媒体・GoogleAnalyticsのコンバージョンが乖離する理由とは?
広告運用を行う際、ほとんどのケースでは媒体の計測数値だけでなくGoogle Analyticsなどの効果計測ツールを活用して広告効果を測っていることが多いですが、広告の計測数値に対する理解が曖昧な場合、誤った意思決定をしてしまう可能性があります。
今回は、広告成果を正しく評価するために重要な「Google Analyticsと媒体計測のCV数値が一致しない理由」について、それぞれのCV計測の仕組みと併せて解説していきます。
広告成果の評価に関して、正しく理解をしたいという方におすすめの記事です。
>>「BtoB事業特化型の広告運用支援サービス」について詳しく見る<<
目次
広告媒体で計測した数字を活用していますか?
広告の評価をする際、多くは広告媒体での成果だけでなくGoogle Analyticsなど第三者の効果測定ツールで計測した数値もあわせて評価を行っていると思います。
なぜなら、全ての流入経路を統括して公平な評価をする存在が必要であるからです。各媒体のCPA(獲得単価)、ROAS(費用対効果)だけをそのまま評価してしまうと、抜け漏れが発生し適切な評価ができません。
↑効果レポートのイメージ:多くの場合、CV(コンバージョン)数は、媒体計測数値 > Google Analytics計測値 となる傾向があります。
媒体計測数値とGoogle Analyticsの計測数値の不一致の例
レポート作成にGoogle Analyticsをお使いの場合、Criteoのレポートと他のレポートは一致しないことがあります。最大30%の不一致が発生する可能性があります。
引用:Criteoヘルプ「ラストクリックアトリビューションのベストプラクティス」
参考:「Criteo広告」とは?
一般的には、Google Analyticsで計測した数値を正しい値として評価を行うことが多いと思いますが、そうなると媒体計測の数値は意味を持たないのでしょうか?もちろんKPIのひとつとして、媒体計測数値も確認すると思いますが、各広告媒体の計測の仕組みやアトリビューションルールを把握することによって、媒体計測とGoogle Analyticsの計測CV数の違いや、媒体計測数値の理解が深まります。
次の章では、Google広告、Yahoo!広告、Criteo広告など、代表的な媒体のCV計測の仕組みとアトリビューションルールについてご紹介します。
参考:アトリビューションとは
Google Analyticsと媒体計測でCV数の差異が生じる理由
Google Analyticsと媒体計測で数値の差異が生じる原因には下記の3つがあります。
- アトリビューションモデル
アトリビューションモデルとは、各広告のCVに対する貢献度を判定するルールのようなものです。CVの貢献度を算出するルールが異なれば成果が変わるのは当然です。 - 計測期間(ルックバック期間)
各広告媒体には、ビュースルーCV(広告は見たが、クリックせず別経路でCVに至ったケース)も計測する仕組みがあり、広告媒体ごとデフォルトの計測期間や設定変更できる日数の幅が異なります。 - 計測条件
Criteoなどの媒体では、UTMパラメータ*を用いてCV数を計測をしています。しかし、パラメータがない流入元を認識できないため、CV値にずれが生じてしまいます。
※アトリビューションと計測期間は設定を変更できる場合もありますが、計測条件は設定で変更できるものではありません。
*UTMパラメーターとは…Google Analytisで流入経路を正確に測るためにURLの末尾に追加するパラメーターのこと。参照元、メディア、キーワード、コンテンツ、キャンペーンなど細かく流入経路を把握することができる。
参考:パラメーター(公式ヘルプページ)
媒体が行うUTMパラメータを用いた計測について
自動タグ設定**を適用している場合や自然検索など、UTMパラメータがない流入元を最後にCVした場合、媒体は流入元を認識することができません。例えば下記のようなケースではGoogle Analytics計測上では最後の間接クリックにCVが付き(※UAデフォルトの場合)、Criteo計測上ではCriteoにCVがカウントされます。
**自動タグ設定とは…Google広告やYahoo!広告で設定できるタグの自動付与機能のこと。UTMパラメーターとは異なるパラメーターが自動で付与される。
◆ケース1:Criteoの広告をクリックした後、自動タグ設定を適用していないYahoo!広告をクリックし、そのまま遷移したサイト上でCVした
Google Analytics:成果はYahoo!広告となる。
Criteo:成果はYahoo!広告となる。(Yahoo!に自動タグ設定がされておらずutmパラメータは付与されているもののCriteoがラストクリックではないため)
◆ケース2:Criteoの広告をクリックした後、自然検索でサイトに訪問しCVした
Google Analytics:成果はgoogle / oganicとなる。
Criteo:Google自然検索にUTMパラメータが付かないので、成果はCriteoとなる。
◆ケース3:Criteoの広告をクリックした後、自動タグ設定をONにしている状態のGoogle広告をクリックし、遷移したサイト上でCVした
Google Analytics:成果はGoogle Adsとなる。
Criteo:Google広告のクリックにUTMパラメータが付かないので、成果はCriteoとなる。
媒体ごとのデフォルトの設定内容
各媒体のデフォルトの設定内容をまとめます。
- Google Analytics(UA)
- デフォルトのアトリビューションモデルは、最後の間接クリックになります。
- 計測期間はデフォルトでは180日
参考:アトリビューションについて(公式ヘルプページ)
