検討期間の短いBtoB商材は検索広告の改善が9割!競合と差をつける広告施策も紹介
この記事では、以下のような「サービスの検討期間が短い商材において、運用型広告でどのように商談数を増やすか」を解説しています。
具体的には、これらの商材においてどの広告媒体に注力すべきかを理由とあわせて説明するとともに、それらの媒体において広告成果を伸ばすための具体的な施策であったり、その土台となる汎用的な考え方についてご紹介しています。
読者の皆様にイメージを掴んでいただくために、たとえば展示会のブースデザイン会社が「広告によってリード獲得をしたい」と考えたときを例として説明します。
基本的に、はじめて一定規模の展示会出展をする企業は、ブースデザインから施工までを外注することがほとんどです。その際、ブースデザインをどこに発注するのかという外注先の候補選びは、展示会の開催期日が決まっているため、①紹介してもらう②検索する③既に知っている会社に声をかけるなどして探し始めてから約1か月ほどでおおむね完了することが多いです。
このように、
- オフィス移転→移転日が決まっているので外注先を早く決めないと間に合わなくなる
- アルバイト求人→人手が足りない状態なので早く募集をかけたい
- 貸会議室→利用日が決まった時点で早く抑えないと予約可能な部屋が埋まってしまう
といった形で、「期日が決まっている業務」に関する事業は検討期間が短くなる傾向にあります。
今回の記事では、このような検討期間の短いサービスに対してどのように広告運用を行うべきか?と疑問に思っている広告主向けに、具体的なノウハウをご紹介します。
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目次
ディスプレイ・SNS広告はリターゲティングか検索履歴ターゲティング
まず、検討期間が短いサービスでは、見込み顧客がサービスを検討しているタイミングで広告をうまく届けることができなければコンバージョンに繋がりづらいです。一方で、ディスプレイ・SNS広告では「今まさにそのサービスを探している」ような、サービス利用の検討フェーズに入ったユーザーを正確に捉えた都合の良いターゲティングは存在しません。
上記傾向は以前からありましたが、昨今の個人情報保護の厳格化により、さらに顕著になっています。そのような背景から効果を期待できるディスプレイ広告がなかなか存在しないのが実情で、効果が期待できるものは後述するリターゲティングや検索履歴ターゲティングといった一部のディスプレイ広告に限られます。
読者の中には「BtoB向けのディスプレイ広告もあるけどそれは効果が期待できないのか?」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、結論として効果を期待するのは難しいと思います。理由は以下の記事に詳細を記載していますが、個人情報保護の観点でデバイスやブラウザが3rd Party Dataを広告配信に利用することを制限したことが大きいです。
一方で、Googleは3rd Party Cookieの廃止を完全に実現できていないことや、3rd Party Cookieの代替手段としてプライバシーサンドボックスの開発を進めているなど、独自の方法で個人情報に配慮したリターゲティングを可能にしているため、まだまだ一定の効果は期待できます。
また、Googleは検索プラットフォームを主要サービスとして提供していますが、これはGoogleのドメイン内でユーザーの検索履歴情報を入手しているため、Googleが提供しているサービス内に広告配信をする場合であれば、ユーザーの検索履歴情報を活用することが出来ます。
Googleドメイン内にのみ広告が配信されるファインド広告であったり、Yahoo!の場合サーチキーワードターゲティングであればYahoo!の検索履歴に基づいたターゲティングが可能であるため、後述の検索広告で買い付けようと考えているキーワードを検索したユーザーに対してディスプレイ広告を配信するのは有効です。しかし、広告の配信ボリュームとしてもGoogleはYouTubeやGmailなど利用者の多いサービスを複数提供しているため、前述のDSPのような配信量の問題は比較的小さくなりますが、それでも特定のキーワードを検索したユーザーに限定することでオーディエンスボリュームが小さくなっているうえ、1st Partyドメインのみでの広告配信となるため、それほど大きな広告配信ボリュームは期待できません。
