「Account Engagement Einstein」の導入によってメルマガの開封率を12.9%→18.3%に向上させた事例

エンゲージメント向上やリード獲得を目的としてメルマガを配信している企業は多いと思いますが、時間をかけて件名やコンテンツを作りこんでも、メールが開封されなければ意味はありません。

今回は、Account Engagementの新機能である「Account Engagement Einstein」を活用して、メルマガの開封率を向上させた事例をご紹介します。記事の後半ではEinsteinの具体的な設定手順についても解説していますので、ご興味のある方はぜひ試してみてください。

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Einstein（アインシュタイン）とは？

「Einstein（アインシュタイン）」は、Salesforceの製品群に組み込まれているAI機能です。

Einsteinでは、機械学習・深層学習・自然言語処理を通じてSalesforce内の膨大な顧客データを学習し、セールスやマーケティングの成果に効果のあるパターンを発見・取るべきアクションを予測します。

例えばセールス領域では、リードスコアリング機能を通じて、購買意欲が高い見込み顧客を特定し、セールスチームが優先的にフォローすべきターゲットを明確にするのに役立ちます。また、商談の進行状況に基づいて次に取るべきアクションを提案することで、セールスプロセスを効率化し、成約率の向上が期待できます。

また、マーケティング領域では、顧客行動の分析を行い、最適なマーケティングキャンペーンを設計するのに役立ちます。例えば、顧客の過去の行動データを基に、どのタイミングでどのチャネルを通じてアプローチすべきかを予測し、パーソナライズされたマーケティングメッセージを自動的に生成したり、キャンペーンの効果をリアルタイムで分析し、最適化のためのインサイトを提供します。

まとめると、SalesforceのEinsteinは、セールスやマーケティング領域におけるデータドリブンな意思決定をサポートし、顧客エンゲージメントを高め、収益の増加を実現するツールとご理解いただければと思います。

参考：【Salesforce Einstein】Salesforceが開発するAI、Einstein（アインシュタイン）ってなんだ？

Account Engagement Einsteinを活用してメルマガの開封率を向上させた事例

ここからは、弊社オーリーズにてEinsteinを活用してメルマガ配信の成果改善につながった事例をご紹介いたします。

なお、弊社ではSalesforceを導入しており、メルマガ配信はSalesforce製品群の一種であるBtoB企業向けのMAツール「Account Engagement」を活用しています。

そのため、今回はAccount Engagementで利用できる「Account Engagement Einstein」での検証となります。

1.事例の概要

メルマガ配信において、Account Engagement Einsteinの「メール送信時間最適化」機能を導入した結果、導入前後比でメール開封率（※）が12.9%→18.3％に向上しました。

※メール開封率=開封数÷メール送信数で算出。送ったメールのうち何割程度が開封されたかを表す指標

2.施策実施前の課題

弊社では自社で保有しているリストに対して、週1～2回を目安にメルマガを配信していたのですが、平均開封率が13%前後と、業界平均（※）と比較して低い状態でした。

メール開封率に関与する変数は主に件名と配信日時ですが、後者の配信日時に関してはリストの母数が限られることからABテストによる比較も難しく、これまでの経験則によって、「火曜～木曜の12時前後or17時以降に送ると開封率が高くなりやすい」というざっくりしたデータしか得られていませんでした。

メルマガの開封率を上げる上での仮説としては、「顧客がメールアプリを開いたタイミングでメールを送信することが出来れば、メールBOX内で比較的目に留まりやすい位置に残るのでメール開封率が高くなるのではないか？」

と仮定していましたが、一定の傾向はあるにせよ、本来メールアプリを開くタイミングは人それぞれです。人力による検証では妥当性のある結論を導くことが難しいと考え、何か有効なツールはないか検討していました。

※Get Response社の調査によれば、デジタルマーケティング業界のメルマガの平均開封率は17.62%と言われており、かつ、弊社がメルマガ配信していたリスト数（1万以上）では約15～20%前後が平均であることが分かっています。

3.実施した施策内容

今回の取り組みでは、Account Engagement に搭載されている「Account Engagement Einstein」の「メール送信時間最適化」の機能を活用し検証しました。Einsteinのメール送信時間最適化機能では、プロスペクトの過去の行動履歴（メール送信データ）をAIが学習し、プロスペクトそれぞれで最もメール開封率が高くなる（可能性がある）日時にメールを送信するという機能を備えています。

なお、今回の検証ではメール送信時間最適化機能の導入前後でメール開封率を比較する方式で検証を行ったため、検証の変数を絞るため、リストの母数は同程度に揃えた上で、メールの件名のトンマナは差分が生まれないように統一した状態で配信しました。

参考：Salesforce公式ヘルプ「Einstein 送信時刻最適化 (STO) の仕組み」

4.施策導入後の結果

Account Engagement Einstein導入前後で、メールの開封率が12.9%→18.3%に向上しました。

今回は簡易的な検証であり、導入前後で異なる内容のメールを配信していることから、メール開封率の説明変数が配信日時のみであるとは限定しきれないのですが、Account Engagement Einsteinを導入する前後で明らかにメール開封率に有意差が生まれているため、配信日時の最適化が影響因子となりメール開封率が向上したと言っても良さそうです。

Account Engagement Einsteinを設定する手順

最後に、今回活用したメール送信日時最適化機能を利用するための、Account Engagement上の設定手順を記載します。なお、Account Engagement Einsteinの利用要件は以下となっていますのでご注意ください。（2024年7月時点）

• Account Engagement Advanced Edition以上
• Salesforce Enterprise Edition以上
• キャンペーンを接続している
• 拡張メール(Lightningメールビルダー)によるリストメール送信のみ対応

＜メール送信時間最適化の設定手順＞

1.Account Engagementにアクセスし、[マーケティング設定] から、[クイック検索] ボックスに「Einstein」と入力し、[Einstein 送信時刻最適化 (STO)] を選択します。

※「Einstein」で候補に出てこない場合は、「送信時間最適化」と検索すると出てきます

2.[有効化] をクリックします。画面左下の「状況：」がオンになっていればOKです。

※カスタム Einstein モデルの作成には最大 72 時間かかります。なお、有効化を無効にするとそれまで機械学習のモデルで使用されていたすべてのデータが削除されるため注意しましょう。

参考：Salesforce公式「Einstein 送信時刻最適化 (STO) の設定」

有効化まで完了したら、メール送信時間最適化の機能が使えるようになります。新規でメールを作成し、メール送信画面の「送信時刻」欄に「Einsteinが最適化されました」と表示されていればOKです。

メール送信時間の範囲は3～168時間の間で1時間刻みで設定することができます。例えば、BtoB企業向けにメルマガを平日に絞って送りたい場合などは、Start Dateを月曜日、Label.Timeを7:00等に設定の上、送信時間の範囲を105時間に設定すれば、月曜7:00～金曜0:00までの間でメール送信時間が最適化されます。

まとめ

SalesforceのEinsteinは、設定が容易で機械学習を基にして様々なレコメンデーション・最適化機能が利用できることから、Salesforceをセールスやマーケティング活動に活用している企業ではおすすめの機能です。

オーリーズではBtoB企業のマーケティング支援を行っており、広告運用支援、インサイドセールス支援、Salesforce/Hubspot構築支援など、主にリードや商談獲得を目的としたマーケティング施策のサポートが可能です。

自社のノウハウ・リソースでは目的実現が難しい、戦略・施策立案のディスカッションパートナーが欲しい場合などは、ぜひオーリーズにご相談ください。