デジタル人材が不足しがちな中小企業を中心に導入されています。こちらもBtoC企業向けのMAツールです。

価格面でもBowNowはAccount Engagementに比べてリーズナブルです。月額利用料はエントリープランで1万2,000円と安く、トライアル目的で無料のフリープランも利用できます。

Marketing Hub

Marketing Hubは、HubSpotが提供するBtoC向けMAツールです。Marketing Hubは、同じくBtoC向けのMarketing CloudやBowNowと比較されやすいツールです。Account EngagementはBtoB向けツールなので、比較対象にはなりにくいといえます。

Marketing Hubは機能が豊富で、主な機能は次の通りです。

  • フォーム作成
  • 自社サイト訪問者をサポートするWebチャットの作成
  • メールマーケティング
  • ブログ制作・運用
  • Web広告管理

またMarketing Hubは、Account Engagementと同様に、収集したリード情報をSalesforceに連携することが可能です。

まとめ

Account EngagementはBtoB向けのMAツールとして高く評価されています。リード管理やスコアリングといった定型作業を自動化して工数を削減できる機能が豊富です。メールマーケティングや入力フォーム、ランディングページ作成などの機能を活用することで、マーケティングの成果向上も期待できます。

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