新規事業開発のための用語集~現場で使える基礎知識を一覧で紹介~
新規事業開発の現場でよく使われる用語を一覧にまとめました。英字で記載されることが多いものは ABC 順、漢字やカタカナで記載されることが多いものは五十音順に並んでいます。
なお、本記事でも一部紹介していますが、BtoBマーケティングの用語については以下の記事で詳しく紹介しています。
※関連記事:BtoBマーケティング用語集
目次
英字・数字の用語
AARRR(アー)/AARRR(アー)モデル
製品・サービスの成長過程を5つのフェーズに分解したフレームワーク。「Acquisition(顧客を獲得する)」「Activation(顧客に体験を提供する)」「Retention(リピーターにする)」「Referral(顧客が第三者に紹介する)」「Revenue(収益化する)」の5つのフェーズがある。スタートアップや新規事業を立ち上げる際に、顧客の獲得から収益化に至るまでのプロセスを管理・設計するために活用される。
BtoB(ビートゥービー)
Business to Businessの略。企業が他の企業を対象に製品・サービスを提供するビジネスモデル。
BtoC(ビートゥーシー)
Business to Consumerの略。企業が一般消費者(個人や家庭)を対象に製品・サービスを提供するビジネスモデル。
※関連記事:BtoBとBtoCの違い
CAC(シーエーシー)
Customer Acquisition Costの略。「顧客獲得コスト」と訳され、1顧客の受注にかかる費用を指す。計算式は(新規顧客の獲得にかかる営業・マーケティング費用の合計)÷(新規顧客獲得数)。
※関連記事:LTV・CACの計算方法とよくある質問への回答【テンプレート付き】
CPF(シーピーエフ)
Customer Problem Fitの略。「フィットジャーニー」を構成するフェーズの一つであり、顧客の課題を検証するプロセスとそれが検証された状態を指す。
※関連記事:CPF(カスタマープロブレムフィット)|PMFを理解するために必要な用語
Growth(グロース)
「フィットジャーニー」を構成するフェーズの一つであり、事業がスケールし、成長段階に達しているかを検証するプロセスを指す。
※関連記事:Growth(グロース)|PMFを理解するために必要な用語
GTM(ジーティーエム)
Go To Marketの略。「フィットジャーニー」を構成するフェーズの一つであり、自社の製品・サービスをどのような流れで顧客へ届けるかをまとめた戦略を指す。
※関連記事:GTM(ゴートゥーマーケット)|PMFを理解するために必要な用語
MVP(エムブイピー)
Minimum Viable Productの略。必要最小限の機能を備えた試作品。新規事業開発においては、コストを抑えながら、早期に市場に投入することで顧客からフィードバックを得ることを目的に制作される。このアプローチを実現するためのマネジメント手法は「リーンスタートアップ」と呼ぶ。
NPS(エヌピーエス)
Net Promoter Scoreの略。顧客ロイヤルティを測る指標。アンケートで「友人や同僚に薦める可能性はどのくらいあるか?」を0から10の度合いで回答してもらい、そのスコア分布から算出する。NPSを定期的に測定することで、顧客の反応を素早くキャッチアップし、改善のサイクルを早めることができる。
PDCA(ピーディーシーエー)
業務改善のためのフレームワーク。「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の4つのフェーズを順場に繰り返すことで業務改善を目指すもの。「PDCAサイクル」とも呼ばれる。
PoC(ピーオーシー)
Proof of Conceptの略。「概念実証」と訳される。新しいアイデアや技術の実現可能性と、その効果を検証する手法。新規事業開発の初期段階で実施され、限定的な市場に試作品や製品・サービスを提供し、顧客の反応や使用感を確認することで、事業化の可否を判断する。
ROI(アールオーアイ)
Return On Investmentの略。「投資収益率」「投資利益率」と訳される。投資に対してどの程度の利益が得られたかを示す指標。(投資による利益 ÷ 投資額) × 100(%)で算出される。
KGI(ケージーアイ)
Key Goal Indicatorの略。「重要目標達成指標」と訳される。組織または部門の最終目標として、達成すべき最も重要なものを1つ設定する。例:売上高、利益、市場シェア率など
KPI(ケーピーアイ)
Key Performance Indicatorの略。「重要業績評価指標」と訳される。組織の最終目標であるKGIを達成するための中間指標。
※関連記事:KPIとは? 設定&管理方法と失敗しないためのチェックリスト
KSF(ケーエスエフ)
Key Success Factorの略。「重要成功要因」と訳される。経営レベルでは「事業の成功を左右する要因」、業務レベルでは「成果への貢献度がとくに高いプロセスやアクション」という意味で使われる。KSFは業界・業種、個社ごとに異なる。
LTV(エルティーブイ)
Life Time Valueの略。「顧客生涯価値」と訳される。ある顧客が取引を開始してから終了するまでの期間に、自社に対してどれだけ利益をもたらしたか、という収益の総額のこと。計算式は以下のとおり。
- 1顧客あたりの月次利益×購買月数(サブスクリプションサービスの場合)
- 1取引あたりの利益×リピート購買回数(スポット型のビジネスの場合)
※関連記事:LTV・CACの計算方法とよくある質問への回答【テンプレート付き】
PLC(ピーエルシー)
Product Life Cycleの略。製品・サービスを市場に投入してから衰退するまでの一連の過程のこと。「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つのフェーズに分けられ、各フェーズで売上や顧客、競合が異なる。「製品ライフサイクル」や「PLCサイクル」とも呼ばれる。
PMF(ピーエムエフ)
Product Market Fitの略。「フィットジャーニー」を構成するフェーズの一つであり、製品・サービスが市場のニーズと十分に合致し、顧客に受け入れられている状態を指す。
※関連記事:PMFとは?読み方と定義、PMFしている状態のシグナルを解説
PSF(ピーエスエフ)
Problem Solution Fitの略。「フィットジャーニー」を構成するフェーズの一つであり、CPFフェーズで顧客がすぐにでも解決したい課題を特定したのちに、自分たちが提供する解決策が「顧客が求めるものか」を検証するプロセスを指す。
※関連記事:PSF(プロブレムソリューションフィット)|PMFを理解するために必要な用語
SPF(エスピーエフ)
Solution Product Fitの略。「フィットジャーニー」を構成するフェーズの一つであり、PSFフェーズで確認した解決策をプロダクトとして実現可能か、プロダクトが解決策を十分に実現できているかを検証するプロセスを指す。
※関連記事:SPF(ソリューションプロダクトフィット)|PMFを理解するために必要な用語
STP分析
市場戦略を構築するためのフレームワーク。市場を細分化する「Segmentation(セグメンテーション)」、ターゲットを定める「Targeting(ターゲティング)」、自社のポジションを明確にする「Positioning(ポジショニング)」という3つのステップで構成される。