以上でお伝えした通り、検討期間の短いサービスはディスプレイ広告で配信を伸ばしてリード獲得数を増やしていくことがなかなか難しいという事実があるため、もし該当の商材を提供している事業主の方でディスプレイ広告の改善に時間を使っている場合などは、「検討期間の短い商材においては、ディスプレイ広告の改善は費用・工数対効果が薄い」とある程度の割り切りはしたうえで、浮いた時間を後述の検索広告の研ぎ澄ましに使うことを推奨いたします。
※Yahoo!ディスプレイ広告のサーチキーワードターゲティングは2024年中に廃止され、高度なセグメントに集約される予定です。そのため、引き続きYahoo!で検索履歴をもとにしたターゲティングが利用できるかは、媒体の公式リリースをもとに、最新情報が出次第アップデート予定です。
検討期間の短い商材は検索広告が9割
これまで解説した通り、検討期間の短い商材においてはディスプレイ広告の活用余地が少ない一方で、すでに顧客の中で候補となるサービスが複数あり、その中から決めようと思っている場合を除き、ほぼ必ずと言ってよいほど何かしらの検索行動は発生すると考えられます。
よって、「検討期間の短い商材の主戦場は検索広告」であり、検討期間の短い商材においては「いかに検索広告の運用を研ぎ澄ますか」が広告施策の成否を決めると言っても過言ではありません。
そのため、検索広告の成果を改善するためには、以下の記事で解説しているような検索広告におけるベストプラクティスを徹底することが最低限の運用レベルとして求められます。
上記の記事で紹介しているベストプラクティスは、概ねどのサービスにも当てはまる内容となっていますが、言い換えると基本として押さえるべきベストプラクティスを徹底した先は、自社のサービスの特性を考慮しつつ、現状を分析しながら個別化した改善を図っていくことになります。
そのためベストプラクティスを徹底した先の個別性が高いフェーズにおいては、一概に「これをすれば広告の成果が上がる」というものを明記するのは難しく、自社で頭を捻りながら都度施策を考えるしかありません。また、ネット上に落ちている情報はそうした個別性を踏まえて書かれたものが少ないため、手軽に自社に適した施策のアイデアを見つけることも困難です。そのため、多くの広告運用者はさらなる成果改善に繋がる打ち手を見出すことができずに「キーワードや広告文の見直し」「アカウント構成の再構築」など、”一見それっぽいけど目に見える効果が出るかは怪しい細かい作業”に終始するか、「検索広告はもう限界…」と、検索広告の改善に見切りをつけてディスプレイ広告の改善に注力するケースも珍しくありません。
当社ではこのような「広告成果の頭打ち状態」に陥らないためにも、クライアントごとに事業や市場環境、エンドユーザー等の理解を進め、「広告の成果に対してインパクトのある打ち手」をご提案しております。
広告運用の打ち手でお困りの場合は、以下のリンクよりお気軽にご相談いただければと思います。
繰り返しにはなりますが、原則として、広告運用の打ち手はサービスごとに変わってくるため”誰でも成果が出る打ち手”をご紹介することは難しいのですが、ひとつ、検討期間の短い商材の多くに転用でき、かつおそらくまだ貴社の競合企業が取り組めていない施策をご紹介しようと思います。
この施策に競合企業が取り組めていない要因として、単純に思いつきづらいというのもありますが、施策の実施ハードルの高さも一因となっていますので、「誰でも簡単に、すぐ効果が出る施策」では無い点をご認識いただいた上で、広告成果の頭打ちに悩んでいるご担当者の方は実施をご検討してみることを推奨します。
競合企業が取り組めていないのは「思いつかない」もそうですが、実施ハードルももう一つの理由にはなりますので、”簡単に、すぐに、効果が出る”という魔法ではないですが、是非、頭打ちに悩んでいるご担当者は実行を検討していただけると幸いです。