- デフォルトのアトリビューションモデルは、最後の間接クリックになります。
- Google Analytics(GA4)
- デフォルトのアトリビューションモデルは、データドリブンになります。
※UAからの切り替えの際、デフォルトのアトリビューションモデルが異なるので、とくに注意しましょう。必要に応じてUAの「最後の間接クリック」に相当する「有料チャネルとオーガニックチャネル(ラストクリック)」に変更を検討しても良いでしょう。 - 計測期間はデフォルトではクリックスルーが30日、エンゲージビュースルーが3日、他のすべてのコンバージョンが90日となっていますが、クリックスルーは7日、他のすべてのコンバージョンは30日、60日に設定することも可能です。
参考:[GA4] アトリビューションとアトリビューション モデリングについて(公式ヘルプページ)
- デフォルトのアトリビューションモデルは、データドリブンになります。
- Google広告
- Googleではアトリビューションモデルとして、「データドリブン」を推進しているため、移行できるアカウントでは、「データドリブン」に強制移行されている状態かと思います。「データドリブン」が使えない場合は、「ラストクリック」がデフォルトになっています。
- 計測期間はデフォルトではクリックスルーが30日間、ビュースルーが1日、エンゲージビュースルーが3日となっていますが、クリックスルーが1~90日、ビュースルーが1日~30日の間で任意に変更することができます。
参考:アトリビューション モデルについて(公式ヘルプページ)
- Yahoo広告
- デフォルトのアトリビューションモデルはラストクリックとなっており、変更はできません。
- 計測期間は30日間で、7~90日の間で任意に変更することが可能です。
- YDAの場合、動画のビュースルー期間が3日で、1~30日で変更可能となっています。
- 計測条件として、UTMパラメータとYahooIDを基にCV整合するという点が特徴的です。
- また、Yahoo!広告ではアトリビューションモデル比較というレポート機能があります。こちらのレポートではアトリビューションモデル(ラストタッチ/ラストクリック、線形、接点ベース、ファーストタッチ)別のコンバージョンへの貢献度を確認することができます。
参考:アトリビューションモデル比較レポートについて(公式ヘルプページ)
- Meta広告
- デフォルトのアトリビューションモデルはラストタッチアトリビューションモデルとなっており、変更はできません。
参考:Facebookアトリビューションとその他の測定ツールの違い(公式ヘルプページ) - 計測期間はデフォルトではクリックスルーが7日間、ビュースルーが1日間となっていますが、クリックスルーは1日間に変更することも可能です。
参考:アトリビューション設定について(公式ヘルプページ)
- デフォルトのアトリビューションモデルはラストタッチアトリビューションモデルとなっており、変更はできません。
- Criteo広告
- デフォルトのアトリビューションモデルはラストクリックとなっており、変更はできません。
- 計測期間は30日間で変更はできません。
- UTMパラメータを基にCV整合しており、GAと同じラストクリックモデルでも数値の差異が生じる可能性が高いです。
参考:ラストクリックアトリビューションのベストプラクティス(公式ヘルプページ)
媒体計測数字の活用例
どのようなケースで媒体の計測数字が活用できるのか、具体例を見てみましょう。
検討期間が長い潜在層向け商品の評価軸として活用する
- 背景
ECモールの広告運用で、基本的にはUA計測の終点モデルで計測した数値を基に評価を行っていた。検索やリマケ広告と異なり、潜在層に向けたノンリマケの新規施策では、広告から購入に至る数が極端に少なく、従来の方法では正しく広告評価ができなかった。検討期間が長い商材ということもあり、起点モデル、線形モデルでも比較できるほどの有意数が確保できなかったため、UAではセッションの質(サイト回遊、滞在時間など)を見るようにしていた。 - 対応策
セッションの質だけでなく、他に比較できる指標がないかと考えたときに、媒体計測のCV数に注目。各媒体のCV計測の設定を確認した上で、媒体計測数値も評価軸の1つとして採用した。 結果、評価軸としてできる限りの指標を集める点、UAはビュースルーCVを考慮できていない点をカバーできた。
まとめ
媒体計測のCVの仕組みと、GoogleAnalyticsのCV計測の仕組みは理解できたでしょうか。
正しく広告効果を評価し、合理性のある意思決定を行ううえでも、ぜひ今回の記事の内容を参考にしてみてください。
- 媒体計測数値とGoogle Analyticsの計測数値が一致することはない。
- 不一致となる要因は下記の3つが考えられる。
- アトリビューションモデルの違い
- 計測期間の違い (媒体側にビュースルーアトリビューションの存在)
- 計測条件の違い
- それぞれにデフォルトの設定があり、一部変更することも可能。
- 設定内容を見直して数値の意味を正しく捉えてみることで、分析の幅が広がる可能性がある。
オーリーズでは、BtoB特化型のマーケティング支援サービスを提供しています
オーリーズは、BtoB業界に特化した広告運用代行サービスを提供している広告代理店です。
広告運用に縛られず、クリエイティブ制作、インサイドセールス代行、MAツールの導入・活用、展示会の企画など、施策横断で全体ROIの最大化を実現します。
商談数の伸び悩み、商談単価の改善で課題感をお持ちの場合はぜひオーリーズにご相談ください。
広告運用、インサイドセールス、Salesforce構築・活用推進の支援、WEBサイト制作など、BtoB事業者の課題解決に役立つ情報をお届けします。