SWOT(スウォット)分析
経営戦略を立てるために、自社にとってプラスになる要因とマイナスになる要因を分析するフレームワーク。自社の外部環境と内部環境を「Strengths(強み)」「Weaknesses(弱み)」「Opportunities(機会)」「Threats (脅威)」の4つの要素に整理して分析する。

TAM・SAM・SOM(タム・サム・ソム)
市場全体の規模や、自社がリーチできる可能性のある市場規模を把握するためのフレームワーク。それぞれ以下を示す。
TAM(Total Available Market) | ある市場で獲得できる可能性のある、 最大の市場規模のこと |
SAM(Serviceable Available Market) | 市場にかかわる特定の製品・サービスが 獲得し得る市場規模のこと |
SOM(Serviceable Obtainable Market) | 実際に製品・サービスをもって市場に 参入したときに、自社でアプローチし、 獲得できるであろう市場規模のこと |

※関連記事:BtoB新規事業で使える市場規模算出テンプレート【2024年版】
3C分析
事業環境を分析するためのフレームワーク。「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つの要素を分析する。新規事業開発の現場では、アイデア創出やマーケティング戦略の策定のために活用される。

4P・7P
製品・サービスを販売するために必要なマーケティング要素を組み合わせたフレームワーク。4Pとは基本的なマーケティング要素のことで「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販売促進)」の頭文字をとったもの。7Pは4Pの要素に「People(人)」「Process(プロセス)」「Physical Evidence(フィジカルエビデンス)」を加えてたもの。主にマーケティング戦略を立案、実行する際に活用される。

※関連記事:マーケティング・ミックスとは?4Pと7Pの基本と活用事例を解説
漢字、カタカナ表記の用語
アクセラレーター
事業の成長を支援する組織やプログラム。主にシード期以降のスタートアップや一般企業内の新規事業部門などが支援対象となる。類似する言葉に、「インキュベーター」がある。
アジャイル開発
小さな機能ごとに短期間で実装とテストを繰り返す開発手法。「計画→設計→実装→テスト」という開発工程を短いサイクルで繰り返す。とくに開発の途中で仕様の変更や追加が予想される製品・サービスに向いている。
アンゾフの成長マトリクス
企業の成長戦略を策定するフレームワーク。製品と市場のそれぞれを「新規」と「既存」に分けて、「市場浸透」「新市場開拓」「新製品開発」「多角化」の4つの領域に整理し、それぞれの戦略の方向性を示す。