競合と差をつける施策の具体例
ここからは検討期間の短い商材において、競合企業と差をつける施策の説明に入りますが、ここでもさきほどの展示会のブースデザイン会社を例に出します。
なお、今回はブースデザイン会社を例として広告運用のノウハウをご紹介していますが、厳密にはサービスによって打ち手の有効度合いが変わってきますので、検討期間の短い商材であればどんなケースでも転用できるわけではない点は前提としてご理解ください。
さきほどブースデザインをどの会社に発注するかの外注先の選定は、候補を探し始めてから概ね1か月ほどで完了すると記載しましたが、ここで着目すべきなのは「はじめて展示会に出展する際、多くの企業は協力会社探しをする」という事実です。
多くのブースデザイン会社において、検索広告を出稿する場合、たとえば「展示会 ブースデザイン」などのある種ど真ん中と言えるような顕在キーワードに広告を出すのがセオリーですが、一方で「展示会 出展準備」など、はじめて展示会を出展する際に見込み顧客が検索し得るキーワードに広告を出すケースはそう多くはありません。
そもそもこうしたキーワードは、該当のキーワードを検索している段階ではまだデザイン会社の選定に入っていないため、広告を当ててもコンバージョンに繋がりづらいことが主な理由として挙げられます。(正確には別の理由もあるためそれは後述します)
しかし、「展示会 出展準備」等のキーワードで検索をするユーザーは、展示会の企画や出展先の選定を終えたのちに、ゆくゆくはブースデザイン会社の選定に入る可能性は極めて高いです。そのため、このタイミングでリード化して接触できれば、競合他社に先駆けて見込み顧客と関係構築できる可能性があります。
ただし、アルバイト求人の掲載募集や貸し会議室など、サービスによってはこういったわかりやすいコンペリングイベントがないケースもあります。もし、本事例のように適当なキーワードが浮かばない場合においては是非弊社にご相談いただければ幸いです。
また、前述のとおり、見込み顧客がブースデザインの会社を探すときは、①紹介してもらう②検索する③既に知っているところに声をかけるといった選択肢が主であり、紹介やすでに知っている会社から候補を選ぶケースでは、そもそも検索行動が発生しない可能性すらあります。このことから、展示会への出展がほぼ確定したタイミングを察知して、そのタイミングでリード化できることは、ブースデザイン会社にとって以下のような価値があります。
- デザイン会社の選定にあたって検索行動が発生しないリードも商談化できる
- 検索行動が発生する場合においてもそれ以前から認知を取れるため、検索連動型広告でのCTR、CVRが上がる
- デザイン会社の選定以前から関係構築できるので有利に商談を進められ、場合によっては検索行動前に自社を選んでもらえる
ではどのようにリード化につなげるか?という話については、それは検索広告の基本である「検索語句にマッチした情報を提供する」ことにつきます。
たとえば「展示会 準備」という検索語句であれば、「展示会出展マニュアル」のようなホワイトペーパーを作成し、はじめて展示会出展をディレクションする人が拠りどころとできるような情報を提供すると、リード化の可能性があるでしょう。
以上を踏まえ、検討期間が短い商材において競合と差をつける広告施策は、以下の手順で進めます。
ここでSTEP5の成果分析と改善アクションで何をするのか補足をすると、概ね以下のような観点で分析を行うことになります。
成果の分析、改善アクションを考える上では、セールスとの連携が最も重要であると言っても過言ではありません。なぜかと言うと、こうした潜在層の見込み顧客の獲得施策は、
- 日々、既存顧客や進捗している案件のフォローで精一杯なセールスにとって、商談化するかどうかもわからないリードのフォローは面倒なので、後回しにされたり高い品質で対応してもらえない
- 少なくともこれまでと違う性質のリードになるので、アトラクトの仕方や関係構築など試行錯誤が必要になるが、そこまでは頑張ってもらえない
といったセールス側の事情もあり、必ずしも商談に繋がるかどうかは本施策の成否では決まらないからです。
