商談化しない顧客こそマーケティング資産になるという話
セールスリクエストの原です。
今日は、商談化しない顧客こそマーケティングの資産になるという話という話をします。
弊社では現在28社のインサイドセールスを支援しており、一日500件以上のリードに対応しています。ありがたいことに多くの支援先で成果を出せているのですが、それでも商談につなげられる割合はほんの一握りです。
新人時代、「新人営業は断られるのが仕事だ」と言われたことがありますが、今でもこれでもかというくらい断られています。
ただ、「商談を断られる=成果が出ていない」ということではありません。商談のお断りに備えて適切な対応をすれば、リードを将来の商談に繋げることができるからです。
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目次
「お断り」の資産化
上述のとおり、インサイドセールスのアプローチ結果はほとんどがお断りで、その時点ではリストの多くに価値はありません。ただし、この中には「検討しているが、今すぐ必要ではない」というリードが存在します。
米国の調査会社Sirius Decisionの調査結果に「営業フォローを止めた見込み顧客のうち、8割は2年以内に競合から製品を購入する」というものがあります。つまり、お断りされたリードの中には「ただタイミングが合わなかっただけ」というものが多く含まれるということです。
中長期で見た場合、これらの「お断り」を資産化できるかどうかで、成果は大きく変わります。初回アプローチで接点を作り、継続的に連絡できる関係を作れれば、2年以内に検討の土台に挙がる(つまり、商談化する)可能性が高いためです。
実際に、弊社の支援先でも初回アプローチから3ヶ月~1年後に商談化するということがよくあります。先日、某社で大型受注につながった案件も初回アプローチ後、半年ほど音沙汰がない案件でした。
しかし、多くのインサイドセールス組織では「お断り」を資産化するための設計が十分ではありません。目先の商談獲得に偏った業務設計になっていたり、個々人が一度商談依頼を断られた企業への対応を軽視してしまう目標設計になっていたりします。こうした状態では、お断りされたリードが将来の商談数に寄与しないばかりか、アプローチできるリストの枯渇にも繋がります。
小さな合意
では、「お断り」を資産化するにはどうすれば良いでしょうか。これは、商談を断られた後に小さな合意を獲得することに尽きます。組織視点で言えば、それができるような業務設計を行うことです。
小さな合意とは、顧客にとって商談よりもハードルが低い情報提供について合意することを指します。例えば、以下のようなものです。
・10分デモの打診
・サービス紹介動画の送付
・顧客が閲覧したページまたはダウンロードした資料と類似するコンテンツの送付
・顧客の同業他社の事例資料の送付
・会社紹介資料の送付
・サービス紹介資料の送付
・キャンペーンや価格見直しの案内
・機能アップデートの案内
・顧客が関心を持ちそうなイベントの案内
・メールマガジンの配信
・予測される検討タイミングでの再連絡
そもそもリード化した見込み顧客は情報を得るために自社にコンタクトしています。つまり、商談を断ったとしても、情報提供を断っているわけではありません。見込み顧客の関心や検討度合いに適したオファーができれば、その場や後日の情報提供について合意できる可能性が高いのです。小さな合意を得られるよう準備しておくことで、中長期的な顧客との関係を構築していきましょう。
小さな合意を得るためのポイント
顧客の状態に適した情報提供をオファーし、次のアクションの合意を得るにはどのような準備が必要でしょうか。弊社では以下4つのポイントがあると考えています。
①顧客の課題の想定
②顧客の反応の想定
③コンテンツの作成
④業務や評価への落とし込み
ここでは、それぞれのポイントについて簡単にご説明します。
①顧客の課題の想定
まず顧客の課題の想定です。小さな合意を得るためには、顧客が感じている課題にミートしたオファーが必要になります。しかし、インサイドセールスが顧客と会話できるのはほんの数分。この間に顧客の課題を探り当てて適したオファーをすることは至難の業なので、事前に想定した課題をぶつけにいく必要があります。
たとえば、経理部門向けのサービスのインサイドセールスであれば、経理担当者が日常的に困っていることの代表的なテーマと関連付けたオファーが必要です。これを個人の努力で実現させるのは効率が悪いので、組織として経理担当者の業務内容やお困りごとを事前に調査し、研修でインストールするなどの取り組みをおすすめします。
②顧客の反応の想定
次に顧客のよくある反応をパターン化しておきましょう。断り文句には様々なものがありますが、蓄積して整理してみると、「情報収集しているだけなので」「今忙しいので」「来年度の話なので」「他社で決めているので」など、ある程度パターンが見えてきます。
機転の利く担当者であれば、それぞれの反応に適した言い回しでオファーできますが、多くの人は「それでは機会がありましたら…」などと自ら終話に向かってしまいます。機転の利く担当者を育成したり、採用することは再現性が低いため、とにかく「よくある反応にはこう返す」というマニュアル化を徹底しましょう。小さな合意に繋げられたオファーの言い回しを成功事例として共有するなど、マニュアルを研き込む取り組みも必要です。
③コンテンツの作成
顧客の課題や反応を想定できても、インサイドセールスの言い回しだけでは小さな合意を得ることはできません。合意を得るための武器として、顧客の課題や反応に適したコンテンツが必要です。
①~②でよくある課題や反応を整理できたら、それぞれのパターンに応じてオファーするコンテンツを検討しましょう。ここでいうコンテンツとは、サービス資料、ブログ記事、ホワイトペーパー、事例集、セミナー、個別相談会などを指します。
まずは既存のコンテンツを当てはめるだけでも構いません。適したコンテンツが存在しないケースが見えてきたら、新規コンテンツの企画・作成を行い、各ケースに適したオファーを充実させていきましょう。
④業務や評価への落とし込み
①~③を用意できても、それらが業務に組み込まれてなければ意味がありません。各パターンに応じた対応を全員が実施できるようマニュアルや教育に落とし込むことが大切です。
また、小さな合意を積み重ねることを評価するための仕組みも検討してください。インサイドセールスの主なKPIは一定期間における商談獲得数や商談化率が多いですが、本来初回アプローチで商談に繋げられなかった案件を中長期的にどれだけ商談化できたかも評価されるべきです。主要KPIにはできなくとも、小さな合意をポイント化して評価するなどの工夫が必要です。
まとめ
今回はインサイドセールスで商談を断られた後の小さな合意の重要性についてまとめました。商談を断られた見込み顧客の多くは、2年以内に自社の顧客になり得ます。中長期視点で成果を最大化するために「お断り」に備える取り組みをしていきましょう。
セールスリクエストでは、インサイドセールスを代行する中で見えてきた顧客の課題や反応のパターンをフィードバックし、クライアントの新規コンテンツ作成やセミナーテーマ検討に繋げていただいています。ただインサイドセールスを代行するだけではなく、クライアントと見込み顧客との関係構築の強化にも貢献していきたいと思います。
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