広告×GA4×HubSpotのデータを統合して、リード獲得以降の歩留まりを含めて広告効果を可視化する方法

今回の記事では、主にBtoB事業者向けに、広告・GA4・HubSpotのデータを統合し、リード獲得以降の歩留まりも含めた広告のROIを評価するLooker Studioレポートの作成方法をご紹介します。

レポートの完成イメージ

この記事では、広告媒体のCV数(リード件数)だけでなく、その後のアポイント数・商談数・成約数などの歩留まりも含めて広告効果を測定する方法をお伝えします。以下のようなニーズがあり、より詳細に広告効果を分析・評価していきたい方にはとくにおすすめです。

  • 広告・GA4・HubSpotの個別の分析はできているが、一気通貫での分析もしたい
  • 顧客セグメントに応じた詳細な分析を行いたい
  • アポ獲得、商談、成約などの情報をもとに広告の費用対効果を把握したい

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広告・GA4・HubSpotのデータ統合を行う意義

今回は広告・GA4・HubSpotのデータを統合して、それぞれのデータをひとつなぎで見れるレポートを作成しますが、具体的な手順の前に、広告・GA4・HubSpotのデータを統合する意義についてご説明します。

広告成果を正しく評価するには、「リード単価」だけでは不十分

BtoB事業者において、広告の成果はリード獲得数(コンバージョン数)で評価するケースが多く、アポイント数・商談数・受注数など、その後の歩留まりを加味して広告効果を評価している企業は多くはありません。
実際、弊社でBtoB企業のマーケターにリードの評価方法を調査したところ、リードをその後の「商談単価」や「受注単価」で評価している企業は30%強に留まった一方で、「リード獲得以降の動きを確認したい」と考えている企業は7割以上あるということが明らかになりました。

※調査結果の詳細はこちらの記事をご覧ください。

リード獲得数、リード単価のみで評価をしていると、リード数の最大化が目的となってしまい、リード獲得後にどれだけ商談や受注につながるかは軽視してしまいがちです。例えば、広告キャンペーンAとBの費用対効果を正確に比較するには、アポや成約のデータが重要です。
広告キャンペーンAが多くの問い合わせを獲得していても、成約率が低ければ全体の効果は薄れます。一方、広告キャンペーンBは問い合わせ数が少なくても、成約率が高ければ費用対効果が優れていると判断することができます。

広告の成果を正しく評価するためには?

リード獲得の本来の目的は、その後商談や受注につなげることです。そのため、リードの評価は獲得時点ではなく、その後の商談や受注といった指標で行なわれることが理想的です。
リード獲得以降の指標を評価に用いることで、広告での成果だけでなく、リード獲得以降のアポ・商談・受注単価などの売上に近いデータも含めた全体的なパフォーマンスを可視化できます。結果として、より売上につながりやすい媒体・キャンペーンに対して予算傾斜をかける、リード獲得以降の歩留まりが悪い媒体・キャンペーンを配信停止するなど、売上貢献を軸とした投資判断ができます。
これらを一気通貫で見るためには、費用や広告のデータを持つGA4と、アポイント数や成約数のデータを持つCRMのデータを統合する必要があるため、技術的なリソース不足により実装できていない企業が多いのが現状です。

※GA4で費用を見るためには、費用データをインポートする必要があります。詳しくはヘルプをご確認ください。

そこで、今回は、とあるBtoB事業者のクライアントにて、広告×GA4×HubSpotのデータを統合したレポートを構築することで、リード獲得以降の歩留まりを加味して広告成果を可視化した事例をご紹介します。

データ統合の全体像

ここからは、実際に広告×GA4×Looker Studioのデータ統合を行う流れを説明します。技術的な内容ですので、概要はご確認いただきながら、実行の部分は社内のエンジニアにもご確認ください。(なお、社内に対応可能なエンジニアがいない場合は、お気軽にオーリーズにご相談ください。)
データ統合の全体の流れは以下のとおりです。

  1. キー(トランザクションID)を生成し、サンクスページにてGA4とHubSpotに送信
  2. 広告、GA4、HubSpotのデータをGoogle Cloud に集約
  3. Google BigQueryにてSQLを実行し、Looker Studioで可視化用のテーブルを作成
  4. Looker Studioにて表やグラフを作成する

データ統合に必要な「キー」とは?

