YouTube広告による指名検索獲得コストを測定する方法

はじめに

認知目的の広告であったり、購入検討期間が長いような商材を扱っている場合、管理画面やGAで計上されるコンバージョンの数が少なく、コンバージョンの数だけだと広告配信による効果の全容が分からない、でもブランドリフト調査などでは後のコンバージョンへのインパクトが分からない・・・とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

認知目的の広告の効果を測る場合、ユーザーの認識に与えた効果を測るブランドリフト調査や認知率調査、ユーザーの検索行動に与えた影響を測るサーチリフト調査などを行われる方は多いと思います。

本記事では、それらに加えた有効な中間指標の1つとして、YouTube広告閲覧後の指名検索流入数とその獲得コストを測定する方法を紹介します。

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中間指標として活用できる疑似指名コンバージョン

指名検索は、クエリの中でもアクセス先が明確に想定されている「ナビゲーショナルクエリ」に当たります。認知広告との関連性を考えると、認知広告閲覧後の指名検索は認知広告などにより明確に商品やサービスを「認知」したことによって生まれる検索行動と言えるでしょう。

指名検索数は売上との相関関係が高いと言われています。

その指名検索数と売上、もしくは指名検索シェアと競合との売上シェアが相関しているという仮説を元にすると「YouTube広告閲覧後の指名検索流入数」をYouTube広告の効果を測る中間指標とすることができます。

業界で広く使われているような言葉ではありませんが、「YouTube広告閲覧後の指名検索流入数」のことを弊社では「疑似指名コンバージョン」と呼んでいます。

中間指標の活用方法

例えばリードを獲得して、リードナーチャリングを行い、成約を得るといったフローのビジネスの場合は、指名検索流入からリード獲得のCVR、その後の成約率を算出し、LTVから逆算することで、指名検索流入の上限CPAを算出することができます。

その数値を基準とすることで、費用対効果を考慮したYouTube広告の配信が可能となります。また他の媒体の動画広告などでも同様の設計の配信を行うことで、媒体別の費用対効果を比較することも可能です。

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    • 1件あたりのLTVが100万円、CVRが10%、成約率が10%とした場合に、ROAS500%以上となるように指名検索流入を獲得したいのであれば、指名検索流入の上限CPAは2000円となります。
  • 注意点
    • 上記の例は指名検索流入数だけでROASが500%となるように計算したものですが、認知広告の効果はそれだけではない点には注意しましょう。

疑似指名コンバージョンの設定

前提・準備

  • 検索広告を配信するアカウントとYouTube広告を配信するアカウントを分ける

まず指名ワードの広告を配信しているアカウントとYouTube広告を配信するアカウントは分ける必要があります。同じアカウントで行うとそれぞれのコンバージョンが混同されてしまう可能性があるためです。

  • 指名ワードの検索数のボリュームが一定量あり、インプレッションシェアが高い状態にする

十分な指名検索数を得るためには、指名ワードの検索数のボリュームが一定量ある必要があります。また、疑似指名コンバージョンでは指名検索広告経由の流入数を計測するため、インプレッションシェアが高い状態(指名検索を行った際に広告が表示される状態)にする必要があります。入札戦略:目標インプレッションシェアを利用することが望ましいです。

疑似指名コンバージョンの設定

設定の方法はシンプルで、以下の条件でYouTube広告を配信するアカウントのコンバージョンタグを設置することで、疑似指名コンバージョンの計測ができるようになります。

  • タグ
    • YouTube広告配信アカウントのコンバージョンタグ
  • トリガー
    • 特定のパラメータを含むURL
      • 指名検索広告のパラメータ(?utm_campaign=〇〇)が付与されたURL
  • タグを設置するページ
    • 指名検索広告で設定している遷移先

まとめ

  • 「YouTube広告閲覧後の指名検索流入数(疑似指名コンバージョン)」は認知施策の効果測定の中間指標として活用できる
  • 疑似指名コンバージョンはYouTube広告配信アカウントのコンバージョンタグを指定の条件で設置することによって計測できる

おわりに

認知目的のYouTube広告を配信する際にどのように効果検証を行うべきか迷う方は多いかと思います。ブランドリフト調査や認知率調査、サーチリフト調査でもどれだけの効果があったかを測ることはできますが、実際にどれだけの行動に繋がったかを測る上ではどうしてもラフな試算にならざるをえないことが多いでしょう。

もちろん認知目的のYouTube広告の効果は「閲覧後の指名検索流入」だけではありませんが、疑似指名コンバージョンは認知目的のYouTube広告閲覧によって得られたユーザーの行動を捕捉する上で、重要な指標の1つと言えるかと思います。

また、ここでは「YouTube広告閲覧後の指名検索流入数」を計測する方法を紹介しましたが、このようなコンバージョンの計測方法の考え方を応用し、少し異なった数値を計測することもできるかと思います。ぜひ目的や商材の特性に合わせて、このようなコンバージョンの計測方法を活用いただければと思います。

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