このように、どれだけマーケとして「商談になりうるリード」をパスしていたとしても、セールス側で商談化できていなくては成果としてはみなされず、「商談化しないリードばかり生んでいる」という評価となり、施策が中止になるケースは非常に多いです。そのため、この施策をスタートするためには、「リードを生んだらあとは営業に委ねる」ではなく、必ずマーケ側で「リード獲得後にどうやって商談化するか」までをセットで考えなければ継続的に成果を出すことはできません。
上述した通り、展示会への出展が確定した直後に検索される「展示会 準備」などのキーワードに広告を出すブースデザイン会社はそう多くないのは、この「顕在性の低い見込み顧客に対して、セールスが優先的にアプローチしてくれないために商談に繋がりづらい」という要因がもう一つの理由であり、このハードルをクリアすることが本施策において最も難しい点と言えます。
「マーケ側で「リード獲得後にどうやって商談化するか」までをセットで考える」というのは言うは易く行うは難しといったところで、では一体どうしたら良いのか迷う方もいらっしゃるかと思います。
これは具体的な事業内容や組織構造ごとで異なってきてしまうので、個別事情ごとに工夫する意外に有効な施策は無いのですが、あくまで一例として、今回のブースデザイン会社を例とした取り組みのサンプルをご紹介します。
5についてはセールスの通常業務として既に組み込まれているため、1、2、3の業務をマーケ側で対応すれば、セールス担当に追加で依頼する業務は3のみとなります。
通常、3は概ね1時間程度で完了することがほとんどですので、セールス側の工数負荷も少ないため協力してくれる可能性は十分にあります。マーケ側からセールス部門に業務の協力を相談する場合はできるかぎりマーケ側でできる業務を巻き取って、施策の成果が見えてきたら徐々にセールス部門へ2や4の業務を依頼する、といった流れで進めるのがスムーズだと思います。
ただし、ここで「マーケ側でインサイドセールス業務(2,4)を担うのは工数的に厳しい…」というケースもあると思いますが、マーケ側でインサイドセールス業務に対応することが難しい場合は、この施策領域のみインサイドセールス支援会社などに外注することも可能です。
以上のように、今回の施策で商談化につなげるためにはセールス部門の協力が必須ですが、常日頃数字を追っているセールス担当者にとって「どこに時間を使うか」は自身の成績に直結するため、そういったセールス側の事情もケアした上で相談をすることが重要です。新規施策をセールス側に協力してもらう場合は、「成功するまでは出来る限りマーケ側で工数負担を持つ」という意識を持つことで協力を得やすくなりますので、この施策に限らず、何か新規施策でセールス側に依頼が発生する場合の重要なマインドセットとして意識していただけると幸いです。
まとめ
以上が検討期間が短い商材において、競合と差をつけるための打ち手です。セールス側への協力依頼など様々な実施ハードルはありますが、それゆえに実施できていない企業も多いため、うまく連携できれば競合と差をつけるチャンスを得られるので、ぜひ自社の施策としてトライしてみてください。
なお、オーリーズの広告支援サービスはこのような新たなチャレンジをしたい事業主の皆様を応援するために、以下のような強みを持っています。
- 今回の記事で解説したように、「クライアントの事業特性を踏まえた広告運用のノウハウ」を持っており、クライアントに最適な戦略を立案、実行できる
- インサイドセールスの支援も可能なため、上述のような広告とインサイドセールスを連携した施策がスムーズに実行できる
弊社で提供している「GO-to-MARKETプラン」では、上述のインサイドセールス業務の外注といったスポットの外部委託だけではなく、広告運用や展示会、獲得向けのクリエイティブ制作によるリード獲得のご支援や、MA活用・Salesforce支援によるリードナーチャリングなど、マーケティングの認知獲得~商談化までを一気通貫でサポートすることが出来ます。
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