先述のとおり、今回のデータ統合には「キー」の生成が必要です。簡単に理由を説明します。

まず、BtoB向けサービスは上の図のような流れで進みます。

  1. ユーザーが広告クリックなどを通してサイトに流入し、資料ダウンロードや問い合わせなどサンクスページに訪れる
  2. ユーザーがサンクスページに訪問すると、CRM上でリードが発生する
  3. 企業側でリードを選別し、アポ獲得・商談を経て受注に至る

広告効果をリード獲得以降の歩留まりも含めて評価したい場合、広告、GA4、HubSpot単体では、以下のようなデータしか把握することができません。

<各種計測ツールで確認できるデータ>

  • 広告:広告表示からサンクスページまでのデータ(Imp/Cost/CV数など)
  • GA4:サイト流入からサンクスページまでのデータ(フォーム入力数/滞在時間/CV数など)
  • HubSpot:リード発生から受注までのデータ(有効リード数/商談数/成約数/売上など)

そのため、リード獲得以降の歩留まりも考慮して広告成果を評価するためには、これら3つのデータを紐づける必要があります。
広告とGA4データは、広告媒体側でキャンペーン、参照元、メディア等のパラメータを設定すれば紐づけることが可能ですが、GA4とHubSpotのデータを紐づけるためには何かしらの共通項目がないと紐づけることができません。
そこで、両者のデータを紐づけるための役割を果たすのが「キー」です。今回のケースではトランザクションIDをキーとして、GA4とHubSpotのデータの紐づけを行いました。

💡 HubSpotでは、GoogleやMetaなど一部媒体については管理画面上でクリックやコストを確認できます。
しかしYahooやLINEなどはHubSpotの管理画面上で費用等を把握することができません。
そのため、HubSpotではリード発生から受注までのデータ把握に使われることが多いです。
参考:HubSpotーオリジナルソースおよび最新ソースのプロパティーについて

トランザクションIDとは

トランザクションID」とは、注文番号など、通信や取引の識別子として使用される一意の識別番号のことです。
今回のBtoB向けサービスのサイトでいうと、資料ダウンロードや問い合わせ等が発生する度に、取引の識別子として使用される番号のことです。
資料ダウンロードや問い合わせといったコンバージョンの発生ごとにトランザクションIDが設定されれば、GA4でコンバージョンごとの情報(コンバージョンイベントが発生した時の流入元)を把握することができます。
トランザクションIDはサーバー側から送られることが多いですが、サーバー側から送られていなければ、GTM側でもトランザクションIDを生成することができます。

データ統合の手順

1. トランザクションIDをGA4、HubSpotへ送信する

今回はGTM側でトランザクションIDを生成し、そのIDをGA4とHubSpotに送信する方法を紹介します。
ここでは、フォーム入力ページでトランザクションIDを持たせ、フォーム送信完了ページにてGA4とHubSpotにトランザクションIDを送信することを想定しています。

⑴GTMでフォーム入力ページにてトランザクションIDを生成し、cookieに保存
GTMの変数にランダムな数値を生成するスクリプトを記載し、生成された値をcookieに保存します。

下記がサンプルのスクリプトです。

function() {
  var charset = "abcdefghijklmnopqrstuvwxyzABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ0123456789";
  var randomString = "";
  for (var i = 0; i < 32; i++) {
    var randomIndex = Math.floor(Math.random() * charset.length);
    randomString += charset[randomIndex];
  }
  return randomString;
}

⑵HubSpotで非表示フォームフィールドを作成
フォーム入力ページに非表示フォームフィールドを作成し、フォームを公開します。HubSpotでのフォーム作成時に「このフィールドを非表示にする」を選択すれば、非表示フォームフィールドを作成することができます。

⑶ ⑴で保存したトランザクションIDをHubSpotの非表示フォームフィールドに送信
GTMで、cookieに保存したトランザクションIDを非表示フォームフィールドの値として入れる設定を行います。

①トランザクションIDをGA4に送信
GTMで、ユーザーがサンクスページに到達した時に、cookieに保存したトランザクションIDをGA4に送信するよう設定します。