イテレーション
アジャイル開発における開発サイクルの単位。一般的には「計画→設計→実装→テスト」の順に進行する。
イノベーター理論
新製品・サービスが市場に普及する過程を5つの顧客層に分類したマーケティング理論。顧客層は「イノベーター」「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」に分類される。
イノベーター | 最初に新しい製品や技術を試す顧客層 |
アーリーアダプター | 新しい製品や技術に早期に反応する顧客層 |
アーリーマジョリティ | 新しい製品がある程度実績を上げ、信頼性が確立されるまで待つ慎重な顧客層 |
レイトマジョリティ | 製品や技術が主流になり、社会的に広く普及してから受け入れる顧客層 |
ラガード | 最も遅れて新しい製品や技術を受け入れる顧客層 |

インキュベーター
事業の創出を支援する組織やプログラム。主にシード期以前の企業や起業家が支援対象となる。類似する言葉に「アクセラレーター」がある。
イントレプレナー
企業内で新規事業を立ち上げたり、革新的なプロジェクトを推進する社員。「社内起業家」とも呼ばれる。反対に、企業に属さずに独立して起業する人を「アントレプレナー」という。
エキスパートインタビュー
特定の業界・業種の専門家や有識者にインタビューすること。業界や商材知識を効率的にインプットできるほか、顧客接点の構築にも役立つ。新規事業開発においては、主に市場調査や事業アイデアに対するフィードバックを得るために実施される。
エフェクチュエーション
成功した起業家に共通する思考や行動パターンを体系化した論理。既存の手段やリソースを活用して、可能性を拡げることに重点が置かれているため、リソースが限られやすい新規事業開発においては有効な思考とされる。
エレベーターピッチ
15〜30秒程度の短時間で事業のアイデアやビジネスモデルを社内関係者や投資家に伝え、理解を得るプレゼン手法。新規事業の社内説明会や商談時の自社紹介などさまざまな場面で活用される。

※関連記事:エレベーターピッチの作り方を事例で解説【テンプレート付き】
オープンイノベーション
社内外の知見や技術を積極的に取り入れ、革新的な製品・サービス、事業を創出すること。近年では、トヨタ自動車がNTTをはじめとした大手企業のほか、スタートアップ、大学などの研究機関との協業で開発しているスマートシティ「Woven City」などが代表例として挙げられる。
カスタマージャーニー
顧客が製品・サービスを認知してから、購買や契約に至るまでの道のり。顧客の行動や思考、感情の変化を一連のプロセスとして捉えることで、マーケティング戦略の策定に役立てる。カスタマージャーニーを可視化した図を「カスタマージャーニーマップ」と呼ぶ。

※関連記事:カスタマージャーニーの意味って?基本の概念と構成【初心者向け解説】
仮説思考
直面する課題や問題に対して、自分の経験や知識をもとに「仮説」を立て、その仮説を実際に検証していく思考法。限られた情報をもとに、最も可能性が高いと考えられる解決策(仮説)を設定し、その仮説を実行し、結果を検証して修正を加えながら進める。
キャズム
新製品・サービスが、アーリーアダプター層からマジョリティ層に普及する際に乗り越えなければならない大きな溝のこと。「イノベーター理論」におけるアーリーアダプター層とアーリーマジョリティ層の間に存在するとされる。
コモディティ化
製品・サービスが差別化されず、企業間で価値が均一化して価格競争に陥る状態。
シード期
新規事業やスタートアップが創業する前の準備段階、もしくは起業後間もない初期段階のこと。主に事業アイデアの検証や市場調査などが行われ、収益化していない期間を指す。
事業計画書
事業の目的、戦略、運営計画、財務予測などをまとめた文書。社内の経営層や社外の投資家に事業について理解してもらうために作成する。類似するものに「事業企画書」があるが、事業企画書は事業のコンセプトや内容を理解してもらうことに重きが置かれる。一方で、事業計画書はコンセプトや内容を理解してもらったうえで、その先の具体的な「計画」の部分が重視される。
※関連記事:新規事業計画書の作り方とプレゼン時の留意点【パワーポイントテンプレート付】
シリーズA・B・C
スタートアップが資金調達を行う段階のこと。
シリーズA | 事業が本格化し顧客が増え始め、事業の拡大のために資金が必要となる段階。 資金調達の規模:数千万〜2億円程度 |
シリーズB | 事業が軌道に乗り始め、さらなる事業拡大のために資金が必要となる段階。 資金調達の規模:数億円 |
シリーズC | 経営が安定し、IPOやM&Aを視野に大規模な資金が必要となる段階。 資金調達の規模:数億~数十億円 |
ステージゲート / ステージゲート法
新規事業開発のプロセスをアイデア創出から市場投入に至るまで段階的に分けて管理する手法。開発プロセスの各段階にゲートを設けて、次の段階に進むかどうかを評価を行う。
セグメンテーション / 顧客セグメンテーション
市場に存在している顧客をニーズや属性といった特定の切り口でセグメントに切り分けること。「STP分析」のプロセスの一つでもあり、「市場細分化」とも呼ばれる。
※関連記事:セグメンテーションとは? BtoB事業で「売れるセグメント」を発見する方法
テストマーケティング
本格的に製品・サービスをリリースする前に限定的な範囲で試験的に販売を行うこと。主に製品・サービスの企画・開発段階で想起した仮説を検証することを目的に実施される。
※関連記事:BtoBのテストマーケティングで使える5つのプロトタイピング手法
デザイン思考
顧客の視点に立って課題やニーズを見つけ、最適な解決策を導き出す思考法。事業アイデアの創出や製品・サービスの改善に活用される。「デザインシンキング」とも呼ばれる。
ネゴシエーション
お互いの意見や利害を調整し、合意を得ること。新規事業開発においては、他部署間とのリソース調整や、社内外のステークホルダー・パートナーとの協力を円滑に進めるために重要なスキル。
ビジネスコンテスト
社内外の個人や団体が自らの事業アイデアやビジネスプランを提出し、競い合うイベント。
ピボット
事業や製品・サービスの方向性や転換すること。
フィットジャーニー
事業アイデアの立案から事業開発、その後の成長までの道のりを示したもの。「CPF」「PSF」「SPF」「PMF」「GTM」「Growth」の6つのフェーズで構成される。

※関連記事:フィットジャーニー|PMFを理解するために必要な用語
ブレスト / ブレインストーミング
複数のメンバーが自由に話し合いながらアイデアを出すこと。
プロダクトアウト
市場のニーズや顧客の要求よりも、企業の技術力や独自の思想、アイデアを優先して製品・サービスを開発すること。対義語として、市場のニーズを優先して開発する「マーケットイン」がある。
ペルソナ
自社が提供する製品・サービスを活用している、または活用するはずの象徴的なユーザー像のこと。カスタマージャーニーの設計およびマーケティング戦略の策定に活用される。

※関連記事:【BtoB向け】ペルソナ作成のメソッド/進め方
ベンチャーキャピタル
将来的に成長が見込まれるベンチャー企業に出資する組織。
ポジショニングマップ
市場における自社製品・サービスのポジションを競合他社と比較して、視覚的に示した図。主にマーケティング戦略の策定に活用される。

※関連記事:ポジショニングマップの作り方~肝となる軸の決め方をテンプレート付きで解説~
マーケットイン
市場のニーズや顧客の要求に応える形で製品・サービスを開発すること。対義語として、自社の技術力や思想を優先して開発する「プロダクトアウト」がある。
リーンスタートアップ
低コストかつ短期間で必要最低限の機能を持つ製品・サービス(MVP)を開発し、顧客の反応や意見をもとに改善を重ねながら完成品を作り上げるマネジメント手法。
リーンキャンバス
スタートアップや新規事業のビジネスモデルを可視化するためのフレームワーク。「顧客セグメント」「顧客の課題」「価値提案」「解決策」「チャネル」「収益の流れ」「主要指標」「コスト構造」「優位性」の9つの項目を検証、整理する。
※関連記事:リーンキャンバスとは? 実践的な書き方と考え方【テンプレート付き】
ローンチ
新製品やサービスを正式に公開・開始すること。「リリース」とも呼ばれる。
ロングテール
インターネットにおける販売手法の一つで、少数の売れ筋製品だけでなく、幅広いニッチな製品を扱うことで顧客層を拡大し、売上を増加させるマーケティング戦略。
ワークショップ
参加者が主体となって取り組む体験型の講座や会議。
ユーザーインタビュー
顧客のニーズ・課題や市場を調査するために顧客・見込み顧客・解約顧客にインタビューすること。ユーザーインタビューの種類は、1対1で行う「デプスインタビュー」と複数人を集めて行う「グループインタビュー」がある。
※関連記事:顧客理解を深めるための12の手法
ユーザーテスト
自社の製品や Web サイトなどを見込み顧客に触ってもらい、行動を観察することで、課題やニーズを発見する手法。
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