②GTMを公開し、GA4にカスタムディメンションを設定
GTMの設定を公開します。その後、GA4のカスタムディメンション作成画面において設定したイベントパラメータを選択します。

以上で設定は完了です。GA4のカスタムディメンションとHubSpotのプロパティにトランザクションIDの値が入っていることを確認してください。

2. 広告×GA4×HubSpotのデータ基盤を構築する

トランザクションIDの設定が完了したら、広告、HubSpot、GA4のデータをGoogle Cloudに集約し、BigQueryでSQLを実行してLooker Studioで可視化するためのテーブルを作成します。

⑴データ集約

広告とHubSpotデータ、GA4データでデータの格納方法が異なります。広告とHubSpotはスプレッドシート経由でCloud Storageに、GA4は直接BigQueryにエクスポートを行います。

①広告データ
gluというツールを使用して広告データをスプレッドシートに吐き出し、Cloud Storageにアップロードします。
gluを使わない場合は、API経由または媒体から直接データをダウンロードして、スプレッドシートにデータを反映させてください。
Cloud Storageにデータをアップロードする際に、ディメンション(メディアとキャンペーン名など)はutmパラメータの値と合わせます。
下記画像の例だと、utm_mediumとメディア、utm_campaiginとキャンペーンの値が同じになるようにutmパラメータを設定してください。

Cloud Storageからスプレッドシートのデータを取得するように設定します。
スプレッドシートのデータ取り込み方法は下記の通りです。

ⅰ.BigQueryの画面からデータセットを選び、画面右の点々から「テーブルを作成」をクリック

ⅱ.ソースにスプレッドシートの情報を入力し、送信先に出力テーブルの情報を入れる

ⅲ.スキーマの情報を入力し「テーブルを作成」をクリック

ⅳ.データセット内に指定したテーブルができれば完了

②HubSpotデータ
ワークフロー機能を使ってHubSpotのデータをスプレッドシートに吐き出し、Cloud Storageにアップロードします。
ワークフローを使用してGoogle スプレッドシートにデータを追加する方法は、こちらをご参照ください。

スプレッドシートに吐き出す項目(HubSpotのプロパティ)としては、下記が挙げられます

  • トランザクションID(必須、GA4データとのキーとなるため)
  • コンタクトID(推奨、ユニークなコンタクトを把握するため)
  • 有効リードフラグ
  • アポ獲得、商談化、受注の日時

広告データの取り込みと同様に、スプレッドシートからCloud Storageへのデータを取り込みます。

③GA4データ
GA4のデータを直接BigQueryにエクスポートします。詳細な手順は下記ヘルプページを確認ください。

⑵データ整形

集約したデータをもとにBigQueryにてSQLを記載し、LookerStudioでモニタリングするためのテーブルを作成します。具体的な手順は下記のとおりです。

ⅰ.日付、キャンペーン名、メディア名をキーに広告とGA4のデータをかけ合わせたテーブルを作成
ⅱ.トランザクションIDをキーに、上記テーブルとHubSpotデータをかけ合わせたテーブルを作成
ⅲ.2のテーブルをもとに、LookerStudio用のテーブルを作成

3.LookerStudioの可視化

作成したテーブルをもとにLookerStudioでグラフや表を作成し、マーケティング効果を可視化します。
収集したデータを分析・分析し、それに基づいて意思決定を行うためのBI(ビジネス・インテリジェンス)ツールには、TableauやPower BIなどがあります。今回は無料で使用でき、GA4やGoogle Adsなどに直接つなぐことができるLooker Studioの使用しました。
Looker Studioで、メディア別のリード数、アポイント獲得数、商談数、成約数を同時に確認できるようになります。

まとめ

広告×GA4×HubSpotのデータを使って、リード獲得以降の歩留まりも考慮して広告効果を可視化する方法をご紹介しました。
限りあるリソースを適切に配分して成果を出すためには、リード獲得から成約までを一気通貫で分析することが必要不可欠です。実際には、自社にエンジニアリングのリソースが足りない場合など、内製で実行するのが難しい場合もあると思います。商談・成約までを見据えた広告成果を可視化したいものの、自社で対応することが難しい場合は、お気軽にオーリーズにご相談ください。

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